たとえば、コーチングを受けて人生が変わった人がいます。
仕事の成果が上がった人もいます。
一方で、「受けたけれど何も変わらなかった」
「質問ばかりで終わった」
「結局どうしたらいいのかわからなかった」という声もあります。
同じ支援を受けて、なぜここまで分かれるのでしょうか。
コーチの能力や手法の差だと思われがちです。
でも、他にも要因があると思います。
その人の状態と、支援方法が合っているかどうかです。
これを知っておくことには、もう一つ理由があります。
合わない支援を勧められたとき、気づけるようになるためです。
支援にはそれぞれ役割があります。
万能なものは一つもありません。
にもかかわらず、どんな相手にも自分の手法を勧める人がいます。
相手の状態を見ているのではなく、自分の商品を売っている。
自分の現在地を知っていれば、それを見抜けます。
支援方法には、それぞれ向いている状態があります。
コーチングは、自分の答えを見つけるための支援です。
自分で考え、行動できる人に向いています。
ティーチングは、知識や技術を身につけるための支援です。
基礎が不足している段階の人に向いています。
コンサルティングは、方法や戦略を知るための支援です。
やりたいことは決まっているが、やり方がわからない人に向いています。
カウンセリングは、心を整理するための支援です。
傷ついている人、疲れている人に向いています。
どれが優れているという話ではありません。
役割が違うだけです。
風邪をひいている人に筋トレを勧めても意味がありません。
体力をつけたい人に休養だけを勧めても前に進みません。
支援も同じです。
特にコーチングは、誤解されやすい。
コーチングは「答えは本人の中にある」という前提で成り立っています。
だから、判断するための材料が自分の中にある人には強力に働きます。
野球で考えるとわかりやすい。
プロの選手に「今日は何を改善したいですか」と問うのは有効です。
経験も知識も本人の中にあるからです。
でも野球を始めたばかりの子どもに同じ質問をしても、「わからない」で終わります。
この段階で必要なのは質問ではなく、握り方を教えてくれる人です。
引き出す前に、まず材料がいる。
材料がない人にいくら質問しても、出てくるものがありません。
心が疲れている時も同じです。
大きな不安を抱えている。
自己否定が強い。
整理できていない経験がある。
そんな状態で「目標を決めましょう」「行動計画を立てましょう」と言われても、苦しくなるだけです。
まず前に進むことより、心を整えることが必要な段階があります。
そこにコーチングを当てると、機能しないどころか、自分を責める材料が増えることさえあります。
ここが見抜くポイントです。
良い支援者は、自分の手法が合わない相手を見抜きます。
コーチングが合わない人には「あなたにはまず別のものが必要です」と言える。
自分の専門の外を勧めることに、ためらいがありません。
逆に、どんな状態の相手にも自分の商品を勧める人は、相手より自分の売上を見ています。
あなたが疲れ切っているのに目標達成の技術を売ろうとする人。
基礎がないあなたに高度な自己探求を勧める人。
そういう人は、あなたの現在地を見ていません。
だから、支援を受けるか迷っているなら、まず自分に問いかけてみてください。
私は今、自走できているだろうか。
それとも、基礎を学ぶ段階だろうか。
方法を知りたい段階だろうか。
心を整える段階だろうか。
現在地がわかっていれば、勧められたものが合っているかを自分で判断できます。
支援を選ぶ前に、現在地を知る。
現在地を知る入口は、一つではありません。
信頼できるカウンセラーでも、コーチでも、あるいは友人であっても、現在地を映してくれるものはあります。
大切なのは手法の名前ではなく、その人が、あなたの現在地を一緒に見ようとしているか、
それとも自分の商品にあなたを当てはめようとしているかです。
肩書きや手法では判断できません。
見ているのは、相手があなたを見ているか、自分の売上を見ているか。そこだけです。
それが、遠回りに見えて、合わない支援やお金目当ての人から自分を守る一番確実な方法です。