地獄への道…2

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私は子供たちに「仕事を辞めた」ことを隠していた。

いつものようにスーツを着て、保育園にいつも通り送った。

けれど、その後から行くところがない…。

そのまま家に帰る…。

私は気分転換に友達を呼んだ。今まではあまり関わりのない友達?知人といったほうが当てはまるのか…。

その知人Yちゃんに連絡してみたところ、快く遊びに来てくれた。

何も聞かず、ただ他愛のない話をしたりして過ごした。

多分スーツを着ているから仕事の合間に会っているのだろうと思っていたと思う、Yちゃんは3勤3休の仕事をしていたため、ただタイミングがよく会えたのだ。

それから何回か会う機会があった。

私は、他の仕事をしないと!!
と思いつつも…
買い物にスーパーに出ても
「あれ?今日お仕事お休み?」と保険屋で出会ったお客さんに話しかけられる。

私は「あ~…はい…」と言葉を濁す。

「辞めた」とは言いたくなかった。

辞めたくて辞めたんじゃない!!

そう叫びたかった。

その瞬間!!

今まで味わったことのない「動悸」がしたのだ。

もう立っていることすらできず、しゃがみこんでしまった。

なんだ?!これ!!

誰かが話掛けてくれたと思うが、声があまり聞こえてこなかった。

しゃがんで少し経ったら落ち着いた。

立ち眩みだったんだろう…。

そう思った。

さすがにビックリした。血圧もそんなに高いわけではない、むしろ「低いほう」だったから「たちくらみ」だと思った。

買い物を済ませ帰宅したとき、また激しい動悸…。

なんだろう…。

そういえば、仕事を辞めてから、ご飯…食べていない…。

何日経っただろう…。

そう、私は家ではあまりご飯を食べていなかった。そもそも。

朝は子供たちの準備や家事で食べずに出社していた、お昼は15時を過ぎてからラーメン。

夜はお昼が遅いのと子供たちのご飯やお風呂、子供たちの話を聞いて、寝かせる。

仕事を辞めてから「ご飯を食べる」ということが無くなっていた。

けれど「食べたい!」という気持ちにもなれなかった。
食欲がない。

夜ご飯は子供たちの「リクエスト」が多く自分で食べたいもの、など作ったことがない。

ひたすら、「タバコとブラックコーヒー」だけがご飯だった。

それから数週間くらだろうか、Yちゃんが「友達連れて行っていい?」というので快く受け入れた。

週末「ヒカリちゃん子供いて外出れないだろうから家飲みしようよ」と言ってきた。

そうだ、Rさん以外の人と飲んだことがない、と思い「おいで~」と言った。

何か「気分転換になるかな」と思ったのだ。

元旦那からは2か月くらいはちゃんと振込があった。

あとは「失業手当」が来るのを待つだけ。
一応、「退職金」も80万円くらい頂けたので、贅沢をしなければ少しは暮らしていけるかな、とも思っていた。

週末はYちゃんと私と、Yちゃんの友達Gさんと3人で「家飲み」をすることが恒例になっていた。
3人でお金を出し合ってお酒を買ったりツマミを作ったりして、とても楽しかった。

週末は子供たちにも影響ないだろう、とも思った。

もちろん子供たちには子供たちのご飯は別に作って早めに食べさせていた。

そうして、何か月だろうか…初めて自分で買った「車」が故障した。

車屋さんに持って行くと「マフラーも壊れているし、色々修理すると買った方が安いよ」と言われてしまった…。

今…この状態なのに…。

一応、車屋さんが中古の軽自動車を見せてくれたが、どれも高い…。

子供を乗せるのに小さすぎては意味がない…。

元々「軽自動車」ではあったが、この先子供が大きくなることなどを考えたら…。などと思っていた。

悪いことは続く、とはこのことか、というくらいに続いた。

かといって、すぐキャベツを買うような買い物ではないので、応急処置をしてもらい、帰った。いずれにせよ車検は通らない、と言われた。

そんなある日、いつものように子供を保育園に預けて、家に帰ると…

無意識にカーテンを閉めていた。

そして布団に入り込んで寝てしまっていた。

疲れていたのだろうか…。

そうだよな…。もうしばらく「休み」という休みなどしたことがない。

しばらく、というより、「いつ休んだのか」すら覚えていない。

その週末、また3人で会って飲んでいた。
が、
「ヒカリさん?最近めちゃくちゃ瘦せすぎてない?」と言われた。

ん?そうかな…

「そう?服のせいじゃない?」と言ってみたがYちゃんは譲らなかった。

「なにかあったの?」

ドキッ!!

私は、その時初めて、仕事の事や離婚したことを話した。

Yちゃんは「え!?そんなことがあったの?大丈夫?」と心配してくれた。

「大丈夫よ!これくらいじゃ負けないわよ!」と笑って返した。

生憎、家には「体重計」がなかったため、本当に痩せたかどうかはわからなかった。

けれど、入社したときよりは確実に痩せていたと思う(笑)
入社したときのスーツのサイズは17号だったが、退職するときには9号でも大きかった。

私は「私服」というものをあまり持っていなかった。
スーツかジャージで、1日が済んでいたから。

そうしているうちに、ある日保育園の保育士さんから呼び止められた
「お母さん…仕事してる?」と…。

やばい…。バレたかな、

「え?なんでですか?」と聞くと「用事があって会社に電話したらいないって言われたから…」と…。

あぁ…。
「あ~…実は辞めました…けどすぐまた仕事するので!」と言って帰ってきた。

幼稚園は仕事していなくてもいいが「保育園」は違う。

なんでもいいから探さなきゃ…。

私は焦る一方で、気持ちと体がバラバラになっていく感覚があった。

通帳を見ると退職金が入っていた。

よし、これで買える車を買おう。

仕事をしてないからローンなんか無理だし、まず多分「ブラック」だし…。

そして車を見に行ったら丁度「軽ワゴン」の人気の車種があった。

車屋さんに「一括で買うから安くして!」とお願いして、88万から80万円に下げてもらった!

すぐ乗れるようだったので、あとは「名義変更」をすればいいとのこと。
それは翌日できる、とのことだったので、購入した。

今までの車に寂しさを感じながらも、「これも元旦那と一緒に買いにいった車だしな」と、色んな意味で「お別れ」をした。

子供たちは「新しい車」にとても喜んでいた。

今までよりはグンと広くて乗りやすい。

買ってよかった、と思った。

その月の月末…

入っていない…振込が…。

旦那に電話をした。

「あれ?入っていないけど…」と

「あ~俺も給料少なくてよ、わりぃな8万でいいか」と言ってきた。

やっぱり…。

給料少ないだけではない、私はそう思ったが
「あれ書いたのなんだったの?」と聞くと
「仕方ないだろ、給料が少ないんだから!文句あるなら会社に言ってくれよ、その前にもう言える立場じゃないけどな」
と言われた。

そういう問題ではないが、会社には言える立場ではないことは私でもわかる、それを利用して言ってくる、その言い方も性格にも腹が立った。

私は会社を辞めたことは知らない。

本当は言いたかったが、なんか言いたくなかった。プライドなのか意地なのかはわからなかったが…。

余計なことを言うと喧嘩になりそうだったから「うん、わかった」と言って電話を切った。







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