「それ、本当に“伝わる”資料ですか?」「自分にはわかる」が最大の落とし穴

「それ、本当に“伝わる”資料ですか?」「自分にはわかる」が最大の落とし穴

記事
ビジネス・マーケティング
◆ 自信をもって臨んだ提案
「これはもう鉄板ですから」
Kさんは、ある医療系ベンチャー企業への提案に向け、
以前から使い込んでいた「成果率の高い資料」を用意していた。

過去の商談でも通用したし、何度も練り直している。
構成も、データも、見た目も整っている。

自信満々だった。

◆ 違和感は、1枚目から始まった
プレゼンの冒頭、Kさんが「こちらをご覧ください」と資料を
開くと、先方の担当者が首をかしげた。

「すみません、このKPI分析って、どういう意味ですか?」
Kさんは少し面食らったが、「あ、すみません、専門用語ですね」
と慌てて補足。

だが、2枚目、3枚目…と進むたびに、質問が相次いだ。
「このグラフって、どの時期のデータですか?」
「この構成、ちょっと飛躍して見えるんですが…」

Kさんは、どんどん焦っていった。
使用可能 失敗02.jpg

◆ 「自分にはわかる」では、通じない

プレゼン後、商談は進展することなく終了。
Kさんは上司にフィードバックを求めた。

すると、上司はこう言った。
「K、お前の資料、よくできてるよ。でも…“Kには”わかるよねって話」
「相手が“初めてその資料を見る人”だったって、忘れてないか?」

Kさんはその言葉に、図星を突かれたような感覚を覚えた。
たしかに自分は、資料の中身をすでに全部知っている。

だから「説明すればわかるだろう」と思っていた。
でも・・・

相手は何も知らない状態で、資料だけが“情報のすべて”だった。

◆ では、どうすればよかったのか?
Kさんが資料を説明していたとき、先方からは何度も質問が出た。
専門用語、図の意味、構成の意図・・・

ひとつひとつが、相手にとって「わかりにくい」ものだったのだ。
では、Kさんは資料をどう設計すれば、相手に“ひと目で伝わる”資料に
なったのだろうか?

ポイントは、次の3つだった。

1)前提を説明しなくてもわかる構成にする
Kさんの資料では、「KPIモデル」など、専門的な言葉が当然の
ように使われていた。

でも、初めて見る人にとっては、「これって何の話?」とつまずく
ポイントになる。

資料は、“聞かなくてもわかる”が理想。
そのためには:

専門用語や略語は、必ず注釈か言い換えを添える
 └「KPI(重要業績評価指標)」など、かっこ書きで加えるだけでも

効果的図やグラフには“見方のルール”を冒頭に入れる
 └ 矢印の意味、色の意味などを簡潔に説明すれば、途中で立ち
止まらせない。

◆ワンポイントアドバイス:
資料を印刷して「はじめて読む人の目線」で5秒眺めてみる。
5秒で意味がつかめないなら、情報の並べ方を変えるべき。

 2)「そのまま上司に渡しても伝わるか?」を基準にする
Kさんが失敗した理由の一つは、「自分が説明する前提」で作って
しまったことだった。

でも実際には、資料は担当者からその上の決裁者に回され
Kさんの説明が届かない相手にも渡っていく。

だからこそ、資料単体でも「なぜこの提案なのか?」が読み
取れる設計が必要です。

問題提起 → 解決策 → 導入効果 → 次のアクションまで
自然な流れで見せる提案の理由や裏づけは、1行でもテキストで
明記する。
└ 「なぜそれを提案するのか」が明快だと、社内共有もしやすくなる。

◆ チェックポイント:
「この資料、相手の上司が一人で読んでも理解できるか?」
Yesなら、あなたの資料はかなり伝わる。

 3)1枚1メッセージで「思考を止めない資料」にする
Kさんの資料は「情報を詰め込めば説得力が出る」と思っていた。

でも実際は、スライド1枚に複数の要素が混在し、“どこを見れば
いいのかわからない”状態になっていた。

スライド1枚にはメッセージを1つだけ
見る順番が自然に目で追えるように、視線の流れに合わせて配置
補足はスライド内に書くのではなく、資料末尾に“補足資料”として
分けるのも有効です。

◆効果:
見る側が「わかりにくい」と感じると、思考が止まる。
思考が止まると、提案の判断は「またにしよう」になる。

逆に、“読み進められる資料”は、それだけで意思決定が前に進む。

◆ まとめ:「わかりやすい資料」とは、“読み手が止まらない資料”
である。
わかりやすさは、作る側の感覚ではなく、見る側のスピードで
測るもの。
説明しなくても理解できる

どこからでも読み取れる
次に読みたいページが自然にわかる

そんな資料が、相手の背中を自然と押していく。

◆ 成果が変わった
使用可能 自信満々01.jpg

修正した資料をもって挑んだ次の商談では、
先方のリアクションは驚くほどスムーズだった。

「これ、すごくわかりやすいですね」
「社内にもそのまま共有できます」

Kさんは、この経験から確信した。
“資料が話してくれる”ようになれば、提案はもうひと押しで通る。

◆ まとめ:「わかるかどうか」は、相手が決める
資料づくりで大事なのは、「自分には伝わる」ではなく
「相手にも伝わる」かどうか。
自分の視点での“わかりやすさ”に頼ると、意外なところで落とし穴
になる。

資料は、「見ればわかる」ものでなければならない。
“その場にいない人にも伝わるか?”を基準に、設計していこう。

設計で悩む方はご相談ください。


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