ダークファンタジー小説『王宮城下町の殺人鬼』 1
王宮の城下町は、夜景が美しい。
天を見ると、星空が広がっている。
城下町には殺人鬼が出るという話がある。
街の警備団達は、殺人鬼を捕まえるのを躍起になっていた。
何でも、死体は切り分けられた後、天井から吊るされている。死体が晒されている場所は、倉庫や下水、肉屋といった場所だった。
極めて、異常性のある行動だ。
騎士団の若手として、ロノウェはこの犯罪者の討伐を命令された。
「って言っても、俺一人で出来るんだろうか」
目撃情報によると、殺人鬼は透き通るような金髪の髪を腰元まで伸ばしており、女物のビスチェとドレスを付けている男性。美しい顔立ちだが、明らかな性的異常者。倒錯者。邪悪で禍々しいオーラを放っていたと聞く。更に特徴的なのは、両手に血の付いた長めのナイフを手にしていたらしい。それで人間を解体しているのだろうか。
ロノウェは酒場にて、人を探していた。
何やら、痕跡から人を探し出す事が出来る者らしい。
酒場に来て、彼はそれらしい人物を探した。
「もしもし、灰色の髪のお姉さん。あ、お兄さんかな?」
ロノウェは声を掛けられる。
なんだか、陰気な男が酒場の奥のテーブルの席に座っていた。
「俺は犬よりも強い嗅覚を持っている。俺が付いていく。街を騒がしている殺人鬼を探し回っているんだろう?」
「ああ。警備も騎士の仕事だからな」
「ははっ。ちなみに俺は元々は夜盗みたいなもんだ。牢屋に入っていた事もある。恩情で出されて、警備の下っ端をさせられているがな」
「そうか。せいぜい、王宮の為に働いてくれよ」
二人は酒場の外に出ると、純白の肌をした少女が佇んでいた。
彼女の名はセーレ。
女王陛下アンジェル
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