※Webサイトに掲載している記事のダイジェスト版となります。
■『符号化特殊性原理』とは?
『符号化特殊性原理』とは、認知心理学において「情報を記憶する際の外的環境や自身の心理状態が、想起する際に一致するほど、思い出しやすくなるという原理」のことです。
つまり、情報を記憶した際の周囲の環境や心理状況と近しいほど思い出しやすくなる、という傾向のことです。
『符号化特異性原理』や『符号化特進性原理』とも呼ばれ、『プライミング効果』と相性の良い心理効果として知られています。
■『符号化特殊性原理』のメカニズム
人間は、情報を「孤立した情報」としてではなく、「学習時の外部環境(場所や音、匂い)」や「内部状態(感情心理・身体状態)」、「処理の文脈(意味的手がかり)」を含めて記憶(符号化)します。
そして、記憶した情報を想起する際には、符号化した時と同じような「手がかり」が存在すると、スムーズに引き出すことができるのです。
■『符号化特殊性原理』の実証実験
情報を記憶する際の外的環境や自身の心理状態が、想起する際に一致するほど思い出しやすくなる『符号化特殊性原理』を実証した実験として、以下の2つが知られています。
●「手がかり」が想起する際に与える影響
●「学習時」と「想起時」の環境が近いほど思い出しやすい
◆「手がかり」が想起する際に与える影響
この『符号化特殊性原理』は、1973年にエール大学のエンデル・タルヴィングとモナシュ大学のトムソンが提唱しました。
タルヴィングらは、実験の被験者に単語を学習してもらう際、「覚えてもらう単語」のほかに「関連性の弱い手がかり語」とセットで覚えてもらいました。
そして単語を思い出してもらう際に、「学習時に提示された関連性の弱い手がかり語」を提示する、「学習時には見ていないが元々強い意味的関連がある強い手がかり語」を提示する、「手がかりなし」の3パターンで想起率を比較しました。
実験の結果、「学習時に提示された関連性の弱い手がかり語」がある方が、「学習時には見ていないが元々強い意味的関連がある強い手がかり語」を提示された場合や「手がかりなし」の場合よりも、記憶の再生率が高くなりました。
この実験によって、タルヴィングらは「意味の結びつきの強さ」よりも、「覚えようとした単語と結び付けた手がかり語=学習時と同じ状況」の方が、想起率の高さを左右することが示されました。
◆「学習時」と「想起時」の環境が近いほど思い出しやすい
また、ゴドンとバッデリーは1975年、ダイバーを対象に単語の学習を「陸上で行うグループ」と「水中で行うグループ」の2つに分けて実験を行いました。
記憶テストをした結果、水中で覚えた単語は陸上よりも「水中」で思い出しやすく、陸上で覚えた単語は「陸上」で思い出しやすい傾向があることを明らかにしました。
つまり、学習時と想起時の環境が近いほど、記憶が促進されやすいことを実証したのです。
■『符号化特殊性原理』の発生例
『符号化特殊性原理』の代表的な発生例としては、以下が挙げられます。
●音楽を聴く・・・カフェを思い出す
●風景を見て・・・単語を思い出す
●自習室が試験会場と似ていると・・・暗記内容を思い出しやすい
●有名人を見かけると・・・商品やサービスを思い出す
●悲しい気分になると・・・悲しい気分の時に覚えた情報を思い出す
◆音楽を聴く・・・カフェを思い出す
ある音楽を聴いていたら、その曲が流れているカフェのことを思い出す。
◆風景を見て・・・単語を思い出す
実証実験と同様に、家から駅に向かうまでの道すがらで覚えた単語を、似たような風景を見た時に思い出す。
◆自習室が試験会場と似ていると・・・暗記内容を思い出しやすい
試験会場と似た自習室で暗記した内容を、実際の試験会場で記憶を引き出しやすくなる。
◆有名人を見かけると・・・商品やサービスを思い出す
テレビCMやPR動画に起用されている有名人を見ると、そのCMや動画で取り上げられていた商品やサービスを思い出す。
◆悲しい気分になると・・・悲しい気分の時に覚えた情報を思い出す
悲しい時に覚えた情報を、その後に悲しい気分になった際に思い出しやすくなる。
ちなみに、この現象は『気分依存記憶』と呼ばれています。
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