「やっと復職できた」
その安堵感は本物です。休職中の不安と葛藤を乗り越えて、また職場に戻れた。それだけで十分すごいことです。
でも、臨床の現場で多くの方を支援してきた立場から、一つだけ伝えさせてください。
**復職は、ゴールではなく、スタートです。**
再休職をする方の多くが、復職後1〜3ヶ月以内に限界を迎えています。「もう大丈夫」と思えた矢先に、また崩れてしまう。その繰り返しを防ぐために、最初の3ヶ月の過ごし方がとても大切です。
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## なぜ、復職後3ヶ月が危ないのか
復職直後は、不思議と気力がある状態が続きます。「迷惑をかけた分を取り返したい」「もう心配させたくない」という緊張感が、体を動かしてくれる。
これを臨床の世界では「**ハネムーン期**」と呼ぶことがあります。現実の問題が見えてくる前の、一時的な高揚感の時期です。
問題は、この期間が終わった後です。
緊張の糸が緩む頃——それが、ちょうど復職から2〜3ヶ月が経ったタイミングです。ここで一気に疲弊が出てきます。体と心が「実はずっとしんどかった」と正直になる瞬間です。
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## 復職後3ヶ月に起きやすいこと3つ
### ① 張り切りすぎて疲弊する
「休んでいた分を取り返したい」という気持ち、よくわかります。でも、この気持ちが一番危ない。
休職前のパフォーマンスに早く戻ろうとして、知らず知らずのうちにエネルギーを使いすぎてしまう。そして気づいたときには、もう動けない状態になっている。
これは根性の問題ではありません。休職中に回復した体と心が、まだ「フル稼働」に対応できていないのに、フル稼働をしようとすることで起きる、ごく自然な反応です。
### ② 周囲のサポートが途切れる
復職後しばらくは、上司や同僚も気を遣ってくれます。でも「元気そうに見える」ようになると、だんだん普通に接してもらえるようになる。
これ自体は悪いことではありません。ただ、本人はまだしんどい時期なのに、サポートが薄れていく——そのギャップが、孤独感につながることがあります。
「もう弱音を吐いてはいけない」「また心配させたくない」という気持ちから、しんどくても言い出せなくなる。気づけば一人で抱えすぎている、というパターンです。
### ③ 職場関係の再構築でエネルギーを消耗する
休職前と職場の状況が変わっていることは少なくありません。担当業務が変わっていたり、チームメンバーが入れ替わっていたり、自分の立ち位置が変化していたり。
こうした「関係の再構築」は、想像以上にエネルギーを消費します。でも見えにくいので、「なんで最近こんなに疲れているんだろう」と原因がわからないまま消耗していく、ということが起きやすいです。
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## 3ヶ月を乗り越える3つの準備
では、どうすれば最初の3ヶ月を安全に乗り越えられるのか。支援の現場で効果があると感じている方法を3つお伝えします。
### ① 70%ルールを守る
「できる」と感じても、7割のエネルギーで止める。これを意識してほしいのです。
感覚的に「大丈夫そう」と感じているとき、実際には8〜9割のエネルギーを使っていることが多いです。「余裕があるな」と感じるくらいで、ちょうどいい。
最初の3ヶ月は、仕事の成果を出す期間ではなく、**職場に体と心を慣らす期間**です。この認識の切り替えが、再休職を防ぐ上でとても大切です。
### ② 週1回の自己チェックを習慣にする
毎週1回、3つの項目を自分で確認する習慣をつけてください。
- **睡眠**:眠れているか、途中で目が覚めないか
- **食欲**:食事が取れているか
- **気力**:朝、普通に起き上がれるか
この3つに変化が出てきたとき、それはSOSサインです。早めに気づけると、早めに対処できます。
数字や言葉で記録するのが難しければ、○△×でつけるだけでも十分です。大事なのは、続けることです。
### ③ SOSを出す相手を、先に決めておく
「しんどくなったら誰に言うか」を、元気なうちに決めておいてください。
しんどくなってから考えると、判断力が落ちているときに答えを出さなければならなくなります。追い詰められた状態で助けを求めるのは、思っている以上に難しいです。
職場の上司でも、産業医でも、家族でも、支援者でも構いません。「この人に連絡する」と決めておくだけで、いざというときの行動が変わります。
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## まとめ
復職後の3ヶ月は、体と心が「働く生活」に再適応していく、とても繊細な時期です。
うまくいっているように見えるときほど、「70%で止める」「週1回チェックする」「SOSの相手を決めておく」——この3つを意識してみてください。
再休職は、意志の弱さでも、準備不足でもありません。でも、知識と準備があれば、防げることも多い。
あなたの回復が、長く続くものになってほしいと思っています。