【第二十一話】銀蔵という名

【第二十一話】銀蔵という名

記事
コラム
郷土史のページの中に出てきた
銀蔵という名前。


曾祖父の曾祖父として
紹介されていました。


気になって、
そのまま文章を読み進めていきました。


すると、
その説明の中に
もう一つ大事なことが書かれていました。


銀蔵は
船大工だったというのです。




船大工。


その言葉を見たとき、
思わずもう一度読み返しました。


それまで、
先祖の仕事について
詳しく聞いたことはありませんでした。


ただ、
長男家は家具屋でした。


桐タンスを作る
職人の家です。


元は、船大工。

そう考えると、
少し不思議な気持ちになりました。

船を造っていた先祖。

その技術が、
形を変えながら、
長男家の桐タンスへ
つながっていったのだろうか。

もちろん、
本当のことは分かりません。

けれど、
こうして先祖をたどっていると、

今の暮らしの中にも、
昔の仕事の痕跡が
残っているように感じることがあります。


さらに文章を読み進めていくと、
もう一つ気づいたことがありました。


銀蔵という名前。


これは
戸籍の中で見てきた名前とは
少し違います。


戸籍に出てくる名前は
長蔵でした。


つまり、
銀蔵は通称で、
戸籍上の名前が長蔵。


そしてその長蔵こそ、
過去帳に出てきた
初代長蔵だったのです。


戸籍の中で見ていた名前。

過去帳の中にあった戒名。

そして、
郷土史に出てきた船大工。

それまで、
別々に存在していたものが、

ここで、
一人の人物として
つながりました。

「ああ、本当に実在していたんだ」

そう感じた瞬間でした。


先祖調査をしていると、
同じ人物なのに
名前が違って見えることがあります。


通称だったり、
戸籍名だったり。


一見すると
別人のように見えることもあります。


けれど、
いくつかの資料を照らし合わせると、
その人物の姿が
少しずつ見えてくることがあります。

さらに読み進めていくと、
銀蔵の造った船について
書かれている箇所がありました。


そこには、
その船がよく寄港していた港の名前が
いくつか並んでいました。


その中に、
一つだけ
気になる地名がありました。

釜石

小田原からは
かなり離れた港です。


「こんな遠くまで?」


そう思いました。


けれど、
この地名が
さらに別の先祖の話へと
つながっていくことになります。
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