■『罰への欲求』とは?
うまく物事が続くと不安にかられたり心配になり、悪いことや失敗を望むようになる『罰への欲求』。
「うまく行き過ぎて不安」「こんなに良いことが続くはずがない」といった感情を抱き、「今度は逆に悪いことが起こるんじゃないか」と不安感を覚えたり、悪いことが起きることを求めるようになるという心理現象のことです。
◆提唱したのは?
この『罰への欲求』は、消費者心理に訴える広告を提言した、アメリカの深層心理学者の E・ディヒター(Dichter Ernest)が提唱した心理現象です。
ディヒター 氏は、著書『欲望を創り出す戦略』の中で、以下のように述べています。
人の心の中では、快楽と罪悪感が常に衝突し合っている。
広告マンの大きな仕事は「商品を売り込む」ことよりも消費者に「安心感」を与えることだ。
『欲望を創り出す戦略(The Strategy of Desire)』
多くの人間には「幸せはずっと続くことはなく、良いことと悪いことは同じだけ起こる」と考える傾向があります。
すると「良いことが続くと、その後には必ず悪いことが起こる」と不安を覚えるようになります。
そのため、ビジネスシーンにおいては消費者が「快楽(幸せ)」と「罪悪感」のバランスをうまくとれるような手法が求められる、というわけです。
◆実際に起きた出来事が事例に
『罰の欲求』を提唱した E・ディヒター 氏は、1950年~1955年に起こったアメリカの出来事を事例として挙げています。
1950年から1955年にかけて、アメリカでは肥満や虫歯などの原因は「砂糖菓子」にあると言われていました。
すると、消費者の多くは、砂糖を使った菓子商品の購入を避けるようになりました。
その結果、菓子商品の消費が10%も減少してしまったことに対して、E・ディヒター 氏は消費者の抵抗感を減らすためにある「キャンディ」を販売しました。
当時は大きいキャンディケースにキャンディが詰められており、一度にキャンディを食べなければならない仕様になっていました。
そこで、一口サイズで一つ一つを個装したキャンディを販売したことで、一度にキャンディを食べきってしまうことへの不安心理を取り払うことに成功し、売上を回復させることができました。
キャンディを食べる「罪悪感」に、一口サイズで食べられるという「快楽」を取り入れてバランス保ったことで、『罰への欲求』をうまく活用した例として知られています。
■『罰への欲求』が発生するメカニズム
良いことが続くことで引き起こされてしまう『罰への欲求』。発生するメカニズムとしては、以下が挙げられます。
●幸せ恐怖症
●予期不安
●インポスター症候群
◆幸せ恐怖症
「幸せ」を感じることに恐怖感を抱く精神的な状態を指す『幸せ恐怖症』。
「幸せになると何か悪いことが起こるのではないか」という不安や、「喜びを表現する」ことへの恐れを特徴としています。
不安症の一種と捉えられることもあり、自己肯定感の低下や抑うつ、不安感やストレスにつながる可能性があります。
◆予期不安
「強い不安を伴う出来事が起こるのではないか」という、まだ現実化していない未来(将来)への恐怖や心配を意味する『予期不安』。
◆インポスター症候群
自身の能力や実績を過小評価し認めることができない心理的傾向を意味する『インポスター症候群』。
「自分の能力を偽って他人を欺いている」と感じることで罪悪感や不安、後ろめたさが生じ、それが一種の自己罰的な感情につながる可能性があります。
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