#76 塩野義がコロナ経口薬を承認申請

#76 塩野義がコロナ経口薬を承認申請

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塩野義がコロナ経口薬を承認申請、条件付き早期承認制度の適用を希望投与対象の範囲は、今後PMDAが判断か


 塩野義製薬は、2022年2月25日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して開発中の経口抗ウイルス薬(開発番号:S-217622)について臨床試験結果を発表した。

第2/3相試験のうち、第2b相部分の主要評価項目について、抗ウイルス効果に関する1つ目の項目は達成し、症状改善効果に関する2つ目の項目は未達だった。

今回の解析結果などを基に、国内で製造販売承認申請を行ったことも明らかにした。



 S-217622の第2/3相臨床試験は、

(1)軽症/中等症患者と無症候/軽度症状のみの感染者合計69例を対象とした第2a相部分、

(2)軽症/中等症患者428例を対象にした第2b相部分、

(3)軽症/中等症患者1260例を対象とした第3相部分、

(4)無症候/軽度症状のみの感染者約300~600例を対象とした第2b/3相部分──から構成された多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験。

うち、(3)と(4)は現在も実施中だ。



 いずれのパートでも、被験者をS-217622の低用量群、高用量群、プラセボ群に割り付け、1日1回、5日間にわたって投与し(治療期間)、

その後、23日間フォローアップして(フォローアップ期間)、有効性や安全性を評価する。


 同社は、1月末の2021年度第3四半期決算の発表時や2022年2月7日の会見で、

(1)軽症/中等症患者と無症候/軽度症状のみの感染者合計69例を対象とした第2a相部分の解析結果を開示。

プラセボと比較して有意に優れた抗ウイルス効果を示したこと、限られた症例数による結果ではあるが、低用量群と高用量群では重症化した症例が発生しなかったこと、臨床症状の改善傾向が見られたこと、重篤な有害事象は見られなかったこと──などを説明していた。





 今回同社は新たに、

(2)軽症/中等症患者428例を対象にした第2b相部分の主要評価項目の解析結果を発表した。

それによると、被験者はオミクロン株が流行後の感染者を中心に、日本から419例、韓国から9例が登録された。

そしてS-217622の低用量群、高用量群、プラセボ群に割り付けられ、有効性、安全性などを評価した。

有効性の主要評価項目の1つ目は、抗ウイルス効果で、4日目(3回投与後)における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のウイルス力価のベースラインからの変化量に設定された。

2つ目は、症状改善効果で、COVID-19の12症状合計スコアの初回投与開始から120時間(6日目)までの単位時間当たりの変化量に設定された。





 今回の解析の結果、1つ目の主要評価項目である、4日目(3回投与後)におけるウイルス力価の有意な減少は認められた。

しかし、2つ目の主要評価項目である、12症状合計スコアの初回投与開始から120時間(6日目)までの単位時間当たりの変化量については、「プラセボ群と比較して改善方向に推移したものの、統計学的に有意差は認められなかった」(塩野義製薬のプレスリリース)。



 つまり、主要評価項目は、抗ウイルス効果に関する1つ目の項目は達成し、症状改善効果に関する2つ目の項目は未達だったということだ。

ただし、症状改善効果について、12症状の中でも呼吸器症状(鼻水または鼻づまり、喉の痛み、咳、息切れ(呼吸困難))に限った合計スコアは、高用量群でも低用量群でも、有意な改善効果を示したという。安全性に関して、新たに懸念される有害事象等は認められなかった。



 今回の解析結果について、国内の証券アナリストは「そもそも、症状改善効果で有意差を示すのはかなりハードルが高いと考えられていた。

その点今回、オミクロン株の特徴的な症状に対して有意な改善効果が示されたことは意味があると考えている」と話す。



 塩野義製薬は、先日発表した第2a相部分の解析結果と、今回発表した第2b相部分の解析結果に基づき、国内で製造販売承認申請を行った。条件付き早期承認制度の適用を希望しているという。



 現状国内で、軽症から中等症のCOVID-19患者を対象に承認されている経口抗ウイルス薬としては、ファイザーの「パキロビッドパック」(ニルマトレルビル・リトナビル)とMSDの「ラゲブリオ」(モルヌピラビル)がある。ただいずれも、臨床試験の投与経験から、投与対象は「重症化リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者に投与すること」とされている。


 一方、S-217622の第2a/b相臨床試験では、重症化リスク因子に関わらず、無症候/軽度症状のみの感染者や軽症/中等症患者を対象としたことから、承認されれば重症化リスク因子の有無にかかわらず使用できる可能性がある。

ただしその場合、S-217622を投与できる対象が、軽症/中等症患者に限られるか、または、無症候/軽度症状のみの感染者まで含まれるかは、今後追加で提出される解析データも含め、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の判断になりそうだ。



 S-217622は、塩野義製薬と北海道大学との共同研究で創製された経口抗ウイルス薬。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の増殖に必須の酵素である、3CLプロテアーゼを選択的に阻害して、SARS-CoV-2の増殖を抑制する作用機序を有する。


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