「灯台は、拡大しない」
灯台と凪を、もっと広げたい。もっと多くの人に届けたい。
そう思う瞬間が、ある。
でも、光そのものに、拡大や縮小という概念はあるだろうか。
灯台は、大きくなろうとしない。ただ、そこにある強さのまま、光り続けるだけだ。
広がるかどうかは、光の意志じゃない。船の側の話だ。
僕がやることは、光を強くすることだけでいい。広げることは、僕の仕事じゃない。
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② 「灯台は、助けに行かない」
灯台は、溺れている人を見つけても、海には入らない。
冷たいと思うかもしれない。でも、それは、見捨てているんじゃない。
この人には、この人にしか歩けない、生まれてくる前からのストーリーがある。本当に必要な助けなら、僕が飛び込まなくても、必ず、別の形でやってくる。
僕にできるのは、光り続けること。誰かの代わりに、海に飛び込むことじゃない。
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③ 「忘れ物を、追いかけない」
電車で、誰かが降りるとき、忘れ物に気づくことがある。
僕は、大きな声で伝える。「忘れてますよ」と。
でも、拾って、走って、追いかけて、本人の手に握らせることはしない。
伝える。それだけだ。
受け取るかどうか、拾いに戻るかどうかは、その人が決めることだ。
光は、届ける。でも、相手の代わりに、動きはしない。
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④ 「北風にはならない」
北風と太陽という話がある。
力で服を脱がせようとした北風は、失敗した。ただ、あたたかく照らした太陽に、旅人は自分から服を脱いだ。
灯台と凪も、同じだと思う。
僕は、誰かを動かそうとしない。ただ、あたたかく、そこにいるだけだ。
動くかどうかは、いつも、相手が決める。
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⑤ 「暗闇に飛び込まず、灯台を増やす」
社会に、暗闇があると感じることがある。
でも、僕は、その暗闇に、自分から飛び込まない。
僕がやりたいのは、灯台を増やすことだ。
一つの灯台では、照らせる範囲に限りがある。でも、灯台が増えれば、暗闇だと思っていた場所にも、少しずつ、光が届くようになる。
暗闇と戦うんじゃない。
ただ、光を増やしていく。
それが、僕にできる、たった一つのことだ。
細井敬太