【ちょっと待った!】「では、こちらにサインをお願いします」

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先日の「正直不動産」ご覧になりましたか?
マンション内見の際、ミネルヴァ不動産の担当者が、その場で契約書に署名・押印を迫るシーンがありましたね。
あんなシーンを見ちゃうと、怖くて内見なんかできなくなりますよね。

でも実際には、いきなり内見した現地で契約を行うようなことは出来ませんのでご安心ください。
そこで今回は、元大手不動産営業マンの筆者が、不動産の申込から契約の流れや解約のルールについて、わかりやすく解説します。

1.申込してしまったら契約したことになるの?

ドラマにあったような中古マンションの1部屋を1社が独占的に販売することは稀です。
売主は、個人または個人から買取りリフォームして再販する不動産業者になります。
売却する場合は、個人であれ不動産業者であれ、仲介会社と媒介契約を交わす必要があります。
依頼された仲介会社は、レインズ等へ情報を登録し、他の不動産会社にも広く情報を公開します。
ですから、実際に内見に同行する仲介会社が、売主と直接やりとりするケースは稀です。

物件を内見し、顧客が購入を希望した場合、買主側の仲介会社は、顧客から購入申込書(買付)を取り付け、売主側の仲介会社に提出し、売主との交渉を依頼します。
購入申込書には、購入希望価格や支払方法・時期、引渡し条件、住宅ローンを利用の有無などを記載します。
現地では購入申込書を記入するところまでで、売主が申込条件を承諾し、初めて契約の運びとなります。

また、契約というのは売主、買主双方が署名・押印するものです。
さらには宅建業法で、売買契約までに、宅建業者は買主に対し重要事項説明を行うことが義務づけられています。
重要事項説明は、購入物件について、役所や現地、管理会社などから調査した詳細な事項について記載されたもので、宅建取引士が1~2時間かけて説明します。
当然ですが、ここで初めて知ることもあり、納得いかなければ、契約をキャンセルすることも可能です。
もちろん、この時点では契約すらしていないので、何らペナルティもありません。

重要事項説明は、売買契約締結を前提に、契約の前に行うことが一般的です。
説明に問題がなければ、売主・買主が揃って売買契約書に署名・押印し、手付金の授受を行うことになります。

2.契約してしまったら解約できないの?

では、一旦、契約してしまったらキャンセルできないのでしょうか?
そんなことはありません。
不動産は一生を左右するような大きな買い物ですから、宅建業法は消費者を守るためいくつものルールを作っています。
それが”解約”です。

契約後、解約できるタイミングは3回あります。
契約は相手あってのことなので、すべてがノーペナルティというわけではありませんが、
引渡し時期が近付くにつれペナルティも重いものにになります。

①融資利用特約による解除
不動産は高価な買い物ですから、ほとんどの方が不動産の購入時には住宅ローンを利用します。
逆に言うと、住宅ローンが借りられなければ、いくら買主の購入意思が強くても取引は成立しません。
一方、売主にとっては早く次の買い手も見つけないと、売却のタイミングを逃すことになります。
そこで、〇月〇日までに〇〇銀行で〇〇万円の住宅ローンの承認がおりない場合は、買主は白紙解約できるという特約です。
白紙解約というのは、最初からなかったことになるので、契約時に払った手付金も当然返還されます。
買主が住宅ローンを利用する場合、必ず契約書に入れなければならない特約です。

ここでのポイントは、「買主は~、解約できる」です。
つまり、あらかじめ定められた期日までに解約する旨を売主に伝え、解約の合意を得なければなければ、契約はそのまま履行されてしまうということです。
しかしながら、特約日までに審査結果が出ないのがわかっていて、直前に住宅ローンの申込をしてくる業者や、既に住宅ローンの審査が不承認となっているにもかかわらず、なかなか売主へ伝えない業者もおり、トラブルになっているケースもあります。
そうならないためにも、契約前にいくつかの金融機関で住宅ローンの事前審査を受けて、本審査を申込む金融機関を絞りこんでおく必要があるのです。

②手付解除
手付解除は、〇月〇日までであれば、買主から解除する場合は、売主へ支払った手付金を放棄し、売主から解除する場合は、買主から受領した手付金を返還し、さらに同額の金員を買主に支払うことで、解約できるという条項です。

例えば、買主が手付金10万円で契約するとします。
その後、売主のもとに、契約した金額よりも100万円高く買ってくれる人が現れたとします。
あなたならどうしますか?
売主は、買主から受領した手付金10万円に加え、同額の10万円の合計20万円を買主に払い解約するかもしれません。
なぜなら、新たな買主と契約した方が100万円高く売れるなら、10万円のペナルティを払っても、90万円の得になるからです。

手付金なんて、いくらでもいいじゃないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、手付金は契約に重みを持たせるために売買代金の5%~10%というのが一般的になっています。
上記のようなことは、実際には、信義上起こりえないですが、契約した翌週に親が亡くなり、実家に戻らなければならなくなった為、やむを得ず解約されたことは経験上あります。

③違約解除
さて、買主のローンも承認がおり、手付解除の期日を過ぎると、買主は金融機関でお金を借りる契約(金消契約)を進め、売主は物件を引き渡すために引越の準備等を始めます。
この段階で、売主・買主のどちらかが契約の解除を申し出ると、どうなるでしょうか?
相手方にそれなりの損害が生じるため、トラブルに発展します。
具体的な損害額を算出するのは大変困難なため、そのようなケースを想定し、あらかじめペナルティを決めておくのがこの条項の意味です。
本来あってはならないことですので、売買代金の10~20%と定めるのが一般的です。

3.まとめ

いかがでしたか?
前述した通り、マンションを見に行っただけで、契約をさせられることは決してありません。
買主に購入に必要な資金の裏付けがないのに契約しても意味がないからです。
裏を返せば、気に入った物件が出てきた時、資金の裏付けがないと相手にされないということでもあるのです。

もし、近いうちに不動産の購入をお考えなら、まずは住宅ローンの事前審査をしてみてください。
少なくとも、事前審査に必要な本人確認資料収入確認資料などは、いつでも提出できるよう準備されておかれることをお勧めします。