前回は、知的資産経営を「実践するための流れ」について、ご説明しました。
今回は、その STEP 1 。『自社の知的資産(強み)を知る』がテーマです。
自社の強みの源泉となっている「知的資産の棚卸し」ともいうべき作業で、
どのような強み、知的資産を保有しているかを把握し、
抽出した知的資産を事業活動の中に整理し、
事業活動と知的資産のつながりをまとめることで、
知的資産を「価値創造へとストーリー化」を図ります。
「事業価値を高める経営レポート」を作成することにより、
この作業を進めます。
「事業価値を高める経営レポート」 中小機構版様式
それでは、「事業価値を高める経営レポート」の内容について、
レポートの順番に沿ってご説明いたします。
(1) 企業概要
👉 「自社を把握してもらうためには、何を知ってもらう必要があるか」
という視点で整理します。
① キャッチフレーズ
→ 自社の特徴、差別化ポイントを一言で記載します。
② 経営理念(企業ビジョン)、企業概要、沿革、受賞歴・認証・資格等
・ 経営理念 → 企業を経営していくことで、何を達成したいのか、
経営において大切にしている考えは何かを簡潔にまとめます。
・ 企業概要 → 会社案内等、既存情報を整理します。
(2) 内部環境
① 業務の流れ
👉 業務の流れを見える化することにより、
会社の業務を俯瞰できるようにします。
・ 業務の流れ
→ 業務(行程)ごとに概要と役割、担当部署などをまとめます。
・ 顧客提供価値 (顧客に選ばれる理由)を検討整理します。
[顧客満足に繋がっている顧客視点での評価要因]
⇒ 他社との差別化に繫がっている取組、重視している取組などを
検討整理します。
② 強み・弱み
👉 自社内の経営環境を「強み」と「弱み(課題)」で整理します。
・ 強み、その理由・背景
・ 弱み、その理由・背景
(3) 外部環境
👉 自社を取り巻く経営環境を「機会(チャンス)」と「脅威」の視点で
整理します。
★ 「強み」「弱み」「機会」「脅威」の把握、整理には、
『SWOT分析』が有用です。
SWOT分析については、ココナラ・ブログ『創業寺子屋付録②
SWOT分析のやり方』『創業寺子屋②-2 SWOT分析の記入例』
で解説していますので、参考にしてみてください。
(4) 今後のビジョン(方針・戦略)
👉 今後のビジョンとそれを実現するための具体的な取り組みについて
検討します。
① 外部環境と知的資産を踏まえた今後のビジョン
② 今後のビジョンを実現するための取組
(5) 価値創造のストーリー
① 知的資産 (KPI(注)・強化方法など)
👉 今までの蓄積してきた知的資産を、いつまでにどうやって
維持、強化していくかの視点で記載します。
a 【過去~現在のストーリー】 (知的資産の活用状況)
⇒ 「ひと」「しくみ」「外部とのつながり」の各分類で、蓄積
(活用)してきた知的資産とそれを示す指標(KPI)を記載します。
・ 人的資産 (従業員個人に依存する強み)
・ 構造資産 (組織的に維持することができるようにした強み)
・ 関係資産 (ステークホルダーとの関係における強み)
・ その他 (上記3分類に属さないもの。資金調達能力など)
(注) KPI [重要業績評価目標 → 戦略を実行する過程
(取組の実行度合い)の進捗度合いを示す客観的な指標]
b 【現在~将来のストーリー】 (知的資産の活用目標)
⇒ 蓄積(活用)してきた知的資産と、新たに獲得する知的資産について
KPIと共に記載します。
② KGI [重要目標達成指標 = 戦略目標 → 戦略を実行した結果
(取組の成果)を示す客観的な指標。今後のビジョンを実現する
ために目標となる、財務・非財務の客観的な指標]
👉 取り組みの成果(現在)と、取組の目標値を記載します。
・ 【現在】 例:「売上高」「得意先数」「借入金額」
・ 【将来】 上記と同じ(目標)項目
★ いずれのステップでも、「自社の知的資産を知る」視点。
そして、「自社の知的資産をまとめる視点」を
繰り返し検討し、深めていくことが重要になります。
次回は、STEP 2 『まとめる』について、ご説明する予定です。
以上、富太郎でした。
出典・参考:中小企業診断士 2020年度理論政策更新研修 資料
中小企業基盤整備機構 事業価値を高める経営レポート作成
マニュアル改訂版
東京商工会議所 知的資産経営入門ガイドブック
過去に掲載したブログ(コラム)も、ぜひご覧ください。
〇 経営改善のレシピ
〇 創業のためのメソッド
〇 創業寺子屋