なぜ私は、高い仕組みをお勧めしないのか

なぜ私は、高い仕組みをお勧めしないのか

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IT・テクノロジー
AIを触ってみて、いちばん驚いたこと

去年から、AIやGoogleのいろいろな道具を本格的に触り始めました。

驚いたのは、性能ではありませんでした。値段です。

無料で使えるものが、たくさんある。有料でも、月に数千円。それで、これまで人が何時間もかけていた作業が、ずいぶん軽くなる。触りながら、何度も「こんな時代になったんだ」と思いました。

私は最初に勤めたのがソフト開発の会社で、コンピュータはそこの現場で覚えました。当時、何かを自動化しようと思ったら、お金と技術の両方が必要でした。安い道具がなかったわけではありません。表計算ソフトも、無料のものもあった。ただ、それを使いこなす技術のほうが壁でした。だから結局、「詳しい人にお願いする」以外に道がなかった。

いま変わったのは、この技術の壁のほうです。

分からないことは、AIに聞きながら進められます。「こういうことがしたい」と言葉で伝えれば、やり方を教えてくれるし、面倒な手順も代わりに組み立ててくれる。つまり、技術を先に身につけてから始める必要がなくなりました。やりながら覚えればいい。

安く使える道具が増えたことと、AIが技術の部分を助けてくれること。この二つが重なったのが、いまだと思っています。片方だけでは、こうはなりませんでした。

だから私は、いきなり高い仕組みをお勧めしません。

理由はふたつあります。

ひとつは、多くの困りごとが、無料〜月数千円の範囲で片づいてしまうからです。「まずこれを試してみましょう」で終わることが、本当に多い。

もうひとつは、こちらのほうが大事なのですが——高い仕組みは、作った人がいないと直せなくなるからです。少し変えたいだけでも、また連絡して、また費用がかかる。便利になったはずなのに、身動きが取りづらくなる。私はそれを、あまりいいことだと思っていません。

高い仕組みが悪い、と言いたいわけではありません。本当に必要な場面はあります。ただ、順番が違うことが多い。小さく試して、「うちに何が要るのか」が分かってから作るほうが、結局は安く済んで、しかも自分たちのものになります。

昔、ある職人の方に教わった言葉があります。「本当にできる職人は、道具まで自分で作る」。

一人で驚いていた「こんな時代になったんだ」を、同じように驚いてもらえたら嬉しいな、と思っています。
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