「いらっしゃいませ」が一言も出ない現場で、私が一番面食らったこと

「いらっしゃいませ」が一言も出ない現場で、私が一番面食らったこと

記事
ビジネス・マーケティング
結論から言います。

27年間、接客と売上の世界で生きてきた人間が製造の現場に立ったとき、一番戸惑ったのは機械でも作業内容でもありませんでした。「誰も、何も、しゃべらない」ことでした。

今日は、店長から製造の現場に移って、最初の数週間で本気で面食らった話を書きます。

静かすぎる現場に、最初は不安になった
転職して最初の週、私は正直、落ち着きませんでした。

店舗にいた頃は、朝礼で声を出し、開店前にスタッフと軽く雑談し、フロアに出れば「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」が絶え間なく飛び交っていました。会話の量そのものが、その場の空気を作っていたんです。

製造の現場は違いました。仕上げ作業、検品、フォークリフトでの運搬。黙々と手を動かす人たちの中に放り込まれて、最初の数日は「自分は何か嫌われているんじゃないか」とすら思いました。作業中、指示はあるが、皆黙々と仕事をこなしていき、雑談的な話はしてこない・・・

これは接客業の常識が、まったく通用しない世界でした。

「静か=チームワークがない」は、私の勘違いだった
しばらく現場にいて気づいたのは、この静けさは無関心ではなく、むしろ「必要な情報だけを、必要な人に、確実に伝える」という文化だということでした。

店舗では、雑談の中に重要な情報が紛れ込んでいることがよくあります。「そういえばさっきお客様が」という会話から、クレームの芽に気づいたりする。逆に言えば、雑談量そのものが情報の流通量になっていました。

製造の現場では、そのやり方は通用しません。ラインが止まれば損失に直結します。だから、伝えるべきことは口頭よりも、指示書や引き継ぎメモといった「形に残るもの」で流通させる。雑談は業務の外側に置かれていて、 業務の中には入ってきません。(ちなみに、口頭で伝えることが基本です)

私はこれを「冷たい」と感じていましたが、実際には「属人的な会話に頼らない」という、これまで自分が現場で目指してきた仕組み化の考え方と、根っこは同じでした。ただ、その表現の仕方がまったく違っていただけです。

自分の常識を「唯一の正解」だと思っていたことに気づく
これは正直、恥ずかしい気づきでした。私は「コミュニケーションが多い現場が良い現場だ」と、約23年間の現場経験の中で無意識に思い込んでいました。

でも製造の現場を見て、コミュニケーションの「量」と「質」は別物だと分かりました。会話が少なくても、指示が明確で、誰が何をすべきか全員が把握できていれば、現場は静かなまま機能します。むしろ、無駄な会話がない分、ミスの原因になる「聞き間違い」や「言った言わない」が起きにくいとさえ感じています。

異業種に移って一番の収穫は、新しい技術でも人脈でもなく、「自分の当たり前は、他の現場では当たり前ではない」という、この一点でした。

これから異業種に飛び込む人へ
もし今、50代で異業種への転職を考えているなら、一番の壁は技術やスキルの不足ではなく、「自分の現場の常識を、そのまま持ち込んでしまうこと」だと思います。

前の現場で正しかったやり方が、次の現場では的外れになることがある。それに気づけるかどうかは、経験年数ではなく、素直に観察できるかどうかにかかっています。

私自身、27年の営業、接客・マネジメント経験は今も財産だと思っています。ただ、それをそのまま次の現場に持ち込むのではなく、「この現場では、何が当たり前なのか」を最初の数週間、意識的に観察する時間を取ったことが、結果的に一番役に立ちました。

もし、これまでの経験をどう次の現場に翻訳すればいいか迷っているなら、一緒に整理しませんか。異業種への転職ほど、これまでの強みの「言い換え方」が重要になる場面はありません。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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そして、「異業種に移って一番驚いたこと」があれば、遠慮なくコメント欄で教えてください。ここは「持たざる50代の作戦会議室」です。あなたの生々しい現場のデータが、他の同志を奮い立たせる最大の武器となるでしょう。

それでは、次回の作戦会議で。
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