※Webサイトに掲載している記事のダイジェスト版となります。
■『ドミナント戦略』とは?
街を歩いていると、数メートル間隔で同じチェーン店があることに気づいたことはありませんか?
この、あえて特定の地域に経営資源を投下し集中的に出店することで、シェアを独占して競争優位性を確保する店舗戦略のことを『ドミナント戦略(Dominant Strategy)』と呼びます。
ドミナント(Dominant)とは、「支配的な」「優位性がある」「独占的」という意味で、集中して店舗を多数構える地域のことを「ドミナントエリア」と呼びます。
この戦略は、主にコンビニチェーンやスーパーマーケットといった小売業やファミリーレストランなどの外食チェーンなどで実施されています。
特に、資本の少ない企業・店舗が、競合と戦う際に有効な手法として知られています。
■『ドミナント戦略』のメリット
一般的には、広いエリアに満遍なく店舗を配置した方が良いと考えられますが、あえて特定の地域に集中することで、さまざまなメリットを得ることができます。
●「エリアマーケティング」の最適化
●特定の地域で知名度や認知度を高めやすい
●経営資源の効率化
●物流コストの削減
●人材の確保が容易に
●競合の参入を抑制できる
◆「エリアマーケティング」の最適化
メリットの1つは、「エリアマーケティング」を最適化できるという点です。
特定の地域に応じたマーケティング手法を指す「エリアマーケティング」。
特定のエリアに出店を集中させるため、その商圏内の顧客の特徴や傾向に絞ったマーケティングを実施すればよいので、効率的に特性に応じた商品開発や価格の設定、サービス展開や出店計画をすることが可能になります。
また、複数店舗で同時にセールやキャンペーンを実施することが容易になるため、広告宣伝費などのマーケティングコストを最適化しやすくなります。
さらに、市場調査にかかるコストも、エリアを限定することで削減が可能になります。
◆特定の地域で知名度や認知度を高めやすい
特定の限定した地域に集中して資本を投下することから、その地域での知名度や認知度が高まるようになります。
日常生活で頻度高く視界に入ったり来店する機会が生じやすくなるため、その店舗名やブランド名などが記憶に残りやすくなる、というわけです。
特定の地域で知名度や認知度が高まりシェアを確保できれば、その地域において「プレミア感」を出したり、ほかのエリアへ出店を拡大展開しやすくもなります。
◆経営資源の効率化
フランチャイズチェーン店の場合、特定のエリアに集中して店舗を複数構えることで、各店舗の運営を監督・指導する役割を担うスーパーバイザーが効率良く巡回しやすくなり、監督・指導する時間をより長く確保できます。
つまり、フランチャイザーである本部の中央管理コストを低く抑えることが可能になる、という効果を見込むことができます。
◆物流コストの削減
『ドミナント戦略』によって、店舗間の物理的距離が近くなることで、商品や資材の配送などの物流コストを抑えることが可能になります。
さらに、余剰在庫を近隣店舗へ短時間で移動させやすく、自然災害が起こった際にも柔軟に出荷対応ができます。
◆人材の確保が容易に
物流の効率アップとともに、店舗間の人員不足にも対応しやすくなり、また限定されたエリア内での配送となるため、近年のドライバー人材の不足についても有効な手立てになります。
◆競合の参入を抑制できる
『ドミナント戦略』は、ライバルとなる競合店の新規参入を阻むことにもつながります。
特定のエリアに集中して店舗を出店していれば、競合店が参入しようにも成功する採算が低いため、ライバル店の出店意欲を抑える効果が期待できます。
■『ドミナント戦略』のデメリット
多くのメリットがある一方、『ドミナント戦略』には以下のようなデメリットもあります。
●「カニバリゼーション」のリスク
●地域の需要変化の影響を受けやすい
●巨大資本が参入してくると太刀打ちできないケースも
●他のエリアへの展開が遅れる
◆「カニバリゼーション」のリスク
『ドミナント戦略』では、同系列店舗間で「カニバリゼーション(共食い)」が生じて顧客の取り合いが起こるリスクがあります。
限定的な地域で、店舗間でノウハウを共有しながらサービスや接客レベルが向上するメリットがある一方で、店舗ごとにノルマがある場合、同じ系列店舗同士で競争が生じる可能性があります。
「カニバリ」が生じて共倒れが起きないよう、出店計画を綿密に練り、厳しいノルマを設定しないことがポイントになります。
◆地域の需要変化の影響を受けやすい
特定に地域に限定し、そのエリアのニーズに特化して店舗展開ができるメリットがある一方で、ニーズ自体が変化したり、地域の環境変化によって、売上が落ちやすいデメリットがあります。
そういった影響に対しては、経営戦略の見直しやコスト投入など、大掛かりな変革を講じなければなりません。
そのため、変化に対応可能な柔軟性や経営リソースを担保しておくことが重要です。
さらに、刻々と進む「人口減少」も大きなリスクとなります。
『ドミナント戦略』に基づき、大量出店した地域の人口が急速に減少していく場合、複数店舗を出店している方が大きな被害を被ることになります。
「人口減少」に加え、突発的な自然災害などによって壊滅的な被害が出た場合、売上の減少や店舗の改修・修繕などのコストがかかる点も、大きなデメリットと言えます。
そういったリスクに対しても、相応の対応ができるよう事前準備しておくことが大切になります。
◆巨大資本が参入してくると太刀打ちできないケースも
自社よりも規模の大きい店舗や企業が、巨大な資本を投下し参入してきた場合、対応できずに閉店・撤退の恐れが生じてしまいます。
◆他のエリアへの展開が遅れる
特定の地域に大量出店する戦略であるため、ほかのエリアへの展開が遅れてしまうというリスクもあります。
『ドミナント戦略』を重視していると、新規エリアへ参入する際の開発力(情報や資金、人材など)に乏しく、出店ができなくなってしまうことも。
また『ドミナント戦略』の対象となる地域に特化することから、それまで培ったマーケティングやノウハウが通用しない、ということも起こりえます。
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