集団浅慮

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今回は「集団浅慮」(しゅうだんせんりょ)についてお話します。「集団浅慮」は「集団思考」や「Groupthink(グループシンク)」などとも呼ばれます。主に軍事関係に使われますが、ビジネスでも使われることがあります。まずはその意味。集団浅慮とは「集団の圧力により、そこで考えていることが適切かどうかの判断力が損なわれる状況」です。往々にして「リスキーシフト」と呼ばれる現象が起こり、極端な方向に振れやすくなります。集団の凝集性(団結力)が高い、クローズドな環境にある、プレッシャーが大きい、などの条件が重なったとき発生し、「場の空気」に誰も逆らえなくなります。

集団浅慮の代表例である「ピッグス湾事件」を紹介します。・・・1961年、米国がカストロ政権の転覆を狙ってキューバに侵攻した事件。CIAの支援を受けた亡命キューバ人部隊が本島南岸のピッグス湾に上陸したが、3日間の戦闘の末、キューバ軍に撃退され、作戦は大失敗に終わった。CIAはキューバ軍の勢力を過小評価し、「キューバ軍の一部が寝返る」という根拠のない判断をした。ケネディ大統領は就任したばかりで、ダレスCIA長官、ジョンソン副大統領らの意見を承認し、作戦の実行を決意。後にケネディは「なぜあのような愚かな意思決定に至ったのであろうか」と嘆いた。・・・以上が概要です。米国首脳という極めて優秀な集団が「場の空気」に支配され、極端な方向に流れた結果、愚かな意思決定をしたという有名な事例。その他にも、朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク戦争などで集団浅慮が発生したと言われています。

戦争に限らず例えば、一時多く発生した日本の「食品表示偽装」などもそうですね。また私たちのビジネスでも組織が閉鎖的になると、極端に保守的、極端に改革的なムードができあがり、修正がきかなくなる場合があります。例えばプロジェクトなどで、その結果だけを聞くと、「なんでそんな極端な結論になったの?」と理解に苦しむことがたまにあります。

集団浅慮回避のためには、次のようなものが考えられます。①一人一人が自分の意見を持ってしっかり発言する、②リーダーはメンバーの話をよく聞く(いきなり個人的結論を主張しない)、③客観的な視点のメンバーを議論に加える(例:社外取締役)、④外部専門家の意見を求める(例:コンサルタント)。いずれにせよ、支配的ムードができても、主体的に考え、それを発信することが大事です。時には空気を読むことも必要ですが、勇気をもって自分の意見を表明したいですね。

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