「レンズ越し」のすれ違い〜運動会や発表会で、なぜ夫婦のビデオ撮影は喧嘩になっちゃうの?〜

「レンズ越し」のすれ違い〜運動会や発表会で、なぜ夫婦のビデオ撮影は喧嘩になっちゃうの?〜

記事
コラム
子どもの晴れ舞台、運動会や発表会の季節になると、どこからともなく聞こえてくる夫婦の小さなため息や、ちょっとトゲのある会話があります。

「もっと全体を撮ってほしかったのに!」

「こっちだって一生懸命撮ってたんだよ!」

せっかくの思い出を残すためのビデオ撮影だったはずなのに、終わってみたらお互いにモヤモヤして、文句を言い合ってしまう……そんな経験、あなたにもありませんか?

大切な我が子の成長を喜ぶ気持ちは二人とも同じはずなのに、どうしてこんな風にすれ違ってしまうのでしょうか。

長年、多くの方の家族の悩みや夫婦関係のお話を聞いていると、この「ビデオ撮影事件」には、夫婦の心理的なギャップがとてもわかりやすく表れていることに気づかされます。

カメラを構える側は、「失敗できない」というプレッシャーと闘っています。

我が子をフレームから外さないように、手ブレしないように、決定的瞬間を逃さないようにと、画面の小さなお子さんに全集中しているのです。

だから、周りの雰囲気や「あ、今あそこでお友達と笑い合ったな」というリアルな空気感を味わう余裕はほとんどありません。

一方で、撮影をお願いした側は、レンズを通さずに自分の目で全体を見つつ、「あとでこの素晴らしい瞬間をビデオで何度も見返したい」という期待を膨らませています。

ここに、大きな「見ている景色の違い」が生まれてしまうのです。

お願いした側は「全体の雰囲気と我が子のアップ、両方を完璧に残してくれたはず」と思い込み、撮影した側は「言われた通り一生懸命撮ったんだから感謝してほしい」と思っています。

お互いに「家族のために」「子どものために」と思って動いているのに、ゴールだと思っていた景色が少しずつ違っていたのですね。

文句を言い合ってしまう裏側には、実は「もっと一緒に感動を分かち合いたかった」という、温かくて愛おしい気持ちが隠れています。

撮れた映像に文句を言ってしまうのは、相手を責めたいからではなく、「もっと素敵な思い出として二人で共有したかった」という寂しさの裏返しなのかもしれません。

撮影した側が怒ってしまうのも、「こんなに頑張ったのに認めてもらえなかった」という悲しさがあるからです。

お互いに「分かってほしい」という気持ちがぶつかり合っているだけなんですよね。

もし、次の発表会や運動会で同じようなモヤモヤを感じそうになったら、ちょっとだけカメラから離れてみるのも一つの方法です。

ビデオの映像が少し手ブレしていたり、我が子がフレームから外れて天井が映っていたりしても、それはそれで「あの時、パパ(ママ)も緊張してたんだよね」なんて、数年後に笑い合える貴重な思い出になります。

完璧な映像を残すことよりも、もっと大切なのは「今日、我が子がこんなに大きくなったね」と二人で顔を見合わせて笑い合う時間です。

撮影の仕方に100点満点を求めるのを少しだけ手放して、「撮ってくれてありがとう」「一緒に見られてよかったね」と声を掛け合えたら、それだけでその日は大成功ではないでしょうか。

カメラのレンズ越しではなく、お互いの目を見て温かい気持ちを交わし合える、そんな優しい時間がご家庭に増えていくことを願っています。

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