テクノロジー「命誕生創造起源」
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IT・テクノロジー
地球で生命が誕生できる様な環境が
約何年前にできたのか?
これをコンピューターで計算し
突き止めました
研究者が注目したのが
「RNAワールド」という
生命のかなり初期の段階です
研究チームの計算では
RNAワールドが成立するのに
最も適した時期は
約43億3000万年前だったと
推定してます
ただしこれは43億3000万年前に
生命が誕生した事が証明された
という意味ではありません
ここは非常に重要で
この論文が調べたのは主に
生命が生まれる為の温度や環境が
その頃存在できたか?
という問題です
① RNAワールド
現在の地球上の生物では
DNA → RNA → タンパク質
という仕組みが生命活動の
中心になってます
DNAは生命の
設計図の様な物です
しかし生命が誕生したばかりの時代は
現在の様な複雑な
DNA・タンパク質システムは
まだ存在しなかったと考えられてます
そこで出てくるのがRNAワールド
という考え方です
RNAは
遺伝情報を保存できる
化学反応を助ける事ができる
条件によっては自分自身の
複製に関係する働きができる
というDNAとタンパク質の
両方に少し似た性質を持ってます
そのため生命の非常に初期には
RNAを中心とした原始的な
生命システムが
存在したのではないか?
という仮説があります
② 約45億年前の地球は
とても過酷だった
現在の地球は
液体の水がある
海がある
温度が比較的安定している
生物が暮らせる場所がたくさんある
という環境です
でも地球が出来たばかりの頃は
全く違いました
当時の地球には
小惑星・彗星・微惑星などが
大量に衝突してました
これをこの論文では後期集積
と呼んでます
簡単に言えば地球ができた後も
宇宙から大量の巨大な岩石が
地球に降ってきてたという事です
③巨大隕石が
生命誕生を邪魔してた
巨大な天体が地球に衝突すると
もの凄い熱が発生します
場合によっては
海が蒸発する程の高温になります
論文によると月が出来た原因の
約45億1000万年前の
地球サイズ惑星衝突後は地球全体に
巨大なマグマの海が出来たと
考えられてます
その後も
直径500km以上の巨大天体などが
衝突する事で海を一時的に蒸発させ
地表温度を300℃以上にする様な
出来事が起きた可能性があります
こんな環境では
RNAや生命に必要な分子が安定して
存在するのは非常に難しい訳です
④ではいつ地球が
生命を作れる環境になったか
これはこの論文の重要なポイントで
研究者達はコンピューターを使って
隕石衝突により地球の地下が
何℃になるのかを計算しました
地球を3次元のモデルとして作り
隕石がどこに落ちるか
どのくらいの大きさか
どのくらいの速度か
衝突によってどれくらい熱が発生するか
地下がどのくらい冷えるか
等を計算しました
なんとこれは地球全体を
対象にしたシミュレーションです
⑤約44億年前までは
地球全体がかなり危険
計算結果では
約44億5000万年前ごろまでは
生命にとって非常に
厳しい状態だったとされてます
特に約44億7000万年前ごろには
衝突による地殻の溶解が
非常に激しくなりました
地殻の温度も非常に高くなったけど
時間が進むにつれて隕石衝突の回数が
急激に減っていき
地球は少しずつ冷えはじめました
⑥生命に使える温度の場所が
増えていった
ここがこの論文で非常に面白い所で
地球全体が一気に
「生命に適した惑星」に
なった訳ではありません
最初は熱すぎる場所ばかりでしたが
時間が経つと地下に比較的
温度の低い場所が少しずつ
増えていきます
研究では
地下300mまでの範囲について
調べてます
約44億年前以降生命にとって
比較的穏やかな環境が
急速に増えていったと
計算されました
約43億年前には
モデル上では地下のかなり
大きな部分が穏やかな温度条件に
なってます
⑦しかも「熱い場所」が
全部悪いわけではない
ここは少し意外で
隕石衝突によって地下が熱くなると
地下水が温められます
すると熱水場という所ができ
イメージとしては
地球の地下にできた巨大な
天然の温泉・化学工場の様な物です
水が岩石の中を通り熱と鉱物を運び
その過程で化学反応に必要な
エネルギーや物質が
集まりやすくなる可能性があります
研究者達はこの様な場所を
生命誕生の為の化学工場の様な
候補として考えてます
⑧「熱すぎる」事と
「少し暖かい」事は違う
ここが非常に重要で
隕石が衝突すると
200℃以上になる場所もできます
しかしそのすぐ近くに
50℃以下の場所が残ってる可能性が
あります
つまり地球全体が
同じ温度だったわけではない
という事です
熱い場所と比較的冷たい場所が
モザイク状に存在してました
研究では
約44億5000万年前の時点でも
隕石衝突の影響を受けていない
地下100~300mの場所には
50℃以下の領域が存在したと
計算されてます
⑨RNAが壊れない温度も調べた
研究者達はRNAやDNAなどの分子が
どの程度の温度なら
安定してられるか
という点も計算に入れてます
特にRNAワールドについて
約60℃以下がRNAワールドを
成立させる為の
かなり慎重な目安として使いました
また
DNA:約140℃未満
RNA-DNA複合体:約60℃未満
等の基準もモデルに使用してます
ただしこれは
60℃なら生命が必ず生きられる
という意味ではありません
あくまで生命に必要な分子が
長期間壊れずに存在できる可能性を
評価するためのモデル上の基準です
⑩隕石衝突は
生命を壊すだけではなかった
隕石衝突には悪い面の
地面を溶かす
海を蒸発させる
高温にする
生命や生命の材料を壊す
という面があります
しかし同時に良い可能性の
地下を温める
地下水を循環させる
化学反応のエネルギーを作る
鉱物を反応の材料として
利用できる環境を作る
という面もあります
つまり隕石衝突は生命を邪魔する
「破壊者」であると同時に
生命誕生に必要な化学反応を助ける
エネルギー源になった可能性もある
という事です
⑪約44億年前を境に
地球が大きく変わった
研究結果を簡単に時間順にすると
こんな感じです
時期地球の状態約45.1億年前
月を作った地球大惑星衝突
地球は非常に高温約45~44.5億年前
巨大隕石が多数衝突
約44.7億年前衝突による
地殻の加熱・溶解が非常に激しい
約44億年前巨大衝突が
大幅に減る
約43.3億年前RNAワールドに
適した条件が特に整った時期
約43億年前熱水環境が多く存在
約42億年前ごろLUCAが
存在したと考えられる時期
約38.3億年前
既に生命圏が存在した事を示す
地球化学的証拠
この論文では
特に約43億3000万年前を
重要なポイントとして扱ってます
⑫LUCAって何?
ここでLUCAという
言葉が出てきます
これは「最後の共通祖先」と
呼ばれます
簡単に言えば
現在地球上にいる生物全てが
遠い昔に共有していた祖先です
人間も犬も魚も植物も細菌も
全ての現生生物をずっと遡ってくと
共通する祖先がいたと言う考えが
LUCAです
⑬ LUCAは「最初の生命」ではない
ここは非常に重要で
LUCA=最初の生命ではありません
LUCAが登場するまでに
それより前の生命や生命に近い物が
長い時間をかけて進化してた
可能性があります
論文もLUCAはDNAを使う生物の
最初の存在を意味する物ではないと
注意してます
つまり
生命の誕生
↓
原始的なRNAなど
↓
RNAワールド
↓
さらに進化
↓
DNAを使う生命
↓
LUCA
↓
現在のすべての生命
という様な長い歴史があった
可能性があります
⑭RNAワールドは
LUCAより少し前?
研究チームの計算では
RNAワールドの「最適な時期」が
約43億3000万年前
LUCAは
約40億9000万~43億3000万年前
とされてます
LUCAの推定には幅があり
研究者達はその平均的な時期を
約42億年前として
RNAワールドに適した環境ができた
約43億3000万年前からLUCA迄には
約1億3000万年程度あったとしてます
⑮「熱水地帯」が重要だった
研究では
熱水システムの数も調べてます
結果として約43億年前ごろに
熱水環境が非常に多く存在したと
計算されました
その後地球内部が冷えていくにつれ
熱水システムも減ってきます
つまり約43億年前の地球には
生命誕生に使える可能性のある
温かくて化学反応が
起こりやすい場所が
たくさん存在したという事です
⑯では生命ができた後に
隕石で全部消えなかったの?
研究者たちは
この問題も調べてます
約45~44.8億年前ごろは
海を完全に蒸発させる程の巨大衝突が
かなり頻繁に起きる可能性が
ありました
しかし約44億年前を過ぎると
そのような巨大衝突は急激に
減少しました
約44億年前以降は
研究モデルで海を完全に
蒸発させるような衝突は
1000万年あたり0~1回程度
という非常に低い頻度になってます
そのため生命が長期間生き残り
進化できる環境が
徐々にできていったと
研究者達は考えてます
⑰生命が生まれる為には
「温度」だけではない
ここもこの論文を読むうえで
大切です
この研究は生命の誕生そのものを
再現した研究ではありません
主に温度・熱・隕石衝突・地下環境を
計算してます
生命が実際に誕生する為には
水
炭素
窒素
リン
水素
有機物
エネルギー
鉱物
化学反応
等様々な条件が必要です
しかも「温度が丁度よかった」=
「必ず生命が生まれる」
ではありません
研究者自身もRNAがどの様な
化学反応を経て
生まれたのかについては
まだ大きな不確実性があるとしてます
⑱ RNAだけが最初だったとは
限らない
現在「RNAワールド」という
考え方だけでなく
「RNA+ペプチド」の様な
世界だった可能性も研究されてます
つまりRNAだけが
最初に存在したではなく
RNAと小さなタンパク質の様な
分子が一緒に進化した可能性も
あります
論文でもこの様な
「RNAペプチド世界」
という別の考え方を紹介してます
⑲ この研究には限界もある
この研究は
「43億3000万年前に生命が誕生した」
と証明した訳ではありません
あくまで地球の熱環境を
コンピューターで再現した結果
RNAワールドが成立するのに
適した条件が最も整っていた時期が
約43億3000万年前だった
という研究です
更にモデルでは
隕石衝突による熱水循環を
完全にシミュレーションしている
わけではありません
熱水システムについては
主に温度と地熱勾配から
「こういう場所があり得る」と
推定してます
また隕石が地球に落ちた時の
熱い岩石の破片や蒸発した岩石が
遠くまで降り注ぐ影響なども
モデルに完全には入ってません
⑳それでも研究者が
「4.33 Ga」に注目した理由
いろいろな条件を合わせると
約44億年前
↓
巨大衝突が減る
約43億年前
↓
地下に比較的安定した場所が増える
↓
熱水環境が多く存在
↓
化学反応に利用できる
エネルギーがある
↓
RNAなどの分子が安定して
存在できる場所が増える
約43億3000万年前
↓
RNAワールドにとって最も
条件が良かった
「スイートスポット」が完成
という結果になりました