介護福祉士の長田幸次郎です。神戸で小規模な住宅型有料老人ホームを経営しています。
親を施設に入れたあと、面会に行くと「家に帰りたい」と言われる。家族にとって、これほどつらい言葉はないと思います。「やっぱり施設に入れたのは間違いだったのか」と、自分を責めてしまう方も少なくありません。
施設の中で多くのご家族を見てきた立場から、お伝えしたいことがあります。
最初は、よくあること
新しい環境に慣れるまで、「家に帰りたい」と言う方は珍しくありません。長く暮らした家を離れて、知らない人たちの中で生活を始めるのですから、当然のことです。
そして、時間がたつにつれて、少しずつなじんでいく方が多いのも事実です。最初の言葉だけで、「この施設は合わない」と決めつけないでください。
「帰りたい」は「寂しい」のサイン
「家に帰りたい」という言葉の奥には、多くの場合、寂しさや不安があります。本当に家に戻りたいというより、「ここにはまだ安心できる場所がない」という気持ちの表れです。
だからこそ、言葉そのものに答えようとするより、その気持ちを受け止めることが大切です。
家族にできること
・否定しない
「もう帰れないよ」ではなく、「そう思うよね」と、まず気持ちを受け止めてください。
・なじみの物を置く
写真、使い慣れた湯のみ、ひざ掛け。見慣れた物があるだけで、部屋が「自分の場所」になっていきます。
・家での習慣を職員に伝える
朝起きる時間、好きな飲み物、寝る前の習慣。職員が知っていると、家と同じように過ごせることが増えます。
・施設と様子を共有する
面会のとき以外の様子を、職員に聞いてみてください。家族の前では「帰りたい」と言っていても、ふだんは穏やかに過ごしていることもあります。
家族と施設は、一緒に支える関係
施設に入れたら終わり、ではありません。家族と施設が一緒に支えることで、親は少しずつ新しい暮らしになじんでいきます。
「帰りたい」と言われてつらいときは、ひとりで抱え込まず、職員に相談してください。それも、家族にできる大切な関わり方です。
ご相談について
親の施設選びや、入居したあとの悩みについて、ご家族の状況に合わせてお答えしています。
これから施設を探す方には、見学の日にそのまま使えるチェックリストもあります。