小泉英明氏「脳は出会いで育つ」脳科学と教育の入門書(本)

記事
コラム
小泉英明氏は、「脳科学と教育」の学際領域を立ち上げた方です。「脳科学と教育」の研究プロジェクトの統括リーダもされていました。「脳科学と教育」分野の入門書としては、ベストです。Yutubeなどで脳科学に関する動画が多数投稿されておりましたが、科学的に証明されていないものを断定的に説明されているものもたくさんありました。
 まず、前提知識として本書を読まれることをお勧めします。脳科学で科学的に証明されている内容とまだわからないことについて明確に区別して説明しております。
 そうしますと、Yutubeなどの脳科学に関する動画をフィルタリング判別できます。
 超有名な脳科学者の動画でも間違っているものもありました。

書名:脳は出会いで育つ
副題:「脳科学と教育」入門
著者:小泉英明
定価:2,000円+税 発行日: 2005年8月15日 発行所:株式会社青灯社

内容説明
<欧米を超える最前線の成果>
過保護や溺愛は、環境からの入力刺激を遮断し、子どもの健やかな神経回路の発達を妨げて、非行を招く可能性がある。脳こうそく後のリハビリは2ヶ月が勝負-。子育てのあり方やメディアとのつきあい、英語の学習法、認知症の回復、リハビリ等、子どもから高齢者に至るまで、脳を育むにはどうすればいいのか。国内外の「脳科学と教育」研究プロジェクトを先導する俊英が、驚くべき最新の成果と見通しを語る待望の書。

目次
まえがき
1. 一生にわたる脳の発達~最近のトピックから
テレビを見せない?/睡眠リズムの臨界期/ハイハイの重要性/トレーニングの必要/意欲と古い皮質の関わり/なぜ英語ができないか/バイリンガルは中途半端になりがち/人生80年時代/脳の頭の体操/学習療法で回復した認知症の駅長さん/料理は前頭葉を活性化させる/ワーキング・メモリの重要性/リハビリは二か月が勝負/神経細胞の数は一生変わらない/
脊髄の再生する可能性
2.赤ちゃんの脳を育む~遺伝と環境の境界
温度差によって性が決まる/生物の臨界期は人間に拡張できるか/刷り込み24時間以内に/横じまが見えなくなる猫/神経ブロックの形成は陣取りゲーム/眼帯をかけると弱視になる/「心の理論」に臨界期はあるか/奇跡的な回復を遂げた脳障害児/ケアワーカーの知見をいかに生かすか/胎内で開始されるプロソディの学習/「脳を育む」というコンセプト/「脳を育む」概念のルーツ/ケアワーカーの暗黙知/3歳児神話/MRIの開発に苦労する/光トポグラフィは人の心を測る
3.「脳科学と教育」の課題
「学習と教育」の新しい定義/カントが見出した親鳥の「教育」/
ジュウシマツにおける「文化の伝承」/「教育」とは人類最大の発見の1つ/
鳥が「教育」する秘密の鍵は脳にあり/誕生から死までの「学習」と「教育」/認知症にならない課題/重要な髄鞘化プロセスの解明/情報伝達の担い手/
過保護、過干渉が阻む脳神経回路の構築/追跡調査研究が教科書を変える/
脳は首から上だけではない
4.身体性と現代生活の問題
身体性は人間の基本/赤ちゃんの髄鞘化/胎内での認知/自分の外界を作っていく/五感を総動員する/実体験から認知世界が生まれる/実体験が芸術を理解させる/自然の中で自然に触れない問題/「ひとを殺さば」/メディアに対するアセスメントの必要性/メディアは五感のうちの視聴覚だけ/赤ちゃんとテレビの不自然な関係/暴力シーンの根本問題/ゲームの何が問題か/
脳は使わないと捨てられる/コンピュータはスイッチ操作
5.意識下をのぞく
「意識下」で行われる並列分散処理/意識上での並列処理の鍵はワーキング・メモリ/ワーキング・メモリが衰える可能性/意識下の計測が鍵/フロイト自筆の神経解剖図/フロイトの野心的試み/「神経心理学」草稿の数奇な運命/
見直される精神分析モデル/意識レベルを測定する/夢を見ている状態の脳活動を測定/記憶の計測/光による言語野確認方法が保険適用に/文法的誤りを認知する領域を計測/米で深刻化しつつあるディスレクシア/期待される脳の可塑性の研究/「機能野の再構築」という新研究分野
6.心の形態学の構想
バイオリニストの小指の広い体性感覚野/カラーセンターの発見/色の残像研究から「精神の計測へ」/注目される「統合機能」の解明/認知構造の三次元ピラミッド型モデル/「心の形態学」構想/脳から直接出力する試み/ALS患者のための脳情報出力装置/一見、植物状態でもコミュニケーション可能を証明/完全に意識があるALS患者/
おわりに
「環学性」の提唱/分野融合を進める秘訣とは/光の方法が開く新たな研究の可能性/ワーキング・メモリの活性化が必要/計測装置の課題/教育関連の社会問題と脳研究は不可分/脳研究の裏づけが必要な早期教育/本当に人の役に立つことの難しさ/科学技術立国の原点は教育にあり/脳科学と倫理/
あとがき
著者プロフィール
小泉英明(こいずみ・ひであき)
日立製作所基礎研究所所長、東大客員教授を歴任。
脳画像の光トポグラフィ開発で世界的に名高い。
大河内記念賞他内外の多くの賞を受賞。

発行年がちょっと古いですが、「脳科学と教育」の入門書として、最初に読むには最適な本です。かなり広範囲なテーマについて挙げていますので、自分の興味があるテーマを先に読んでも良いかも知れません。


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