SNS運用の相談を受けていると、かなりの確率で聞かれることがあります。
TikTokを始めた方がいいですか。Instagramもやった方がいいですか。Xだけでは弱いでしょうか。
気持ちはすごく分かります。TikTokが伸びていると聞けば気になるし、Instagramから商品が売れた事例を見れば、自社でも試したくなる。Threadsが話題になれば、とりあえずアカウントだけでも作っておこうかなと思いますよね。
ただ、僕は最近この順番が少し気になっています。
媒体を決めるの、ちょっと早くないですか?
SNSを始める時に最初に考えたいのは、TikTokかInstagramかではありません。
誰に見てほしいのか。その人は何に困っているのか。そして、その人は普段どこで情報を見ているのか。
ここが先です。
実際、SNSは媒体ごとに利用者や情報の受け取られ方が違います。TikTokは比較的若い層やトレンドとの相性が良く、Instagramは購買へ近い場面でも使われやすい。YouTubeなら長い時間見てもらえるので、詳しい説明が必要な商品やサービスとも相性があります。
だからこそ、流行っているSNSから始めるより、お客様から逆に考えた方が失敗しにくいと思っています。
100万再生より、100人の見込み客の方がうれしい会社もある
SNSではどうしても、大きな数字が目立ちます。
100万再生。
フォロワー1万人。
1000万インプレッション。
もちろん、そこまで伸ばせるのはすごいです。
ただ、会社が欲しいのは再生数そのものではありません。
商品を売りたい。
問い合わせを増やしたい。
採用したい。
LINE登録を増やしたい。
目的は会社によって違います。
例えば、地方で営業している美容室の動画が100万回再生されたとして、その大半が遠方に住む人だったらどうでしょう。
数字としてはかなり派手です。
ただ、来店できる人がほとんどいなければ、経営者からすると少し複雑ですよね。
逆に2万回しか見られていなくても、お店の近隣に住む人へしっかり届いて予約が増えたなら、商売としてはこちらの方が強い。
僕自身、Xを運用していても似たことを感じます。
表示回数がかなり伸びたのにプロフィールへの移動が弱い投稿もありますし、そこまで派手な数字ではなくても、狙っていた層からリプやプロフィールアクセスが増えるケースもあります。
そういう経験が増えてから、僕は
何人に見られたかより、誰に見られたか
をかなり意識するようになりました。
TikTokが伸びている。それでもTikTokを選ばない会社はある
例えば30万円の法人向けサービスを販売するとします。
実際に購入を判断するのは40〜50代の経営者で、サービス内容も少し複雑。問い合わせから契約までにも説明が必要です。
この会社が、TikTokが流行っているからという理由だけでTikTokへ全力を注ぐ。
それが絶対に間違いとは言いません。
ただ僕なら、その前に
その経営者は、普段どこで情報を集めているんだろう
と考えます。
YouTubeで詳しい解説を見る人が多いのかもしれない。
Xで経営者や同業者の投稿を見ているかもしれない。
Googleで検索して、そこからSNSへ移動しているかもしれない。
お客様がいる場所が分かってから媒体を選んだ方が、かなり自然です。
媒体からお客様を決めるのではなく、お客様から媒体を決める。
言葉にすると単純なんですが、ここが逆になっているアカウントは意外とあります。
30代女性だけでは、まだほとんど何も分からない
SNS運用について話を聞く時、
ターゲットは30代女性です
と言われることがあります。
もちろん最初の情報としては必要です。
ただ、それだけだとまだかなり広いんですよね。
同じ30代女性でも、
子育てをしながら仕事をしている人。
独身で仕事中心の生活をしている人。
美容への支出が多い人。
節約を優先している人。
副業を始めたい人。
まったく違います。
だから僕は、一人だけ細かい人物像を作って終わるより、実際にいそうなお客様を何パターンか考えて、そこに共通する悩みを見つける方が使いやすいと思っています。
例えばSNS運用に困っている企業でも、
◆ 投稿テーマが毎日決まらない会社
◆ フォロワーは増えたのに問い合わせが来ない会社
◆ 社員へ任せたら更新そのものが止まった会社
◆ XとInstagramを両方始めて全部中途半端になった会社
◆ 外注したいけれど、何を基準に業者を選べばいいか分からない会社
全部、SNSに困っています。
ただ、困り方は違います。
ここまで細かく見えてくると、投稿ネタって意外と出てくるんですよね。
今日は何を書こうではなく、
今日は誰の悩みについて書こう
に変わります。
SNSのネタ切れって、ネタがないのではなく、お客様をひとまとめにしすぎていることもあると思っています。
お客様に聞いたら、会社が思っていた悩みと違うことがある
SNSを運用する時、僕は会社側の想像だけで全部決めない方がいいと思っています。
実際のお客様が何を怖がっているのか、何に迷っているのか、なぜ購入しなかったのか。
本人に聞くと、予想と違う答えが返ってくることがあります。
例えば会社側は、
価格が高いから申し込まれない
と思っていた。
ところが実際には、
申し込んだ後に何をされるのか分からないから不安だった
というケースもあります。
商品の機能を知りたいと思っていたら、実際のお客様が知りたかったのは利用後の生活だった。
安さを求めていると思ったら、失敗したくないから高くても安心できる商品を探していた。
こういうズレは普通にあります。
だからSNSでも、会社が言いたいことだけを並べるより、お客様が実際に聞いていることを投稿にした方が反応されやすい。
僕も運用中は、投稿そのものだけではなく、リプや問い合わせ、プロフィールへの動き、同ジャンルで反応されている話題などをかなり見ます。
数字の向こう側にいる人を見ないと、SNSってすぐ独り言になってしまうんですよね。
4Kカメラを買う前に確認したいこと
SNSを本格的に始めるとなると、動画にもこだわりたくなります。
良いカメラ。
照明。
マイク。
きれいな編集。
もちろん品質は大事です。
ただ、僕ならその前に確認します。
その動画、お客様は本当に見たいですか?
4Kで撮った、誰にも必要とされていない動画。
スマホで撮った、お客様が今まさに知りたかった動画。
どちらが最後まで見られるかは、画質だけでは決まりません。
実際、SNSではターゲットと伝える内容がズレていれば、撮影や編集の品質を高めても結果につながりにくくなります。逆に、誰に何を伝えるかが合っていれば、一定の品質でも反応が出やすくなります。
だから僕は、高い機材を買う前に、
誰が見るのか。
なぜ見るのか。
見たあと何をしてほしいのか。
そこを確認したいです。
SNSで成果が出ている会社ほど、投稿する前に考えている
SNSって、外から見ると投稿作成の仕事に見えます。
文章を書く。
動画を撮る。
画像を作る。
投稿する。
ただ、実際にはその前の方がかなり重要です。
誰に届けるのか。
何を伝えるのか。
どこで伝えるのか。
その人は何を不安に感じているのか。
ここが合ってから、ようやく投稿です。
だから、投稿本数だけでSNS運用を比較するのは少し怖いと思っています。
月30投稿して問い合わせ0件のアカウントと、月15投稿でも問い合わせが5件増えたアカウント。
会社にとって価値が高いのは、たぶん後者ですよね。
僕もフォロワーを増やすことだけを目的にはしていません
僕はこれまでXを中心に、複数ジャンルのSNS運用に関わってきました。
24日でフォロワーが1,000人増えたケース、別のアカウントで20日530人増、1投稿で500万インプレッションを超えたケースなどがあります。
Threadsでは、LINE登録0人だった状態から20日で16人、30日ほどで約30人まで増え、その後も流入が続いたケースもありました。
こういった数字だけを見ると、
フォロワーを増やしてくれる人
と思われるかもしれません。
もちろんフォロワー増加も大事です。
ただ、僕がかなり見ているのはその先です。
プロフィールまで来たか。
どんな投稿から来たか。
どんな人と交流しているか。
固定投稿を見たあと何があるか。
LINEやサービスページまで進んでいるか。
目的がLINE登録なのに、フォロワーだけ増えて登録者がずっと0人なら、僕なら運用内容を変えます。
逆にフォロワー増加がそこまで派手ではなくても、問い合わせや登録が増えているなら商売としてはかなり良い。
SNSを大きくすることと、SNSから仕事を増やすことは同じではありません。
自社のSNS、5つの質問に答えられますか?
ここまで読んだら、自社のアカウントを5分だけ開いてみてください。
難しい分析は必要ありません。
◆ 一番見てほしい相手を具体的に説明できるか
◆ その人が困っていることを3つ以上言えるか
◆ なぜ現在のSNSを使っているのか理由を説明できるか
◆ 投稿を見たあと何をしてほしいのか決まっているか
◆ フォロワー数以外にも確認している数字があるか
答えに詰まる項目が多かったとしても、投稿が下手だからとは限りません。
投稿より前の部分が曖昧なだけかもしれません。
そこを整理すると、同じ投稿数でもかなり変わることがあります。
SNSが決まっていない段階でも相談してもらって大丈夫です
僕はXを中心にSNS運用を支援していますが、相談をいただいたからといって、何でもXを勧めたいわけではありません。
Xが合うのか。
Instagramの方が良いのか。
今あるアカウントを直した方が早いのか。
そもそも新しいSNSを増やす必要がないのか。
そこから確認します。
なので、
SNSを始めたいけれど、何を使えばいいか分からない
という状態でも大丈夫です。
むしろ、その段階で相談してもらった方が、無駄な投稿を何十本も作らずに済むかもしれません。
僕が提供したいのは投稿本数ではなく、
SNSを使って問い合わせを増やしたい。
LINE登録を増やしたい。
採用につなげたい。
商品を知ってもらいたい。
その目的へ近づくために、何をすればいいかを一緒に考えることです。
最後に
TikTokが伸びている。
Instagramは売れやすい。
Threadsが来ている。
Xの仕組みが変わった。
SNSを見ていると、毎日のように新しい情報が入ってきます。
そういう話を見ると、
うちも何か始めなきゃ
と思いますよね。
ただ、新しいSNSへ行く前に、一度だけ自社のお客様を思い浮かべてみてください。
その人は、本当にそこにいますか。
100万回見られる場所より、100人でも本当に商品を必要としている人がいる場所の方が、会社にとって価値が高いことがあります。
もし今、SNSを続けているのに成果へつながらない。どの媒体を使えばいいか分からない。フォロワーは増えたのに問い合わせが増えない。何を投稿するのか迷っている。
そんな状態なら、投稿をさらに30本作る前に、一度アカウントを見せてください。
僕なら投稿を作る前に、
誰に届けるSNSなのか
そこから一緒に確認します。