■『エコイックメモリー』とは?
耳から入ってくる情報(聴覚情報)を、一時的に記憶する機能である『エコイックメモリー(echoic memory)』。
認知心理学における「感覚記憶」の一種であり、聞いた音や言葉を数秒程度記憶に残る現象とも言えます。
■『エコイックメモリー』のメカニズム
人間の記憶は、目や耳、鼻や舌、皮膚といった感覚器官で受け取った情報を、一時的に保持する「感覚記憶」から始まります。
この「感覚記憶」の一種である『エコイックメモリー』は、大量の情報の中から必要なモノを選別し、短期記憶・長期記憶へと移行させるための重要な役割を担っています。
つまり、入ってきた聴覚情報を1秒~5秒程度『エコイックメモリー』という機能が保持し、この情報は次の処理段階である短期記憶や長期記憶に移行する前に消失するのです。
■『エコイックメモリー』の身近な例
聞き慣れた単語だけでなく、聞き慣れない言葉であっても『エコイックメモリー』は効果を発揮します。
●名前を呼ばれた際にすぐに復唱する
●意味のない言葉や聞きなれない単語を「オウム返し」する
◆名前を呼ばれた際にすぐに復唱する
誰かに名前を呼ばれた際、すぐに復唱できるのは『エコイックメモリー』によるものです。
◆意味のない言葉や聞きなれない単語を「オウム返し」する
まったく意味のない言葉や聞きなれない単語を耳にした際、直後にその言葉や単語を「オウム返し」できるのも、『エコイックメモリー』によって可能となります。
■『エコイックメモリー』と『アイコニックメモリー』
「感覚記憶」には、『エコイックメモリー』以外にも『アイコニックメモリー』があります。
『アイコニックメモリー(iconic memory)』とは、目から入ってくる視覚情報を一時的に保持する機能のことで、『エコイックメモリー』と比較して「多くの情報を短時間保持する」特徴があります。
それぞれの特徴をまとめると、以下のような違いとなります。
■ビジネスでの『エコイックメモリー』の活用例
ビジネスシーンにおいては、以下のようなテクニックを用いて『エコイックメモリー』の効果を発揮させています。
●冒頭に「重要なポイント」を述べる
●あえて「難解な表現」を用いる
●「五感」に訴えかける
◆冒頭に「重要なポイント」を述べる
例えば、プレゼンテーションを行う際に、最初の数秒に「重要なポイント」を伝えることで、聞き手の『エコイックメモリー』に残存しやすくなり、記憶に残る可能性が高まることになります。
この「最初に重要なポイントを伝える」手法を発展させたのが『PREP法(プレップ法)』と呼ばれるフレームワークと言えます。
「結論→理由→具体例→結論(繰り返す)」という流れで、伝えたい「結論」を最初と最後に示すことで、聞き手に「結論(重要なポイント)」を印象付けることが可能になります。
◆あえて「難解な表現」を用いる
あえて「難しい言葉」を使い、聞き手に「?」を思い浮かべさせて聞き返してきた時に詳細な説明をすることで、強い印象を残すことが可能になります。
「わかりやすく(難しくない)説明する」ことが一般的ですが、分かりやす過ぎても印象には残りません。
そこで、意識的に「難解な表現」を用いることで、聞き手に『認知的不協和』を生じさせて興味関心を促す、という形をとることで注目・注視させる効果が期待できるのです。
◆「五感」に訴えかける
視覚や聴覚、嗅覚や味覚、触覚という「五感」を刺激するような表現を盛り込むことで、商品やサービスの特徴や良さをより具体的に訴求することが可能になります。
例えば、自動車を販売する際、「この車は、静音性が高いため振動が少なく、運転のしやすさが特徴です」と伝えるのが一般的です。
そこで『エコイックメモリー』を活用して「この車に乗れば、静かで滑らかな乗り心地で、開放感が溢れるドライブを楽しむことができます」といった表現にすることで、より印象的に「乗り心地の良さ」を訴えかけることができるようになります。
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