富太郎の『チョコプレ 2』2024.7.21

富太郎の『チョコプレ 2』2024.7.21

記事
コラム
富太郎が気の向くままに、再び「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。

今回のお題「錯誤」

 トランプ前大統領が銃撃され負傷、近くにいた方がなくなるという事件が
ありました。 この悲しい事件の犯人が、日本の刑法ではどのような罪に
問われるかというお話です。 学説は、分かれます。

刑法38条 【故意・過失】
1項 罪を犯す意思のない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定が
 ある場合は、この限りではない。

2項 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪にあたる
 こととなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することは
 できない。 (事実の錯誤)

『罪を犯す意思』というのは、『故意』を指しています。刑法は、「故意が
なければ罰しない」のが原則ですが、重大な犯罪については、「過失」の
レベルでも罰します。
 今回の事件で言えば、殺人について、「故意」があれば199条の『殺人
罪』、過失なら210条の『過失致死罪』が適用されます。

では、どのような時に「故意」があると認定されるのでしょうか?
① 犯罪事実の認識があること
② 犯罪事実の意欲もしくは容認(そうなっても構わない)があること
が必要です。

事例を単純化して「Aを狙ってAに向けてピストルを発射したが、Aには
当たらず、隣にいたBに当たって、Bが死亡した。」

学説1『具体的符号説』(具体的に意図とした客体に結果が発生した場合に
 のみ、「故意」を認める。) からの帰結
⇒ 故意の向かう方向性を重視するので、具体的に認識と結果が符合しなけ
 れば「故意」を阻却することになる(認めない)。 「Aを狙ってBに
 結果を発生させた」という事例では、『Aに対する殺人未遂罪』と『Bに
 対する過失致死罪』が成立し「観念的競合(1個の行為が2個以上の罪名
 に触れる場合、もっとも重い刑で処断される。)」として、『科刑上一罪
 (本来は数罪であるが、刑を科す手続き上で一罪)』として取り扱われる。

学説2 『法定的符号説』 (構成要件[犯罪類型]の範囲内で主観と客観
 が一致していれば足りる。) からの帰結
⇒ 法律で定めている範囲内で、認識と結果が符合していれば「故意」を認め
 る。 刑法199条の殺人罪は、「人を殺した者」と規定しているので、
 Aという「人」を狙ってBという「人」を殺した場合、「人」を殺すという
 「故意」に食い違いはなく、「故意」を阻却しない。 したがって、Bに
 対する殺人罪が成立する。

日本の判例は『法定符号説』を取っているので、このケースはAの「故意」を
認めて、殺人罪が成立することになります。

司法書士試験の過去問(刑法 昭和61-25)
故意の成立に関する記述のうち、判例の趣旨によれば、正しいものはどれか。
1 甲が乙を殺すつもりで、乙めがけて発砲したところ、弾丸がそれて丙に
 当たった場合には、乙に対する殺人未遂罪と丙に対する過失致死罪が成立
 する。
答えは × となります。

このような事件は、二度と起こってほしくないものです。

今回は、以上です。 
過去のブログも、ぜひご覧ください。   富太郎

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「自身の身や権利を守るための、最低限の法知識」
 です。





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