「アカウントを見てもらいたいが、ログイン情報を渡すのは不安」
「制作会社に作ってもらった広告アカウントが、そもそも自分のものなのか分からない」
広告の相談を受けるとき、最初につまずくのがここです。そしてこの不安は正しいです。
先にはっきりお伝えします。広告アカウントの共有に、パスワードを渡す必要はありません。
GoogleもMetaも、「このメールアドレスの人に、この範囲だけ見せる」という権限の仕組みを用意しています。渡すのはメールアドレスだけです。パスワードを教える運用は、そもそも想定されていません。
この記事では、外部に相談・依頼するときの安全な共有の手順と、その前に確認しておくべき「そのアカウントは本当に自分のものか」という問題を整理します。
先に確認:そのアカウント、誰のものですか
これが一番大きな落とし穴です。
制作会社や以前の代理店にアカウントを作ってもらった場合、アカウントの所有者がその会社になっていることがあります。
この状態だと、次のようなことが起こり得ます。
・取引を終了したら、アカウントごと使えなくなった
・過去の運用データを引き継げなかった
・自分で権限を追加することができない
過去のデータは資産です。 どのキーワードで成果が出たか、どの広告文が効いたか。ゼロから作り直すと、この蓄積が消えます。
確認のしかた
管理画面で、自分のアカウントに「管理者」権限があるかを見てください。権限の一覧を開けるなら管理者、そもそも一覧が見られないなら管理者ではありません(名称は変更されることがあります。要確認)。
もし管理者でないなら、まず所有権を整理してください。 外部に相談するのは、そのあとです。
これは今すぐ揉める話ではなく、契約を終える段階で初めて表面化することがほとんどです。だからこそ、平時のうちに確認しておく価値があります。
Google広告の権限レベル
Google広告では、アクセスできる範囲を段階的に選べます(名称・区分は変更されることがあります。要確認)。
・ **管理者** … 権限の追加・削除を含め、すべて可能
・ **標準** … 設定の変更はできるが、権限の管理はできない
・ **読み取り専用** … 数値を見られるだけ。設定は変更できない
どれを渡すか
目的で決めてください。
・ **診断・分析だけを依頼する** → **読み取り専用**で十分です
・ **設定の修正まで依頼する** → **標準**
・ **管理者権限を渡す必要は、基本的にありません**
「とりあえず全部の権限を」と渡してしまう方が多いのですが、必要な範囲だけ渡すのが原則です。読み取り専用なら、万一のことがあっても設定は変えられません。
手順
1. 管理画面のアクセス管理の画面を開く
2. 相手のメールアドレスを入力する
3. 権限レベルを選ぶ
4. 招待を送る
相手側に承認の通知が届き、承認された時点で共有されます。この間、パスワードのやり取りは一切発生しません。
Meta広告の場合
Metaはやや構造が複雑です。
個人のFacebookアカウント、ビジネスの管理単位、広告アカウント、Facebookページ、Instagramアカウントが、それぞれ紐づいています(名称・構成は変更されることがあります。要確認)。
つまずきやすいのは、個人アカウントで直接作った広告アカウントです。この状態だと権限の管理がしづらく、外部への共有も引き継ぎも面倒になります。
事業として継続的に広告を出すなら、ビジネス用の管理単位を作り、その配下に広告アカウントとページを置く構成にしておくと、後々の共有・引き継ぎが楽になります。
タグ・計測まわりの権限も忘れずに
見落とされやすいのがこちらです。
CV計測の相談をする場合、広告アカウントだけ見られても原因は分かりません。計測は複数のツールにまたがっているためです。
必要になり得るのは次の3つです。
1. GA4 … 閲覧権限
2. Googleタグマネージャー(GTM) … 確認だけなら閲覧、修正するなら編集
3. サイトの管理画面 … タグを直接設置する場合
全部を最初から渡す必要はありません。 ただ、「広告アカウントだけ見せて、計測の原因を特定してほしい」というのは、構造的に難しい依頼だということは知っておいてください。
依頼するときは、「どこまで見られるか」を先に伝えるとスムーズです。 できないことが分かっていれば、その前提で進められます。
やってはいけない共有のしかた
パスワードを教える
これが最も避けたい方法です。 理由は3つあります。
1. 誰が何をしたか記録に残りません。 権限で共有していれば、操作の履歴が誰のものか分かります
2. 二段階認証の妨げになります。 認証コードを毎回転送する運用は現実的ではありません
3. 取引終了後に切り離せません。 パスワードを変更するまで、アクセスが残り続けます
「権限で共有できないので、パスワードを教えてください」と言われた場合は、いったん立ち止まってください。 GoogleもMetaも権限共有の仕組みを持っているため、その説明は成り立ちません。
何の説明もなく管理者権限を渡す
管理者権限を渡すと、相手が他の人を追加でき、あなたの権限を外すこともできます。
外部の方に渡す場面は、基本的にありません。
依頼が終わったあとにやること
これを忘れる方が非常に多いです。
相談や作業が終わったら、権限を削除してください。 悪意の有無に関係なく、不要なアクセスを残さないのが基本です。
削除は追加と同じ画面からできます。依頼の完了と権限の削除をセットで考えておくと、忘れません。
継続的に見てもらう場合はもちろん残して構いませんが、単発の依頼なら終了時に外す、と決めておくのが安全です。
確認チェックリスト
依頼する前
・ [ ] 自分が広告アカウントの管理者になっている
・ [ ] 過去のデータが自分の管理下にある
・ [ ] 何を依頼するか(診断だけ/修正まで)を決めた
共有するとき
・ [ ] パスワードではなく権限で共有した
・ [ ] 目的に合った最小限の権限レベルにした
・ [ ] 計測ツール(GA4・GTM)の権限が必要か確認した
終わったあと
・ [ ] 不要になった権限を削除した
よくある質問
Q. 読み取り専用だと、相談の内容が限られませんか
診断・原因の特定は読み取り専用で可能です。設定の修正が必要になった段階で、権限を上げるか、手順をお伝えして自分で操作していただく形が取れます。最初から広く渡す必要はありません。
Q. 制作会社が管理者で、自分は権限を持っていません
まず制作会社に、自分のメールアドレスへ管理者権限を付与してもらえるか相談してください。応じてもらえない場合は、契約内容を確認したうえで判断する話になります。新しくアカウントを作り直すのは最後の手段です(過去データが失われます)。
Q. 権限を渡したら、勝手に設定を変えられませんか
読み取り専用なら変更できません。標準権限を渡す場合は、「どこを変更するか」を事前に共有してもらうようにすると安心です。
Q. 二段階認証は設定しておくべきですか
権限共有と二段階認証は両立します。むしろ、パスワードを共有しない運用にしておけば、二段階認証を安心して設定できます。
まとめ:今日できること
1. 自分が広告アカウントの管理者になっているか確認する
2. なっていなければ、所有権の整理を先に進める
3. 相談するときは、メールアドレスへの権限付与で共有する(パスワードは渡さない)
4. 依頼が終わったら権限を削除する
アカウントは事業の資産です。 誰に何をどこまで見せるかを自分で決められる状態にしておくことが、外注をうまく使う前提になります。
計測の設定を見てほしいけれど、どこまでの権限を渡せばいいか分からない、という場合は「Google広告のCV計測・タグ設定を支援します」で、画面を共有しながら一緒に確認しています。パスワードをお預かりすることはありません。 必要な権限の範囲もあわせてご案内します。