(序章)皇帝と乞食の物語

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アレキサンダー大王は

インドに向かっていて

その途中で*ディオゲネスに会った
それは冬の朝で

冷たい風が吹いていた

(*古代ギリシャの神秘家)



ディオゲネスは裸で

河の堤の砂の上で

日光浴をしながら横になっていた

彼は美しい人間だった

美しい魂がいると

この世のものではない美が立ち昇る


アレキサンダーは

この人間の優美さを

信じることができなかった

彼は畏怖の念にかられて言った

「サー……」

(目上に対する敬称Sir)



彼はそれまでの生涯で

誰にもけっして「サー」

と言ったことはなかった



彼は言った
「サー、私はあなたの存在に

 途方もない感銘をうけました

 私はあなたのために

 何かして差し上げたいのです 

 何か私にできることがあるでしょうか?」


ディオゲネスは言った

「少し片方に寄って立ってくれないか

 あなたは太陽を妨げている..

 それだけだ、他には何もいらない」


アレキサンダーは言った

「もし私に地上に来る

 もうひとつ別のチャンスがあったら

 私は神に求めよう

 私を再びアレキサンダーにする代りに

 ディオゲネスにしてほしいと」


ディオゲネスは笑った

そして言った

「たった今、誰があなたを妨げている?

 あなたはどこに行こうとしているのか?

 何カ月もの間、私は軍隊が動いているのを見てきた

 あなたはどこに行こうとしているのか?

 そしてなんのために?」


するとアレキサンダーは言った

「私は全世界を征服するためにインドに行くところだ」


ディオゲネスはたずねた 

「その後で、あなたはどうするつもりなのか?」


アレキサンダーは言った

「それから私は休む」


ディオゲネスは再び笑って言った

「あなたは狂っている

 私はいま休んでいる

 私は世界を征服しなかった

 私にはその必要があるとは思えない

 最後には休んで寛ぎたいのであれば

 なぜ今そうしない?

 それに私はあなたに言おう

 もしいま休まなかったら

 あなたは決して休まないだろう

 あなたはけっして世界を征服できないだろう

 あなたは旅の途中で死ぬだろう

 誰もが旅の途中で死ぬ」


アレキサンダーは

それを心にとめておこうと言って

感謝の意を告げたが

今は止めることはできないと言った

そして、彼は旅の途中で死んだ

彼は二度と再び家に着かなかった

彼は途上で死んだ


ディオゲネスも

その同じ日に死んだという

不思議な物語がずっと語り継がれている



そして彼らは

神に向かう途上で

ちょうど川を渡るところで出会った

アレキサンダーは

後ろに誰かがいるのを耳にした時



2-3フィート先を行っていた

彼が振り返ると

それはディオゲネス

あの同じ美しい人間だった



彼は驚いて恥ずかしくなった

恥ずかしさを隠そうとして

彼は言った

「また会いましたね、皇帝と乞食が」


ところがディオゲネスは言った

「たしかにその通りだ

 だがあなたは誤解している

 あなたは誰が乞食で

 誰が皇帝だかわかっていない

 私は自分の生を完全に生きた

 それを楽しんだ

 だから神に顔を合わすことができる

 あなたは神に顔を合わすことができないだろう

 私にはわかるからだ

 あなたは私にすら顔を合わすことができない

 あなたは私の目を見入ることができない

 あなたの全生涯はムダだった」



OSHOトランスフォーメーションタロット

No.45 延期 解説書内

インドの神秘家和尚OSHOの講話より抜粋

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