イノベーションは辺境から

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「イノベーションは辺境から」という言葉があります。人類はアフリカから始まった。大航海時代はポルトガルから始まった。新天地アメリカが世界一になった。日本でも変革は遠くから始まります。薩長同盟とか。これビジネスにもあてはまります。昨今のスタートアップ企業を見ればうなずけますね。有名なのはロボット掃除機「ルンバ」。これを開発したのはGEでもパナソニックでも日立でもなく、シリコンバレーのスタートアップ企業アイロボット(iRobot)です。

この考え方は、経営学でちゃんと理論化されています。その名も「弱いつながりの強さ理論」。なんだ?その名前。スタンフォード大学のグラノヴェッターという社会学者が打ち立てた立派な経営理論です。内容はこう。「強いつながり」よりも「弱いつながり」のほうが、新たな価値を創出する。「強いつながり」は、例えば親友や親族、仕事のパートナーなど。「弱いつながり」は、1回だけ会ったことある人やメールだけのつながり、友だちの友だち、SNSでゆるくつながってる人など。で、「弱いつながり」の方が強力だという理論。なんで?

「強いつながり」は高密度なネットワークになり、狭い範囲をグルグル循環しがち。従って、閉じた領域内で同じような情報しか入って来ない。これに対し、「弱いつながり」は希薄なネットワークだけど、その分とても広範囲になり、情報が遠くまでスピーディに飛ぶ。とても効率的なんです。しかも希薄な関係は簡単につくれる。目の前のことから遠く離れた情報や知恵を幅広く探索し、それを自分の知見やスキルと掛け合わせるんです。SNS全盛の今の時代にピッタリですね。実際の実証分析でもこの理論は支持されています。

それじゃあ、どういう人が「弱いつながり」を多く持てるの? チャラチャラしてる人です。あちこち色々な場に顔を出して、広く浅く人脈を広げている人、「チャラ男」です。えー、まじか。でも、クリエイティビティを発揮しても、それを実行、定着させるのはチャラ男には難しい。ここで「強いつながり」が力を発揮します。そうです「根回しオヤジ」の登場です。多くの関係者を説得し、決裁書を上げ切って、組織の壁を突破するのは「根回しオヤジ」です。結局、チャラ男と根回しオヤジの組み合わせが最強なんです。実際にイノベーションを起こしているのは、上司・部下がこのコンビになっているケースが多いようです。しかし、今の時代の起点はあくまで「チャラ男」。うーん、見直したぞ「チャラ男」!

世界はますます「スモールワールド」になっています。6人経由すれば世界中の誰とでもつながれると言います(6次の隔たり)。高密度の関係だけに閉じず、意識的にネットワークを広げて、高付加価値化や改善のヒントを掴みたいですね。

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