休眠担保権の抹消
不動産の登記記録に、大正や昭和初期に設定された古い抵当権が残っていることがあります。休眠担保権と呼ばれるもので、実体上は消滅していても抹消登記がなされずに放置されていたため、登記記録に残ってしまっているものです。
このような抵当権がついていると、不動産を売却したり融資を受けることが困難になってしまいます。
先日、この休眠担保権の抹消の相談を受けました。依頼人の方が相続した土地に自宅を新築しようとしたところ、登記簿にまったく覚えのない古い抵当権がついていて、融資も受けられず困っている、というお話でした。
昭和初期に設定されているもので、記録されている抵当権者の名前にも心当たりがありません。年代から考えて、おそらく抵当権者にも数次の相続が発生していると考えられます。
まず、登記記録にある抵当権者の所在や相続人が誰かがわかっている場合は、原則どおり、抵当権者(の相続人)と抵当権設定者(不動産の所有者)とが共同で抹消登記を申請します。
共同で、ということは、相続人の方々の協力が必要ということです。相続人の協力が得られない場合は、時効を援用して裁判で抹消登記を求めるなど別の方法を検討しないといけません。
問題はそもそも抵当権者の所在が不明な場合です。登記記録が古ければ古いほど、抵当権者をさがすのが困難になります。
このような場合には「供託」という方法があります。
債権の元本や利息、損害金の全額を法務局などにある供託所に供託することで、弁済と同じ効果を得るものです。供託したことの証明(供託書正本)を添付して、不動産所有者が単独で抹消登記を申請できます。
この供託による抵当権抹消は簡単な方法
0