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ココナラブログ
紡ぐべき思い2
記事
小説
ツキノシヅク
2020/11/27 20:07
※(16) 過去に掲載したものを、改正して再投稿。
【短編集(シリーズ)より】
[本文]
12月
【街外れの高台にある展望公園】
頂上へと続く石畳の階段には、うっすらと雪が積もっている。
日も陰る
夕暮れ
に
この季節には不釣り合いな薄着の少年が一人
膝を抱えベンチに座っていた。
その少年の傍らに
いつの間にか、一人の男が現れた。
黒いワークブーツにアーミーコート
ニット帽を目深に被った出で立ちの
その男が不意に、
「
どうして、家には帰らないのかな?
」
遠くに見下ろす街の方を見ながら
そう言った‥。
少年は、驚いた様子で男を見上げた。
男はまた、
少年を見るでもなく口をひらいた。
「
いつからここに?
」
少年は
恐る恐る‥
男に聞いてみた。
「
僕に…‥聞いてるの?
」
「
…。
」
「
おじさんは 僕がわかるの!
」
男は少し困った風に、額の辺りを二三度掻いた。
そして
「
孝輔君 だね?
」
そう言い
初めて少年の方を見た。
「
だれ? おじさんはだれなの!
」
「
君のお父さんの友達かな
」
瞳に一杯の涙を溜めた少年が
男のその一言で、せきを切った様に泣き出した。
日は沈み
公園に頼りなく点る街灯が二人を照らし
長く長く
男の影だけを白い雪に伸ばしていた
続く
#ストーリー
ツキノシヅク
絵描き/コミュニケーション×心理学/講師 / 40代前半 / 男性
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