Rさんが働くところでバイトをすることになった。
時間は朝8時~14時・10時~18時のシフト制だった。
朝の8時はちょっとキツイかなと思ったが保育園も7時から開園していたので、その辺は子供たちを少し早く保育園に連れていくことにした。
ということは…私の家事をする時間を早めなくてはいけなかったが、それもどうにか時間の逆算をして、なんとかしようと思っていた。
時間が早い分、早く終われるから、その時間少し休もうか…などと考えていた。
そこのフードコートでは、「ラーメン・パスタ・アイス・クレープ」などを提供していた。
全ての工程を、そこの人達でやらなければいけないような感じだった。
覚えることがたくさんあるなぁ…。
体力も相当必要だった。お昼のピーク時にはたくさんのお客さんがきた。
もちろん初日の私にはサポート的なことしかできなかったが、それでも終わったころには、息もできないくらい疲れていた。
その職場では、若い人も年配の人も混じっているせいか、あまり「もめ事」のようなものか感じられなかったが、油断はできない。
数週間たって、やっと仕事にも慣れてきた。
土曜日は保育園にお願いして日曜日だけ、旦那にお願いしていた。
その日曜日…、
事件は起きた。
私がいつも通り、旦那に子供を預けて仕事に行った、
お昼のピークになり、忙しくなった。
そんな時、旦那が血相を変えて私が働くフードコートに駆け込んできた!!
「大変だ!息子がいなくなった!!」
とフードコートの目の前で叫んだ。
私は咄嗟のことで、「え!なになに?どういうこと?」
とパニックになったが、すかさずRさんが
「他のお客さんに迷惑だから、ちょっと待って」と促した。
待ってもいられなかったのか、旦那は駆け足で、その場を去っていった。
従業員も少なく、ギリギリでやっていたため私にはどうすることもできず…
というか、なぜ子供がいなくなる、ということが起きるんだろう。
子供すらまともに見れないのか。
と怒りの感情しか沸かなくなっていた。
そしてピークも過ぎたあたりで旦那が来た。
「見つかったから…」
とだけいい、帰っていった。
それから私は仕事を終え、家に帰って、ことの経緯を聞いた。
それは午前中、自分は「子供たちが遊びにいったから家事をしていたけど、お昼になっても帰ってこなかったから娘に聞いたら、『わからない』と言われた。それで慌てて周りを探しに行ったけどどこにもいなくて仕事場に行ってしまった。それから娘と一緒に探していたらパトカーに乗った息子が帰ってきた」
というのだ。
息子は当時まだ4歳くらいだったと思う。
三輪車に乗って遊んでいたそうだが、自宅から1キロほど離れた「カーショップ」にいき、そこで保護された、ということらしい。
まずは何事もなくてよかった。
私はその話を聞いて、旦那を責める気持ちはなかった。
家事をしていて、遊んでいる時間など親でもわからないから。
誰にでもいつでも起こりうることだな、と思った。
カーショップの人には手土産を持ってお礼に行った。
旦那は落ち込んでいた。
「俺は、家事も子供の事もロクにできないのか…お前はすごいな…」
と…。
「まあ…何事もなくてよかったよ」とだけ言った。