私が鑑定で使用している「ディレクション」は、生まれた瞬間のホロスコープを基に、人生の中でどのような星の影響と出会っていくのかを、年齢に沿って読み解いていく古典占星術の予測技法です。
出生図が「生まれ持った性質や人生の可能性」を表すものだとすれば、ディレクションは、その出生図に示されたものが「人生のどの時期に動きやすくなるのか」を時間軸に沿って見ていく方法の一つです。
私の鑑定では、主に0歳から80歳前後までの流れを確認しています。
未来に起こる出来事を断定するためのものではなく、これまで歩んできた人生を振り返りながら、現在自分がどのような時期にいて、これからどのようなテーマと向き合っていく可能性があるのかを考えるために用いています。
ウィリアム・リリーの古典占星術を基礎としています
私が実践しているディレクションは、17世紀イギリスの占星術師ウィリアム・リリーの古典占星術を基礎としています。
ディレクションにはさまざまな計算方法がありますが、私の鑑定では、単純に黄道上を一定の速度で動かす方法ではなく、出生地と天球上の位置関係を考慮した「OA(Oblique Ascension/斜昇)」を使用してASC(アセンダント)の動きを求めています。
少し専門的な技法ですが、これは古典占星術で用いられてきた天文学的な考え方に基づくものです。
鑑定を受ける方が計算方法を理解する必要はありませんが、現代的に簡略化した方法ではなく、できるだけ古典占星術の考え方を大切にして鑑定していることを知っていただければと思います。
ASCが人生の中で「何と出会うのか」を見ていきます
ディレクションでは、出生時のASCを時間の経過とともに動かしていきます。
そして、そのASCが人生の中で、惑星、アスペクト、恒星などと出会う時期を調べていきます。
たとえば、ある年齢でASCが土星と関係する配置に入った場合には、責任、忍耐、制限、時間をかけて取り組むことなど、土星が象徴するテーマが強く表れやすい時期として考えます。
火星との関係であれば、行動力や競争、決断といった働きが強くなる一方、状況によっては衝突やトラブルなどにも注意が必要になることがあります。
ただし、「土星だから悪い」「木星だから良い」というような単純な判断は行いません。
その惑星が出生図のどこにあり、どのハウスを支配し、どのような状態にあるのかなど、出生図そのものと照らし合わせながら意味を考えていきます。
「ターム」から、その時期の背景を読みます
私のディレクション鑑定で大切にしているものの一つが、古典占星術の「ターム」です。
黄道十二宮の各サインは、さらにいくつかの領域に分けられ、それぞれを異なる惑星が支配しています。
ASCが人生の中でどの惑星のタームを通過しているのかを見ることで、その期間の背景に、どの惑星の性質が働きやすいのかを考えます。
そして、そのタームの中でASCがどの惑星やアスペクト、恒星と出会うのかを重ね合わせていきます。
一つの配置だけで人生を判断するのではなく、「その時期全体の背景」と「そこで起こる星との出会い」を関連づけながら読むことを大切にしています。
恒星との出会いも確認します
古典占星術では、惑星だけでなく恒星も重要な意味を持っています。
ディレクションによってASCが重要な恒星と出会う時期についても、その恒星だけを単独で判断するのではなく、その時期を支配するタームや前後に現れるディレクションとの関連を確認しながら読み解きます。
人生の重要な転換期には、一つだけではなく、いくつかの象徴が近い時期に重なって現れることがあります。
そのような場合には、それぞれを別々の出来事として解釈するのではなく、一連の人生の流れとして考えていきます。
過去から現在、そしてこれからを一つの流れとして見る
ディレクションの面白さは、未来だけを見るものではないところにあります。
幼少期、学生時代、社会に出た頃、仕事や家庭、人間関係の変化など、これまでの人生を年齢に沿ってたどっていくと、「この頃から人生のテーマが変わっていたのかもしれない」と気づくことがあります。
過去の出来事と星の動きを照らし合わせながら現在までたどり、その延長としてこれからの時期を見ていきます。
未来は最初から一つに決められているものではありません。
同じ星の象徴であっても、その人の環境や選択、生き方によって表れ方は変わります。
ディレクションは「何月何日に何が起こる」と未来を決めつけるためのものではなく、自分が人生のどのあたりを歩いているのかを知るための、一枚の長い地図のようなものだと私は考えています。
出生図だけでは見えにくい「時間」という軸を加えることで、ご自身のこれまでの歩みと、これから向き合っていく人生のテーマを考えるための参考にしていただければと思います。