『芸術的創造は脳のどこから産まれるか?』大黒達也 著
神経科学、脳科学から、創造性を考察した本。
著者の大黒達也さんは、医学博士。英国オックスフォード大学、マックスプランク研究所(ドイツ)などを経て、現在、英国ケンブリッジ大学にて勤務。専門は音楽の神経科学。8歳から独学で作曲を学び、ピアノ・ソナタ、オーケストラ、室内楽、即興曲、ジャズ、コンピュータ音楽等あらゆるジャンルの曲を制作。
無敵か。。!みたいな肩書ですが、音楽の創造性がどこから生まれるか知りたいというきっかけで、神経科学を研究されたようです。
本書でテーマとなる創造的な芸術とは、従来の価値観とは少し違う要素を取り入れたものとされています。
この創造性的な芸術を作り出すには、新しい発想を無数にかつ自由に広げ生み出す"拡散的思考"と、誰かに伝えるためのある程度基礎を構築する"収束的思考"のバランスが重要とのこと。
300本以上の論文をかいつまんでまとめた本ですので、一つ一つは少し物足りない感じもしますが、音楽における創造性、言語習得、学習への内発的、外発的な動機付けの意味、子供への適切な創造性をはぐくむ教育、まで多岐にわたっています。
個人的には内、外発的動機付けと創造性という視点が面白かったです。
内発的動機付けは報酬が不明確であるため、試行錯誤を続けることを主とするが、外発的動機付けは報酬が明確であるため、外発的動機付けのみで報酬を得られるようになると、ミスをしないような方法に固執してしまう。
具体的に言うと、お金や名誉のために仕事をしていると、課題解決の効率は上がるが、創造性は欠如する。一方で、知識の探求や独自のストーリーの構築など、好奇心を満足させるよう
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