コントロールが悪い小学生投手の原因と練習法

コントロールが悪い小学生投手の原因と練習法

記事
学び
コントロールが悪い、と言う前に

四球がふたつ続くと、ベンチから「集めろ」と声が飛びます。家に帰れば、キャッチボールの量を増やそうと考えるかもしれません。けれど子どもは、次の一球でさらに肩に力を入れてしまいます。

その力みは、怠けているからではありません。打たれたくないという気持ちの表れです。投手一筋で二十一年、今もマウンドに立つ私にも、身に覚えのある力みです。

散る理由は、気合いだけではありません

小学生の球が散るとき、年上の投手に比べてはっきり表れるのが、腕の通り道が一球ごとにずれていることです。
東京大学のグループが、小学生二十五人を含む投手の球の着地点を楕円にまとめて比べたところ、ボールを離すタイミングのずれにあたる広がりは、年齢が上がってもあまり変わりませんでした。年齢によって違いが出たのは、フォームのずれにあたる広がりのほうです。しかも小学生では、その幅が腕の軌道の角度のぶれと強く結びついていました。

一球ごとの動きのずれも、年齢の低い投手ほど大きいという測定があります。足の着く位置、膝の曲がり、腰の回る速さ、肘の曲がり、肩のひねり、そして上体の前への倒れ方。レベルの高い投手ほど、こうしたずれは小さくなっていきます。ただし、タイミングのずれまでが、レベルが上がるだけで同じように小さくなるわけではありません。

プロの投手でさえ、球の九割が収まる範囲は、捕手のミットを中心におおむね縦五十センチ、横三十センチほどです。中学生になると、その範囲はさらに広がります。小学生にミットの真ん中ばかりを求めるのは、まだ早いのです。

先に見るのは、着地と腕の通り道です

初めて投手を任されたころから十三歳くらいまでの間に、目に見えて伸びていくのは、歩幅、前足の着き方、そして腰と胸のひねりの差です。肩や肘にかかる力が大きく増えてくるのは、そのあとの十三歳から十五歳ごろです。
ですから、いま直したいのはリリースの瞬間の手首ではありません。足が着くまでの体の運び方です。

家で動画を撮るなら、見るところは二つで十分です。
ひとつは前から。踏み出した足が、本塁へ向かう線から大きく開いたり、閉じたりしていないか。
もうひとつは横から。腕が毎球同じ斜めの線を通っているか。そして足が着いたあと、膝がさらに沈み込んでいないか。

一般の小学生に五メートル先へ投げてもらった調査では、男子の歩幅は低学年で身長の約四割、高学年では約六割まで伸びていました。ボールを離す位置も、学年が上がるにつれて前へ出ています。リリースに向かって膝がさらに曲がる投げ方は、男子の高学年では約五パーセントにまで減っていました。
高学年になっても膝が沈む、あるいは歩幅が毎球変わるという子は、ボールを離す位置がそろいにくい状態にあります。これはマウンドでの投球そのものの数字ではありませんが、投げる土台が学年とともにまだ育っている途中だという、ひとつの目安になります。

高めに抜ける球と、前で押し込みすぎて低くなる球とでは、原因が同じとは限りません。何球か見てから、かける言葉をひとつに絞ってあげてください。

練習は、球数を足す前にひとつです

同じ的を、同じ強さで狙います。全力で投げる日とは分けて考えます。その日の終わりに、入った数をひとつだけ数えておきます。

フォーム修正は、一回の練習でひとつだけにします。最初の週は、前足を本塁の方向へ着くこと。着き方がそろってきたら、次の週は、体が前に乗ってからボールを体の前で離すこと。手首も肘もフォロースルーも同じ日に詰め込むと、子どもは全部を力で直そうとしてしまいます。

タオルを使った素振りだけでは、ボールを離す位置が実際の投球より前、横、下へとずれやすいことが、高校生を対象にした測定でわかっています。一方で、手が通る場所に目印を置くと、そのずれは小さくなりました。素振りのあとは、短い距離で実際にボールを投げ、目印の位置と本当の離し方を重ね合わせていきましょう。

新しい変化球を覚える週に、全力の球数まで増やす必要はありません。コントロールの練習は、投げ込みの量を積み上げるための時間ではないのです。

痛みがある、肘の曲げ伸ばしに左右で差がある、投げ方が急に変わった。そんなときは、練習よりも先に整形外科を受診してください。野球肘が出やすいのは、十一歳から十二歳ごろです。どのくらい休むかは、お医者さんと相談して決めれば大丈夫です。なお、この文章は診断の代わりになるものではありません。

※痛みがあるときは、整形外科を受診してください。日常の目安として、日本臨床スポーツ医学会の提言では、小学生の全力投球は一日五十球、一週間で二百球までとされています。大会での上限については、所属チームの規定をご確認ください。

サービス数100万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す