SNS集客というと、
「フォロワーを増やそう」
「毎日投稿しよう」
「バズる企画を作ろう」
こんな話が真っ先に出てきます。
もちろん、どれも間違いではありません。
ただ、2026年9月に公開された最新調査を見ていると、SNS集客をもう少し違う角度から考えた方がよさそうです。
僕が今回特に気になったのが、
「商品を探していなかった人が、たまたま投稿を見て商品を知る」
という動きです。
スパイスボックスが全国15〜59歳の男女4,779人を対象に行った調査では、39.3%が「たまたま目にした投稿」が商品や企業を知るきっかけになった経験があると回答しています。
検索していたわけでもない。
商品名を知っていたわけでもない。
タイムラインを眺めていただけなのに、そこで商品と出会う。
これこそ、検索広告やSEOとは違うSNS集客の強さだと思います。
◆「探している人」だけを集める必要はない
たとえば、美容クリニックを探している人が
「新宿 美容クリニック」
とGoogleで検索する。
これは分かりやすい集客です。
すでに本人が必要性を感じています。
一方でSNSの場合、
本人は美容施術を探していなかったのに、
「最近、ファンデーションで毛穴を隠しにくくなった人へ」
という投稿が流れてくる。
そこで初めて
「そういえば最近気になっていたな」
と自分の悩みに気づくことがあります。
つまりSNSには、
需要がある人を捕まえるだけではなく、まだ行動していない人に気づいてもらう力がある
ということです。
これを考えると、
毎回
「予約受付中です」
「サービスはこちらです」
と宣伝するだけでは、少しもったいないんですよね。
まだ商品を探していない人に対しては、
先に
「自分にも関係ありそう」
と思ってもらう必要があります。
◆実店舗への送客がネット購入を上回った
今回の調査でもう一つ面白かったのが、購入先です。
SNSをきっかけとした購買行動では、**ネット購入が12.3%だったのに対して、実店舗での購入は14.0%**でした。
SNS集客というと、
投稿
↓
プロフィール
↓
ECサイト
↓
購入
というオンライン完結のイメージが強いですよね。
実際には、
SNSで見つける
↓
気になる
↓
お店へ行く
↓
実物を確認する
↓
買う
という流れもあります。
これは店舗型ビジネスにとってかなり重要です。
飲食店
美容室
クリニック
サロン
アパレル
不動産
こうした業種なら、
「SNSからECで何件売れたか」
だけを見ていると、集客効果の一部しか見えていないかもしれません。
予約サイトへの移動。
Googleマップの閲覧。
店舗名の検索。
来店時に「Instagramを見ました」と言われた回数。
こうした部分まで見た方が、SNS集客の実態に近づきます。
◆Instagramは“認知だけ”のSNSではなくなっている
今回の調査では、Instagramの存在感も目立ちました。
Instagram利用者では、
商品認知36.2%
ネット購入10.7%
実店舗購入12.3%
となり、調査対象となったSNS・プラットフォームの中で、それぞれ高い結果になったと報告されています。
昔のInstagramは、
「世界観を見せる場所」
という印象がかなり強かったと思います。
今はそこに
検索
口コミ確認
商品比較
予約
購入
まで入ってきています。
だから運用側も、
「綺麗な画像を作る」
だけでは足りません。
初めて投稿を見た人が、
何の商品なのか
誰向けなのか
どこで買えるのか
どこへ行けばいいのか
を理解できる状態にする必要があります。
おすすめ欄から初めて見つけてもらうなら、なおさらです。
フォロワーは前提知識を持っています。
初見の人は何も知りません。
ここはかなり大きな違いです。
◆初見の人に伝わる投稿になっていますか?
ここで一度、自分の投稿を見返してみてください。
常連フォロワーなら意味が分かる。
ただ、初めて見た人には
「何の話?」
となっていないでしょうか。
たとえば、
本日もありがとうございました
明日もよろしくお願いします
という店舗投稿。
既存のお客様には親しみがあります。
一方で、初めておすすめ欄から見た人には、
何のお店なのか分かりません。
そこで、
今日もたくさんのご来店ありがとうございました
当店では
「仕事帰りに30分だけ肩まわりをほぐしたい」
という方のご相談も増えています
新宿駅から徒歩〇分
21時まで受付しています
とすれば、
初見でも少し状況が分かります。
大げさな宣伝ではありません。
誰に、何を提供しているのかを少し足すだけです。
偶然の発見を集客につなげるなら、この「初見でも分かる」がかなり重要になります。
◆SNS集客は「見つけてもらった後」まで設計する時代へ
プラットフォーム側も、この流れを強化しています。
Metaが9月16日に日本で発表した新サブスクリプション「Meta One」のビジネス向けプランでは、最大30日先までのストーリーズ予約、オーガニック投稿・リールへのリンク追加、詳細なオーディエンス分析などが利用できます。
つまりInstagram側も、
投稿する
↓
反応を見る
↓
リンクへ案内する
↓
顧客との接点を作る
という部分を強化しているわけです。
ここから僕が感じるのは、
SNS運用とSNS集客が、さらに別物になってきている
ということです。
投稿を続けるだけなら「運用」です。
集客まで考えるなら、
誰が見たのか。
その人がプロフィールへ進んだのか。
Webサイトへ移動したのか。
予約したのか。
ここまで考えます。
「毎日投稿できた」
で終わらせず、
投稿したあと人がどこへ進んだか
を見る必要があります。
◆TikTokは「集客して外へ送る」常識まで変え始めている
さらに分かりやすいのがTikTokです。
TikTok Shopは東京ガールズコレクションと連携し、9月19日のTGC 2026 A/Wで、ファッション・ビューティー系36ブランドが参加する企画を展開しました。
ショート動画で商品を知る。
LIVEで見る。
リアルイベントで触れる。
気になればTikTok Shopで買う。
TikTokはこの考え方を「ディスカバリーEコマース」と表現しています。
ここで面白いのは、
SNSからECサイトへ送る必要すらなくなってきている
ことです。
これまでのSNS集客では、
SNS
↓
プロフィール
↓
リンク
↓
ECサイト
という流れが定番でした。
それが、
SNS
↓
商品発見
↓
購入
まで短くなっています。
SNSが「宣伝場所」から「売り場」に近づいているんですよね。
◆ただし「その場で買われる投稿」だけが正解ではない
ここで話が少し変わります。
TikTok Shopのように、その場で買える仕組みが強くなる一方で、
SNSを見た日に買わない人もかなりいます。
TaTapが全国20〜49歳435人を対象に行った調査では、SNSで商品情報を見かける人のうち、69.6%が、見た時点では「今は必要ない」と思った商品を、後日必要な場面になったときに思い出して購入した経験があると回答しています。
これはSNS集客を見るうえで面白い数字です。
投稿した当日に
クリック0
購入0
予約0
だった。
だから失敗。
とは限らない。
たとえば引っ越しサービス。
今月は引っ越さない。
だから申し込まない。
半年後、転勤が決まる。
そこで
「あ、前にXで見た業者があったな」
と思い出す。
保険もそうです。
不動産もそうです。
クリニックもそうです。
コンサルもそうです。
商品を必要とするタイミングは、企業側では決められません。
だからSNSには、
今売る投稿と、未来の選択肢に入る投稿
の両方が必要です。
◆「保存したくなる情報」があとから効いてくる
若年層の調査を見ると、この考え方がさらに分かりやすくなります。
TaTapが15〜29歳363人を対象に行った調査では、商品・サービスについて調べる際に最初に使う媒体として、Instagram・TikTok・X・YouTubeの4媒体を合わせると45.2%。
検索エンジンは33.6%でした。
同調査では、SNSで保存やいいねをした商品を後日購入した経験についても報告されています。
ここから考えると、SNSでは
「今クリックしてください」
だけではなく、
「あとで必要になったら見返してください」
というコンテンツにも意味があります。
料金表。
比較表。
選び方。
チェックリスト。
失敗しやすいポイント。
店舗情報。
使い方。
こうした投稿です。
派手にバズらなくても、必要になったときに役立つ。
SNS集客では、このタイプのコンテンツもかなり重要だと思います。
◆若い世代ほど「検索=Google」ではなくなっている
先ほどのZ世代調査では、商品を調べる起点がSNS4媒体合計45.2%となりました。
もちろん363人の自社調査なので、この結果だけで
「若者はGoogleを使わない」
とは言えません。
実際、検索エンジン単独では33.6%で最多です。
ただし、
Instagramで店を探す。
TikTokでコスメを探す。
Xで口コミを検索する。
YouTubeで詳しいレビューを見る。
このように、
SNS自体が検索エンジンのように使われている
ことは押さえておきたいです。
これから投稿を作るなら、
「フォロワーに何を話そう?」
だけでなく、
「この悩みをSNSで検索した人が見つけたら役立つか?」
という視点も使えます。
◆これからのSNS集客で大事なのは「3回のチャンス」
今回のニュースを見ていて、僕はSNS集客には大きく3回のチャンスがあると感じました。
最初は、偶然見つけてもらう瞬間です。
おすすめ欄やタイムラインから初めて知ってもらう。
次は、調べられる瞬間。
口コミやプロフィール、過去投稿を見て
「本当に良さそう?」
と判断されます。
最後は、必要になった瞬間。
以前見た商品やサービスを思い出し、購入・予約・相談につながる。
この3つは、全部役割が違います。
だから投稿も全部
「今買ってください」
にする必要はありません。
認知用の投稿。
比較するときに役立つ投稿。
思い出してもらう投稿。
それぞれを持っていた方が、SNS集客としては自然です。
◆「バズれば集客できる」から一度離れてみる
SNS集客で結果が出ないと、
「もっと伸ばさないと」
と考えがちです。
フォロワーを増やす。
インプレッションを取る。
バズを狙う。
もちろん認知を広げるには有効です。
ただ、4,779人調査で見えたのは
「偶然見つけた」こと自体が商品認知になる
ということでした。
必要なのは100万人に届くことだけではありません。
100人に表示され、
その中に
「これ、僕が困っていたことだ」
と思う人がいる。
そこからプロフィールを見る。
店舗を調べる。
後日思い出す。
そんな投稿も立派な集客です。
だからSNS運用を見るときは、
表示数だけではなく
誰に見つけてもらえたか
を考えたいです。
◆僕なら次の投稿をこう考える
ここまでの話を自分のSNSへ落とすなら、僕は投稿前に一つだけ確認します。
「この投稿は、どのタイミングの人に届けたい?」
まだ商品を知らない人なのか。
比較している人なのか。
今すぐ必要ではないけれど、将来お客様になりそうな人なのか。
ここが決まるだけで、内容はかなり変わります。
新規の人には、悩みに気づく投稿。
比較している人には、料金や事例。
未来のお客様には、保存しておきたくなる情報。
全部に同じ宣伝文句を使わなくてよくなります。
◆最後に
SNS集客は、
フォロワーを増やす。
毎日投稿する。
バズを狙う。
それだけではありません。
2026年9月の最新調査やプラットフォームの動きを見ると、
SNSは「見つけてもらう場所」から「調べてもらい、覚えてもらい、買ってもらう場所」へ広がっています。
そして、そのきっかけは必ずしも検索ではありません。
たまたま見た1投稿かもしれない。
保存した投稿かもしれない。
数か月前に見た口コミかもしれない。
だから次に投稿するとき、
「これ、何いいね取れるかな?」
だけではなく、
「初めて見た人の頭に、何を残せるだろう?」
と考えてみてください。
SNS集客の見え方が、少し変わってくると思います。