夕方、台所で少し絡まってしまった麻の紐を直していました
焦って強く引っ張るほどに結び目は固くなり、指先にじわじわと痛みが残る。
そのとき、ふと「相手のために」と自分を抑え、何かを必死に堪えているときの、胸の奥のきゅうとした痛みに似ているなと思ったのです。
関係を壊したくないからと、本音を飲み込み、自分の輪郭を少しずつ削っていく。
それは優しさのようであって、実は静かに自分をすり減らす作業なのかもしれません。
東洋思想のベースにある陰陽の視点では、人と人との関係もまた、心地よい「巡り」があって初めて健やかに保たれると考えます。
一方が「陽」として自分の意見ばかりを通し、もう一方が「陰」として我慢を受け入れ続ける。
このような偏ったバランスが長く続くと、二人の間を流れる気は次第に淀み、やがて冷たく固まってしまいます。
タロットカードのなかに描かれる、自らを縛る紐に身動きが取れなくなっている姿のように、我慢の結び目は、お互いの自由を奪ってしまうのです。
相手を大切にしたいときほど、無理に物事をコントロールしようとする手を、一度止めてみる必要があります。
まずは、自分がどれだけ冷たい水を飲み込んできたのか、その「我慢の事実」をただ静かに認めてあげること。
固くなった結び目をほどくには、力を抜いて、隙間を作ってあげることが一番の近道です。
ほんの少しだけでいいので、自分の「心地よさ」の側に、意識の重心を戻してみる。
あなたが自分の呼吸を深くし、内側をあたたかく満たしていくとき、二人の間の空気もまた、自然と緩やかな流れを取り戻し始めます。
今夜は、誰かを思いやるのと同じくらい、ご自身の心を優しく労ってあげませんか。