愚痴も秘密も、オチのない話も。行き場のない話、聞きます。
「これ、誰にも言えないんだけど…」
から始まる話が、わりと好きです。
ライターをしているので、人の話を聞く、観察する、構造を理解しようとする癖があります。ただ、何でも「つらかったですね」「あなたは悪くないですよ」と返すタイプではない。もちろん、本当につらい時にはちゃんと聞きます。
でも私は、人の話を聞いていると別のところまで気になってしまう。
「その人のこと大嫌いって言うわりに、ずいぶん細かいところまで見てるね」
「それ、当時は地獄だったと思うけど、今こうして聞くと登場人物が全員ちょっと変じゃない?」
どうにも、人間の妙なところが気になる。立派な成功談より「なんでそんなことしたの?」と聞きたくなる話のほうが、つい身を乗り出してしまう。
だから、恋人の愚痴
職場の人への悪口
友達には言えない嫉妬
昔の恨み
性の悩み
誰にも言っていない秘密
自分でも説明できないモヤモヤ
今さら話すほどではない昔話
今日あったものすごくしょうもない出来事
何でも持ってきてください。
逆に、かなり切羽詰まった話でも大丈夫。
「あと30分で返事しないといけない」
「今から恋人に会う。何を言えばいい?」
「このLINE、送る前に誰かに見てほしい」
「今日中に決めなきゃいけないのに、頭が散らかっている」
そんな時に「まずはご自身の心とゆっくり向き合ってみましょう」と言われても、時間がない。そんな時は、今ある情報を机の上に全部ぶちまけるように話してください。何が起きた。どうしたい。何が嫌だ。何が怖い。何時までに決める必要がある。一緒に並べます。私が決めることはできないけれど、考える材料を整理することはできる。
反対に、結論なんかいらない日もある。
「今日はただ悪口を言いたい」
聞きます。
途中で「それは腹立つわ」「でも、そこだけは相手の言ってることも分かる」くらいは言うかもしれない。
私は相談者の味方にはなるけれど、相談者の発言すべてに賛成する係ではない。そこは少し違う。
ただ聞いてほしい、意見がほしい、一緒に考えてほしい。そのへんは最初に言ってもらえれば合わせます。
そして、私は「前向きになりましょう」教の信者ではありません。
人間、前を向きたくない日もある。腹の立つ奴について30分しゃべって「やっぱり嫌いだわ」という結論に戻ってくることもある。
30分かけてスタート地点に戻った。
それはそれでいい。
頭の中だけで同じことを200周しているより、誰かに話して一周して帰ってきたほうが多少マシかもしれない。
「こんなしょうもない話、金払ってすることか?」
と思うような話を持ってこられると、全力で向き合います。
しょうもないかどうかは、聞いてから決めます。
秘密は守ります。立派な人生訓は持っていません。人生を変えるとも、幸せにするとも言いません。
ただ、
「ちょっと聞いてよ」と言われたら、
「はいはい、なんでしょう?」と返せる人ではあります。
そこから先は、話してみましょう。