「姿勢が良いね」と言われる人ほど要注意?腰痛や肩こりを招く【平背(フラットバック)】の落とし穴

「姿勢が良いね」と言われる人ほど要注意?腰痛や肩こりを招く【平背(フラットバック)】の落とし穴

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こんにちは。整形外科分野で勤務している、現役の理学療法士です。

前回の記事でもお伝えしましたが、私は日々リハビリに携わる中で「一度大きく体を痛めてしまうと、完全に元の状態へ戻すのは本当に難しい」と痛感しています。だからこそ、本格的な痛みに悩まされる前に、正しい「予防」を一人でも多くの方に届けたいという想いで発信をしています。

さて、突然ですが皆さんは、周りから「背筋がピシッと伸びていて姿勢が良いね」と褒められたことはありませんか?

それにもかかわらず、
「なぜか夕方になると腰が重だるい」
「常に首や背中に板が入っているように張っている」
と感じているとしたら、注意が必要です。

もしかするとその背骨は、良い姿勢ではなく「フラットバック(平背:へいはい)」という状態になっているかもしれません。

■ 一見「美姿勢」に見える「平背(フラットバック)」とは?
フラットバック姿勢.jpg

人間の背骨は、本来定規のように真っ直ぐではありません。横から見ると、首(前にカーブ)・胸(後ろにカーブ)・腰(前にカーブ)という緩やかな「S字カーブ」を描いています。

「平背(フラットバック)」とは、この本来あるはずのS字カーブが失われ、背骨全体が板のようにまっすぐ平らになってしまっている状態を指します。

壁に背中をつけて立ったときに腰の後ろに手のひらが入る隙間が全くない方や、背筋をピンと伸ばすのが癖になっている方に多く見られます。見た目には「背筋が伸びた綺麗な姿勢」に見えるため、まさか体に負担がかかっているとは気づきにくいのがこの姿勢の大きな落とし穴です。

■ なぜ背骨がまっすぐだと、首や腰が痛むのか?

では、なぜ背筋が伸びているのに痛みや重だるさが出てしまうのでしょうか。
その理由は、背骨が持っている「サスペンション機能(衝撃吸収のバネ)」が働かなくなってしまうからです。

車をイメージしてみてください。
車には地面の凸凹からの衝撃を吸収するためのバネ(サスペンション)がついています。もしこのバネを「金属の硬い棒」に変えてしまったらどうなるでしょうか?
わずかな段差を走るだけでも、衝撃が逃げずに車体全体へダイレクトに響き、ネジや部品があっという間に傷んでしまいますよね。
サスペーション機能 車例え.jpg


人間の背骨のS字カーブも、まったく同じ役割を果たしています。
歩くときの着地衝撃や重力を、しなやかにバネのようにたわむことで分散させています。

しかし、平背になって背骨がまっすぐ固まると、衝撃を逃すクッションが働きません。その結果、頭の重みや歩くたびの振動が、背骨のクッション(椎間板)や首・腰の関節に「逃げ場のない負荷」として直接ぶつかり続けてしまうのです。

さらに、背中だけの問題にとどまらず、骨盤が後ろに傾いて太もも裏やお腹の筋肉が硬くなったり、バランスを取るために頭が前に突き出て「ストレートネック」を併発するなど、体全体で負の連鎖が起きやすくなります。

■ 【注意】ネットのストレッチを「自己流」でやってはいけない理由

「背骨がまっすぐなら、腰を反らして胸を張ればいいのでは?」と思うかもしれません。
ですが、ネットで見かけたストレッチを見よう見まねで無理に行うのは避けてください。

一口に平背と言っても、
・骨盤がどのくらい傾いているのか
・太ももの裏が硬いのか、背中の関節自体の動きが固まっているのか
・お腹やお尻の筋力がどう働いているのか
その原因やお体の状態は、一人ひとり全く異なります。

自分の骨格に合っていない動きを無理に行うと、まっすぐ固まった背骨の関節同士が強くぶつかり合い、かえって腰を痛めたり炎症を起こしてしまうリスクがあります。

■ 今日からできる「予防」の第一歩

平背のような姿勢の崩れに対して、まず大切なのは無理なセルフケアを始めることではありません。

「背筋を無理に伸ばそうとしすぎない」こと
「良い姿勢でいなきゃ」と無理に力を入れて胸を張ったり背中を固めたりすると、かえって背骨のしなやかさを奪ってしまいます。まずは脱力し、自然な呼吸ができる位置を意識してみてください。

自分の体の「現在地」を客観的に知ること
家を建てる前に地盤を調べるのと同じで、体も「今、自分の骨格や重心がどう崩れているのか」を正確に把握することが安全な予防のスタートラインです。

■ おわりに

今回は「平背(フラットバック)」について解説しましたが
人の姿勢には他にも、現代人に非常に多い
「スウェイバック(骨盤が前にスライドした姿勢)」
「カイホ・ロードシス(猫背+反り腰)」など様々なタイプがあり、いくつかの特徴が複合していることも珍しくありません。 

 (※次回は、長時間のデスクワークで急増している**【スウェイバック姿勢】**について詳しく解説する予定です)

「姿勢を褒められるのに、なぜか腰や首が重だるい」
「自分の背骨が平背になっていないか、一度プロの目で確かめてほしい」

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