人間関係がうまくいかないとき、私たちはつい、相手に問題があると考えてしまいがちです。
「あの人は仕事ができない」
「どうして、こんなことも分からないの?」
「周りの人は自分勝手な人ばかり」
そんなふうに、他人の言動にイライラしたり、相手の能力や人間性まで評価したりしていませんか?
もちろん、誰かの言動に問題がある場合もあります。
仕事上の問題であれば、改善を求めることも必要です。
けれども、具体的な問題を指摘することと、相手の人格を否定することは違います。
他人の欠点ばかりが気になってしまうときは、一度立ち止まって、自分自身の考え方を見つめ直してみましょう。
1. 他人をジャッジする前に、自分自身を振り返る
他人の仕事ぶりを見て、「能力が低い」「社会人としてどうなのだろう」と感じることがあるかもしれません。
けれども、他人の欠点を見つけることと、自分自身を客観的に見つめることは別です。
例えば、他人が失敗したときには「もっとちゃんとするべきだ」と考えるのに、自分が失敗したときには「こういう事情があった」「仕方がなかった」と考える。
自分の言動には理由があると思うのに、他人の言動については、その人なりの事情を考えずに評価してしまう。
こうしたことはないでしょうか。
自分には事情があるけれど、他人には厳しい。
このような基準の違いがあると、知らず知らずのうちに、他人を批判することが増えてしまいます。
また、仕事上の問題を指摘することと、相手を「無能だ」と決めつけることも違います。
問題があるなら、その問題について具体的に対処すればいいのです。
相手の人格まで否定する必要はありません。
他人の欠点が気になったときこそ、「自分にも同じようなところはないだろうか?」と考えてみましょう。
自分を責めるためではなく、自分の見方が偏っていないかを確かめるためです。
2. 自分の言動が相手に与える影響を考える
自分の気持ちを大切にすることは重要です。
けれども、自分の気持ちに正直になることと、自分の思うままに振る舞うことは違います。
私たちは大人ですから、自分の言動が周囲にどのような影響を与えるのか、考える必要があります。
「悪気はなかった」
「そんなつもりではなかった」
「自分の気持ちを話しただけ」
そうした事情があったとしても、相手がどう受け取るかは別の問題です。
自分の意図を説明するだけでなく、相手の立場から見たらどう感じるだろうか、と考えてみることも大切です。
これは、他人をジャッジするときにも同じです。
自分にとっては理解できない言動でも、相手には相手なりの考え方や事情があるかもしれません。
もちろん、相手の事情をすべて理解する必要はありませんし、何でも許す必要もありません。
ただ、自分の価値観だけを基準にして、相手の状況まで決めつけないこと。
自分の気持ちを尊重してほしいと思うのであれば、相手の気持ちや立場にも目を向ける。
それが、人と関わるうえで大切な姿勢ではないでしょうか。
3. 「ジャッジしない」練習をしてみる
では、実際にどうすれば、他人をジャッジする癖を減らせるのでしょうか。
おすすめなのは、日常生活の中で、判断する前に一度立ち止まる練習をすることです。
例えば、職場で誰かが仕事をうまく進められていないのを見て、「この人は仕事ができないな」と思ったとします。
そんなとき、すぐに相手の能力や人間性まで判断するのではなく、まずは自分の心の動きに気づいてみましょう。
「私は今、この人をジャッジしているな」
それだけで構いません。
そのうえで、少し視点を変えてみます。
「自分とは仕事の進め方が違うだけかもしれない」
「今、私は相手の人格まで判断する必要があるのだろうか?」
大切なのは、無理に相手を肯定することではありません。
自分の判断が絶対に正しいと思い込まず、ほかの見方ができないか考えてみることです。
また、誰かの言動に腹が立ったときには、次のように自分に問いかけてみましょう。
「私は何に腹を立てているのだろう?」
「これは本当に自分が対処すべき問題なのだろうか?」
こうして考えることで、実際に起きている問題と、自分の期待や思い込みを切り分けやすくなります。
ジャッジしないというのは、何も考えないことでも、善悪の判断をすべてやめることでもありません。
「相手の行動を評価することと、相手の人格を決めつけることを区別する。」
まずは、そこから始めてみてください。
4. 自分にも「まあ、いいか」と言ってあげる
他人に厳しい基準を求める人は、自分自身にも厳しいルールを課していることがあります。
「こうでなければいけない」
「ちゃんとしなければいけない」
「失敗してはいけない」
自分に対するこうした思いが強いと、他人にも同じ水準を求めてしまいがちです。
そして、周囲が自分の期待どおりに動かないたびに、イライラしてしまうこともあります。
そんなときは、自分自身にも少し寛容になってみましょう。
うまくできない日があってもいい。
思いどおりに進まないことがあってもいい。
すべてを完璧にこなさなくてもいい。
「まあ、いいか」と思える余裕を持つことです。
ただし、自分を許すことは、何をしてもいいという意味ではありません。
自分の言動に問題があれば、認めて改善すればいい。
失敗したのであれば、そこから学べばいい。
大切なのは、自分を責め続けることでも、何でも正当化することでもなく、自分の未熟さにも向き合いながら、少しずつ成長していくことです。
自分に対しても他人に対しても、
完璧を求めすぎない。
その意識が、心の余裕につながっていきます。
5. 他人の問題と、自分の問題を切り分ける
他人の言動が気になるとき、私たちは知らず知らずのうちに、相手のことを考え続けてしまいます。
「あの人はどうして、あんなことをするのだろう」
「もっとこうすればいいのに」
「どうして、こちらの気持ちを分かってくれないのだろう」
けれども、どれだけ考えても、相手の価値観や行動を自分の思いどおりに変えられるとは限りません。
そこで意識したいのが、他人の問題と、自分の問題を切り分けることです。
相手の仕事に問題があるなら、必要な改善を求める。
相手の言動によって困っているなら、自分の希望を伝える。
それでも改善されないなら、距離を取ることも考える。
一方で、相手の性格や価値観そのものまで変えようとする必要はありません。
「私はそうは思わないけれど、そういう考え方もあるんだな」
そう受け止めたうえで、自分はどう行動するかを考えればいいのです。
物事を俯瞰して見るというのは、何でも我慢したり、問題を見て見ぬふりをしたりすることではありません。
必要なことには対処しながら、自分では変えられないことにエネルギーを使いすぎないことです。
他人を変えようとするのではなく、自分の考え方や行動に意識を向ける。
そして、自分にも他人にも、必要以上に厳しくならないこと。
「ジャッジしない」という小さな練習が、人間関係をラクにする第一歩になるのではないでしょうか。
それでは皆さん、良い一日を!