最近、Web制作のご相談で少し気になるケースが増えてきました。
たとえば、
* Webサイトはある程度できているので、残りを完成させてほしい
* デザインはできているので、実装だけお願いしたい
* あと少しなので、公開できる状態にしてほしい
* 途中まで作ったサイトの続きをお願いしたい
といったご相談です。
もちろん、途中からWebサイト制作を引き継ぐこと自体は珍しくありません。
ただ最近は、話を聞いたり実際のデータを確認したりすると、**AIを使ってデザインやWebサイトを制作し、最後の完成できない部分だけを依頼したい**というケースが増えているように感じています。
AIでWebサイトを作ることが悪いわけではありません
最初にお伝えしたいのは、**AIを使ったWeb制作そのものを否定しているわけではない**ということです。
AIを活用すれば、
* デザイン案を考える
* Webサイトの構成を考える
* 文章を作成する
* HTMLやCSSを書く
* プログラムのたたき台を作る
といった作業を効率化できます。
制作コストや時間を抑えられることもあるでしょう。
便利なものは、うまく活用すればいいと思っています。
気になるのは「最後だけお願いします」という依頼
私たちが少し違和感を覚えるのは、
「簡単なところは自分たちで安く作ったので、難しくて面倒なところだけプロにお願いしたい」
という形のご依頼です。
さらに、
* AIで制作したことを最初に伝えてもらえない
* 誰が作ったのか分からない
* どんな方法で作ったのか分からない
* どこまで完成しているのか分からない
* それでも「ほぼ完成している」として相談される
ということもあります。
AIを使ったこと自体を隠す必要はありません。
むしろ制作経緯を最初に共有していただいたほうが、こちらも状況を正確に把握し、適切な対応方法を考えることができます。
「AIで作った」と言わなくても、制作側には分かることがあります
これは少し言いにくい話ですが、**AIで制作したことを伝えていなくても、エンジニアやWeb制作会社側には分かっていることが多い**と思います。
もちろん、制作会社やエンジニアも、
「これ、AIで作りましたよね?」
とわざわざ指摘することは、ほとんどないでしょう。
何も言わずに、依頼された内容を確認しているケースが多いと思います。
ただ、実際にデータやコードを確認していくと、
* 不自然に複雑なコードになっている
* 同じような処理が何度も書かれている
* 命名や記述方法に一貫性がない
* 見た目は整っているのに、内部構造が整理されていない
* 一部だけ実装方法やコードの雰囲気が大きく違う
* 必要以上にコード量が多い
* 「なぜこの実装にしたのか」という意図が読み取りにくい
* 修正を重ねた結果、不自然な継ぎ足しが増えている
といった特徴が見えてくることがあります。
もちろん、これだけで「100%AIで作った」と断定できるわけではありません。
人が書いたコードでも、同じようなことは起こります。
それでも、日常的にWebサイトやコードを見ているエンジニアであれば、
「これはAIをかなり使って作っているのではないか」
と感じることはあります。
AIを使ったことを隠す必要はありません
むしろ私たちとしては、
* どのAIやサービスを使ったのか
* どこまでAIで制作したのか
* どこから自分たちで修正したのか
* どの部分で行き詰まったのか
* 現在どんな問題が起きているのか
といったことを最初に共有していただいたほうが助かります。
制作方法が分かれば、こちらも調査する範囲を絞りやすくなりますし、より適切な対応方法を考えられるからです。
AIを使ったことが問題なのではありません。
問題なのは、制作経緯が分からない状態で、
「ほとんど完成しているので、残りだけお願いします」
と渡されることです。
制作会社やエンジニア側は何も言わないかもしれません。
でも、何も言わないからといって、気付いていないとは限りません。
AIで制作したのであれば、そのことも含めて最初から共有していただいたほうが、お互いにスムーズに制作を進められると思います。
「ほとんど完成しています」は、本当に完成間近でしょうか?
こうしたご相談でよく聞くのが、
「もうほとんど完成しています」
という言葉です。
確かに画面だけを見ると、
* トップページがある
* 写真が入っている
* 文章も入っている
* ボタンも配置されている
* それなりにデザインされている
という状態なので、80%、90%くらい完成しているように見えるかもしれません。
しかし、Webサイト制作では、
「見た目ができている」=「Webサイトとして完成している」
ではありません。
公開するまでには、まだ多くの作業があります
たとえば、
* スマートフォンやタブレットでも正しく表示されるか
* ブラウザによって表示が崩れないか
* お問い合わせフォームは正常に動作するか
* 自動返信メールは届くか
* 更新しやすい仕組みになっているか
* SEOを考慮した構造になっているか
* ページの表示速度に問題はないか
* セキュリティ面に問題はないか
* サーバーやドメインの設定はできているか
* SSLは正しく設定されているか
* 公開後に修正・更新できる状態になっているか
など、確認しなければならないことがたくさんあります。
そして実際には、こうした**「最後の10%」に専門的な知識や経験が必要な作業が集中している**ことも少なくありません。
誰かに依頼して作ったのなら、なぜ最後まで完成していないのでしょうか?
もうひとつ、制作を引き継ぐ際に気になることがあります。
ご相談の中で、
* 「別の人に作ってもらいました」
* 「ここまでは制作してもらっています」
* 「デザインは完成しています」
* 「あとは公開するだけです」
と説明されることがあります。
そのとき、制作する側としてどうしても気になるのが、
「では、なぜその方は最後まで完成させていないのだろう?」
ということです。
Webサイトには「作った人の考え」があります
Webサイトは、見た目だけで作られているわけではありません。
制作する際には、
* なぜこのページ構成なのか
* なぜこのデザインなのか
* なぜこのコードになっているのか
* どのような更新方法を想定しているのか
* どんなユーザーを想定しているのか
* 公開後どのように運用するのか
といった設計があります。
別の制作者が途中から引き継ぐ場合、まずはその設計を理解するところから始めなければなりません。
そして、制作した本人でなければ分からない部分が多ければ多いほど、引き継ぐ側の調査や確認にも時間が必要になります。
「90%できている」ものを、そのまま使えるとは限りません
見た目では90%完成していても、私たちからすると、その90%が本当に使えるものなのかを確認する必要があります。
たとえば、
* コードを確認する
* ページ構造を確認する
* スマートフォン表示を確認する
* 使用しているシステムを確認する
* 不具合がないか調査する
* 更新方法を確認する
* セキュリティ上の問題がないか確認する
といった作業です。
その結果、
「残り10%を作れば完成」ではなく、「すでにある90%から確認しなければならない」
という状態になることもあります。
場合によっては、既存のものを修正し続けるよりも、最初から作り直したほうが早く、安全なケースもあります。
「途中までできているから安くなる」とは限りません
依頼する側からすると、
「ここまで自分たちで作ったのだから、その分だけ制作費も安くなるだろう」
と考えるのは自然だと思います。
しかし、Web制作では必ずしもそうとは限りません。
ゼロから制作する場合
自分たちで最初から制作すれば、
* サイト全体の構造
* デザインの意図
* 使用しているコード
* システムの仕様
* 更新方法
* 公開後の運用方法
を把握した状態で制作を進められます。
途中から引き継ぐ場合
一方、誰かが作ったものを引き継ぐ場合は、
* 何がどう作られているのか
* どこまで完成しているのか
* 正常に動作しているのか
* どこに問題があるのか
* 修正すると別の場所に影響しないか
* 今後も安全に運用できるのか
といったことを、一つひとつ確認する必要があります。
つまり、すでに作られているものを理解するための時間とコストが発生します。
そのため、
「途中まで作ってある=その分だけ安く完成できる」
とは限らないのです。
むしろ状態によっては、ゼロから制作するより調査や修正に時間がかかることもあります。
面倒なところだけを「丸投げ」されても、良いWebサイトにはなりにくい
私たちは、Web制作を単純な作業代行だとは考えていません。
もちろん、
* ここを修正してほしい
* この機能を追加してほしい
* 表示がおかしいので直してほしい
といったスポットのご相談に対応することもあります。
ただ、
* AIでできるところまでは安く済ませる
* 難しいところで制作が止まる
* 最後の面倒な部分だけ制作会社に依頼する
* できるだけコストをかけずに完成だけしてもらう
という進め方では、私たちが本来提供したいWeb制作とは少し違ってきます。
Webサイトは、とにかく公開できる状態にすれば完成というものではないからです。
私たちが作りたいのは「公開して終わり」のWebサイトではありません
私たちがWeb制作で大切にしているのは、まずお客様としっかりコミュニケーションを取ることです。
たとえば、
* どんな事業をしているのか
* どんなお客様に見てもらいたいのか
* 何を一番伝えたいのか
* Webサイトからどんな問い合わせにつなげたいのか
* 競合と何が違うのか
* 今後どのように事業を展開していきたいのか
こうしたことをお聞きしながら、一緒にWebサイトを考えていきます。
なぜなら、Webサイトは単なる「会社案内」ではなく、事業のための大切なツールだからです。
Webサイトは公開してからがスタートです
私たちは、
「公開できました。納品完了です。」
だけで終わるWebサイトを作りたいわけではありません。
公開後には、
* アクセス状況を確認する
* 検索順位を見る
* お問い合わせ状況を確認する
* 分かりにくい部分を改善する
* コンテンツを追加する
* 新しいサービスを掲載する
* 事業の変化に合わせてページを変更する
といったことが必要になります。
公開して実際のユーザーに使ってもらって、初めて分かることもたくさんあります。
だからこそ、Webサイトは作って終わりではありません。
事業と一緒に変化しながら、少しずつ育てていくものだと考えています。
AI時代だからこそ「誰と作るか」が大切になる
AIによって、Webサイトを「形にする」ことはこれからさらに簡単になっていくでしょう。
AIを使えば、
* デザインを作る
* 文章を書く
* 画像を作る
* コードを書く
* ページを作る
といったことが、以前よりずっと簡単にできるようになっています。
それ自体は、とても便利な変化だと思います。
でも、Webサイトで本当に大切なのは、その先です。
* 誰に見てもらうのか
* 何を伝えるのか
* どう問い合わせにつなげるのか
* 公開後どう改善するのか
* 事業の変化にどう対応するのか
* 問題が起きたとき誰が対応するのか
ここまで考えて、初めて「Webサイトを作る」という仕事になるのではないでしょうか。
「安く作る」だけではなく、「一緒に育てられる相手」を
AIでWebサイトを作ること自体は、決して悪いことではありません。
AIをうまく活用することで、制作を効率化できる場面もたくさんあります。
ただ、
「AIで作れるところまで作って、できなくなった部分だけプロに任せれば安く完成する」
必ずしも、そう単純ではありません。
途中から引き継ぐからこそ、
* 既存データの確認
* コードや構造の調査
* 不具合の洗い出し
* 修正範囲の特定
* 公開後の運用を考えた再設計
などに時間がかかることもあります。
そして何より、私たちが大切にしたいのは「完成させること」だけではありません。
* お客様の事業を理解する
* 目的を共有する
* 必要なWebサイトを一緒に考える
* 公開まで責任を持って制作する
* 公開後も改善していく
* 事業と一緒にWebサイトを育てていく
そんな関係を築きながらWebサイトを作っていきたいと考えています。
AIで作るのか、人が作るのか。
そこだけが重要なのではありません。
これからWebサイトを作るときは、
「いくらで作れるか」だけではなく、「誰と作り、その後どう育てていくか」
ということも、ぜひ考えてみてください。