「AIが労働市場や経済に与える破壊的影響」福岡女子大学国際文理国際教養2023年
(1)問題
問題 次の文章を読み,以下の問一と問二に答えなさい。
① AI社会では,ホワイトカラーが分断されるだけではなく,企業が洵汰される危険も大きいと想像できます。
② (中略)基本的には,AIはあらかじめ設定された枠組み(フレーム)の中で,人間が与えた正解(教師データに基づいて分類問題や検索問題を解くことと,人間が設定した基準に沿って膨大な数の試行錯誤をシミュレーションなどで行い,強化学習を経て最適化をすることしかできません。例外的に,教師データを用いない「教師なし機械学習」の試みがあります。コストなどの理由,あるいは人間も正解が何かわからないような場合,とりあえず手持ちのデータを機械学習にかけて,大雑把に分類(クラスタリング)したら何かがわかるかもしれない,というときによく使われます。けれども,それではさすがに製造物責任は負えません。
③ 現在の技術の延長線上にある近未来AIには人間の常識はわからないし,文章の意味もわからないし,人の気持ちもわかりません。表情や声のトーンのデータに「喜怒哀楽」のラベルをつけ,それを教師データとして用いることで,喜怒哀楽に分類することくらいはできるようになるかもしれませんが,それが限界です。ですから,AIがまったく新しいアイデアに基づいて自らベンチャー企業を設立することはできませんし,そのベンチャーが成功するかどうか,貸したお金が返ってくるかどうかの与信審査をすることもできません。担保主義の個人ローンの与信審査はできても,窓口で個別の問い合わせに答え,問題を解決することはできません。MRI画像から動脈瘤があるかどうかを専門家以上の精
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