かつて僕は、望みを持つことを、自分に禁じていた

かつて僕は、望みを持つことを、自分に禁じていた

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コラム
灯台と凪とは

かつて僕は、望みを持つことを、自分に禁じていた。

望みを持てば、誰かと衝突する。

手に入れるには、相手をねじ伏せるしかないと、どこかで思い込んでいた。だから、望まない方が、安全だった。小さく生きて、摩擦を避けて、それを「足るを知る」と、自分に言い聞かせていた。

でも、それは足るを知っていたのではなく、望みの叶え方を、一つしか知らなかっただけだった。

灯台は、船を強く引っ張らない。ただ、そこに立ち、光を灯すだけだ。船は、その光を見て、自分の意志で、進むかどうかを決める。

凪は、無理に風を起こさない。ただ、波を鎮め、静かな水面をつくる。

僕はもう、望みを、圧に変えて誰かに押し付ける必要がない。

灯台のように、光を置く。凪のように、静けさを保つ。

その上で、僕は僕の望みを、正直に語っていい。

「コラボしたい」ではなく、「いつか、ご一緒できたら嬉しい」。

「売上を立てなきゃ」ではなく、「豊かさが、自然に巡っている」。

願いは、圧をかけずに叶えることができる。それを、僕は今、少しずつ、経験値として積み重ねている。

灯台と凪とは、望むことをやめた場所ではない。

望みながら、誰とも戦わずにいられる場所だ。



細井敬太
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