自社のスタッフで、ホームページは作れます(1)まず、住所の名義を取り戻す

自社のスタッフで、ホームページは作れます(1)まず、住所の名義を取り戻す

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IT・テクノロジー
ある会社から、ホームページの相談を受けました。五、六年前に外の会社に作ってもらったもので、WordPress というよくある仕組みで動いています。

保守は、作った会社に業務委託で頼み、毎年費用を払ってきました。ただ、大幅にリニューアルしたいとなると、それとは別に費用がかかります。それが出せない。

そう聞いて、私が勧めたのは、スタッフが自分で作ることでした。

少し前なら、ホームページを一から作るには、HTML という書き方の知識が要りました。知識がなければ WordPress のような仕組みや、ホームページ作成のサービスを使うことになりますが、これも使い方の勉強が要ります。

それが今は、AI に「こういうページを作りたい」と伝えれば、知識がなくても作れます。

ページそのものを作るのは、もう簡単です。多少の苦労があるとすれば、作ったページを世の中に公開する設定のほうです。ただ、これも AI がウェブの情報を調べながら手順を教えてくれるようになったので、以前より楽になっています。

私は作る側ではなく、教える側に回ります。

私は作らない、と決めた


正直に言うと、私が作ってしまうほうが、たぶん早いです。

でも、それをやると、今の外注と同じことになります。作った人が私に変わるだけで、「少し直したい」と思ったとき、また私に連絡して、待って、費用がかかる。それでは意味がありません。

だから今回は、スタッフの方一人に、ホームページの作り方を最初から教えることにしました。私の仕事は、できあがったあとに私がいなくても直せるようにすることです。

始める前に、ひとつ問題があった


作業を始めるにあたって、まず決めないといけないことがありました。ページのファイルを、どこに置くか、です。

ふつうは、借りたサーバーにファイルを置きます。ただ、それだと直すたびに、書き換えたファイルをサーバーに送り直す手間があります。今は AI にその作業を頼むこともできますが、サーバーに入るためのパスワードを AI に渡すことになりますし、「どのファイルを、どこへ」を毎回間違えないか気を遣います。

できれば、直すところから公開まで、全部 AI にやってほしい。それで相性がいいのが GitHub という、文章のファイルを置いておける無料の場所です。

GitHub に置いておくと、こうなります。

・「料金の表を一行直して」と AI に頼めば、直して、公開まで済ませてくれる。送り直す作業が、そもそもない
・直す前の版が全部残っていて、壊したら戻せる
・サーバーのパスワードを AI に渡さなくて済む
・二人で同じファイルを直しても、上書きで消えない

教える相手が素人でも、覚えることが少なくて済みます。

ただ、置き場を変えると、ホームページの住所(URL)が変わってしまいます。今の「〇〇.com」は、何年もかけて検索に出るようになったものです。これは変えたくない。

答えは、住所と中身を切り離すことです。「〇〇.com」という住所は、年に一度お金を払って借りている名前で、中身のファイルとは別物です。「〇〇.com」と打ったときに、どこにあるページを見せるか。それを決めている「案内板」(DNS といいます)があります。この案内板を書き換えて、GitHub のほうに向けます。住所はそのまま、中身は全部 GitHub に、という形です。

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もうひとつ、問い合わせを受け取ったり、会員を登録したりする裏方の仕組みも要ります。これはクラウド型のデータベース(データを預かってくれるサービス)に置くことにしました。それだけではなく、今は Excel などでばらばらに保管しているデータも、ゆくゆくはここに集められます。ホームページの裏方が、会社のデータの置き場にもなる、という考えです。

どれも、無料から月数千円で済む範囲です。

外注から、自社の管理に移すには


ここが、いちばん不安に思われるところだと思います。今まで外の会社が全部持っていたものを、自分たちの手元に移す。何を言えばいいのか、こちらで何をすればいいのか。今回の進め方は、こうです。

委託先に頼むこと

1. 住所(ドメイン)の名義と、借りている先の管理画面を教えてもらう。名義が委託先になっていれば、会社の名義に移してもらう
2. WordPress の中の記事と写真を、まとめて書き出してもらう
3. 保守契約をいつ終えるか、相談する。新しいページが公開できるまでは、今のページを止めないでもらう

こちらでやること

1. 住所の管理画面に、会社の人が自分で入れることを確かめる。案内板(DNS)を書き換える権限を、社内で持つ
2. 書き出してもらった記事と写真を受け取り、GitHub に置く
3. 新しいページを先に作って、動くのを確かめてから、案内板を切り替える。切り替える前に古いページを消さない

順番が大事です。先に契約を切ると、切り替えの前にホームページが消えます。先に住所の権限を押さえ、次に中身を受け取り、最後に切り替える。委託先と揉める話ではなく、淡々と引き継ぎをお願いする、という感じです。

いまどうなっているか


今の時点では、今あるページの問題を洗い出し、新しいページの構成を決め、代表に確認したところです。スタッフの方には、公開までの流れをひととおり説明して、AI と一緒に作業する準備——作業用のフォルダを作る、試しのページを一枚作ってみる——まで手ほどきしました。一週間後に、できたものを一緒に見る約束です。本番のページの中身は、まだこれからです。

ひとつ、読んでいる方に聞いてみたいことがあります。自分の会社のホームページの住所「〇〇.com」が、誰の名義で、どこで借りているか、知っていますか。今回の会社では、最初、誰も答えられませんでした。外注に任せていると、珍しいことではありません。そこが分からないままだと、作り直すどころか、住所の更新が止まってホームページごと消える、ということも起きます。一度、確認してみてください。

かかるもの(見込み)


・住所(ドメイン):今までどおり、年 3,220 円
・中身を置く場所(GitHub)と公開:0 円
・裏方(クラウド型データベース):0 円。毎日の控え(バックアップ)まで付けるなら、月 25 ドル(約 4,000 円)
・今までの保守費:月 30,000 円(年 36 万円)。作り直したあとは 0 円
・スタッフの方の時間:ひと月ほど(見込み)

ひとこと


今回の仕事で一番大事にしているのは、できあがりの見た目ではありません。できあがったあと、私がいなくても直せることです。

教えるほうが、作るより時間がかかります。でも、私が作ったホームページは、また「少し直したい」が言えないホームページになります。そこで終わりたくありませんでした。

次回は、ページの中身を GitHub に置く話と、AI への頼み方を書きます。
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