「業務内容の見直し」をします。社長!
認定支援機関の主な支援業務の内容・プロセスについて、ご説明しています。
これまでに、
STEP 1 経営課題の把握
(1) 企業概要の把握
(2) 事業概況の把握
(3) 財務に関する概況把握
(4) SWOT分析
(5) 窮境原因の把握と除去可能性
現在、STEP 2 『経営改善計画書策定』 に入り、
(1) 経営改善の検討
① 事業内容の見直し
② 業務内容の見直し
③ 財務構造の見直し
④ アクションプランの策定
(2) 計画書の策定
のうち、前回は「事業内容の見直し」について、ご説明しました。
今回は、『業務内容の見直し』です。
前回の「事業内容の見直し」で継続することになった「損益管理単位」に
ついて、「さらなる売上高の拡大」、「コストの削減」「運転資金の圧縮」
を検討します。
これらはすべて「フリーキャッシュフロー」の向上につながります。
[1] 売上拡大施策
〇 業務内容の見直しのなかで最初に検討すべきものは「売上高の拡大」
です。
ア 売上拡大のターゲットの明確化
売上高の増大を図るときは、ターゲットとする顧客・市場や製品を
明確に想定しておくことが必要です。
[例 アンゾフの成長マップ]
『製品の視点』⇒「既存商品」「新規商品」
『対象顧客・市場』⇒「既存顧客・市場」「新規顧客・市場」
□ 「既存製品」×「既存顧客・市場」
・ 市場浸透 ⇒ 既存顧客の維持拡大
現状の事業の効率化
□ 「既存製品」×「新規製品」
・ 新製品開発 ⇒ 商品ラインナップの拡充
既存市場での新商品展開
□ 「既存製品」×「新規顧客・市場」
・ 市場開拓 ⇒ 新規顧客への商品提案
新規地域へ進出出
□ 「新規製品」×「新規顧客・市場」
・ 多角化 ⇒ 新規事業展開に向けてのビジネスモデル構築
イ 販売単価と販売数量
売上高の増大を図るためには、売上高を「販売数量」と
「販売単価」に分解することが重要です。
a 単価UP
・ 製品原価の把握と適切な価格設定
・ 安易な値下げの中止
・ 差別化による値上げ
b 数量UP
・ 既存顧客の購入頻度の向上
・ 新規顧客の獲得
[2] コスト削減施策
業務見直しのなかで、売上高の拡大の次に検討すべきなのは、
コスト削減です。コスト削減は企業の「自助努力」で実現可能な
事項も多いです。
コスト削減を検討する際に重要なのは、事業運営にとって「重要
不可欠なコスト」と「そうでないコスト」を峻別した上で、必要な
コストは十分にかける一方で、不必要なコストは削減することです。
ここでも、売上高と同様に分解の考え方が有用で、コストを
「変動費」と「固定費」に分解して検討します。
a 変動費の削減 = 単位あたりのコスト低減
・ 購入数量・タイミングの見直し
・ 仕入先への協力要請
・ 外注費等の内製化
b 固定費の削減
・ 役員報酬の削減
・ 裁量的経費の削減
・ 人件費水準の引き下げ、配置転換
★ 最初に削減可能性を検討すべきは、接待交際費や広告宣伝費
等の裁量的経費や、役員報酬です。
次に検討すべきは、金額的影響の大きい人件費です。
その他のコストについても、費用対効果や投資回収期間等の
視点から、不要不急のコストは削減する必要があります。
[3] 運転資金改善(運転資金効率の向上)施策
業務内容の見直しには、運転資金の圧縮もあります。これもコスト削減と
同様に「企業の自助努力」で実現可能な項目が多くあります。
ア 運転資金の改善施策
運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 - 仕入資金 で表されます。
運転資金を改善(圧縮)するためには、「売上債権の早期回収(債権管理)」
や「仕入債務の支払管理(債務管理)」、「棚卸資産の圧縮(在庫管理)」が
重要になります。
イ 債権管理の内容 (売上債権の圧縮)
a 回収条件の見直し
・ 回収期間の短縮
・ 現金販売や代金前受け
b 請求管理
・ 速やかな請求
・ 入金の個別消込み
・ タイムリーな督促
ウ 債務管理の内容 (仕入債務の適切な支払)
a 支払条件の見直し
・ 支払期間の延長
(信用不安リスクに留意)
b 発注・納品管理
・ 発注品のチェック
・ 納品のチェック
エ 在庫管理の内容 (棚卸資産の圧縮)
a 納期管理
・ 短納期要請
・ 購入ロットの見直し
・ タイムリーな発注
b 現物管理
・ 倉庫の整理整頓
・ 実地棚卸
・ 長期滞留品の早期処分
★ 運転資金の金額は、売上高や仕入高が増加すれば、併せて増加する
ものですが、「残高水準」の高低を判断する目安として『回転期間』が
よく利用されます。
「回転期間』とは、「売上債権」、「仕入債務」及び「棚卸資産」の
残高を1か月平均の売上高や売上原価(または仕入高)で除したもので、
各残高が売上高や仕入高の何か月分あるかを表すものです。
運転資金の回転期間は、経営改善計画の「運転資金計画」においても、
計画数値算定の基礎として利用されます。
今回次回は「財務構造の見直し」について、ご説明予定です。
なお、今回取り上げた「売上増加策」「コスト削減策」等については、
過去にもココナラブログ(コラム)でも取り上げていますので、
ぜひ、参考にしてみてください。
以上、富太郎でした。
参考資料・文献
〇 中小機構 『中小企業経営改善計画策定支援研修』テキスト、資料
〇 『金融機関が行う 経営改善支援マニュアル』
日本政策金融公庫中小事業本部企業支援部[著] (きんざい)