「やがて闇から現れてきた長い貨物列車が二人の姿を隠した。」日本大学芸術学部文芸学科 一般入試A方式2013年第1期
(1)問題
「やがて闇から現れてきた長い貨物列車が二人の姿を隠した。」が最後の言葉になるように作文しなさい。800文字以内
(2)考え方
これも小説を書く。
「やがて闇から現れてきた長い貨物列車が二人の姿を隠した。」というムーディーな終わり方なので、ドラマチックを意識して書く。
今回はオーソドックスに男女の別れのシーンを書いたが、どこから始めてどこで終わるのか。
シーンの切り取りが重要。
起承転結をつけて、別れのシーンのすべてを書くのは難しい。
ありきたりになるし、完結しすぎてつまらない。また、800字で完結させることもできない。
長い映画の一部を切り取るという感覚で書くとよい。
今回の解答例はストーリーをつけたが、あえて込み入ったストーリーを創らずに、純粋に情景描写だけに徹底する方法もある。
これはプロの技で、以前、予備校で教えていた生徒はこれが上手かった。
彼は当然日本大学芸術学部文芸学科に合格した。(3)解答例
浮気や借金。明確な理由があればいい。あるいは――彼はすっかり変わってしまった、付き合った頃はあんなに優しかったのに、今では私に暴力をふるう――。私たちの場合はそのどれも当てはまらない。あなたは変わらず優しいし、喧嘩もしたことがない。いつだって私に対して誠実で嘘をついたこともない。 目を上げると、イチョウの木が覆いかぶさるように立っている。色づいた葉がゆっくりと身を躍らせている。
変わってしまったのは私のほうだ。彼は何も変わらない。会うたびにあどけなさが残る笑顔で接してくれる。その変わらないことが私に物足りなさを感じさせる。人は時とともに成長してゆく。私は転職し
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