現場を知る者が、書類を仕上げる。匠図書を始めたわけ

現場を知る者が、書類を仕上げる。匠図書を始めたわけ

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コラム
建設業に携わって、30年になります。その多くを現場代理人として過ごし、工事を動かしながら、施工計画書や積算、安全書類を自分の手で作り続けてきました。
その私が、これから「書類を作る仕事」を始めます。現場の外から、現場の書類を支える仕事です。屋号は「匠図書(たくみとしょ)」と名付けました。このコラムでは、なぜこの仕事を始めようと思ったのかを、お話しさせてください。
書類に追われる技術者
現場の仕事は、施工だけではありません。着工の前には設計照査と施工計画書があります。工事が始まれば、新規入場者教育、毎月の災害防止協議会、安全訓練の資料が続きます。そこに出来形と品質の管理資料が加わります。
施工計画書は、発注者に出して一度で受理されることは多くありません。追記と修正を何度も重ねて、ようやく受理されます。月末には請求書を取りまとめ、実行予算と見比べて、今この工事がどうなっているかを確かめる作業もあります。どれも大切な仕事ですが、現場が一番忙しい時期と重なります。
結果として、技術者は昼は現場に立ち、夕方から現場事務所で書類に向かいます。私自身も、そうした毎日を送ってきました。本来は現場の安全や品質に使うべき時間が、書類に削られていく。そのもどかしさが、この仕事を考えるきっかけになりました。
人を雇うより、書類を頼む
書類の負担を減らすために、派遣社員に現場事務所で書類を作ってもらう方法もあります。ただ、毎月まとまった給与がかかります。それ以上に、人手不足の今は、建設の書類に強い人を派遣で確保すること自体が難しくなっています。
かといって、貴重な技術者に書類を任せ続ければ、現場の管理が手薄になります。そこで考えたのが、必要なときに、必要な書類だけを外に頼むという方法です。仕事が少ない月にも給与を払う必要はありませんし、現場事務所に席を用意する必要もありません。
ただし、頼む相手が現場を知らなければ、結局は現場の技術者が直すことになります。現場の流れと発注者が見るところを知っている人間が作ること。それが、匠図書が一番大切にしたいところです。施工計画書は、受理されるまでお客さまと並走します。
「匠図書」という名前
「図書」は、設計図書や工事図書の「図書」です。建設の現場では、図面と書類を合わせたものをこう呼びます。
「匠」には、二つの意味を込めました。一つは、一枚一枚の書類を職人のように丁寧に仕上げるという姿勢です。もう一つは、30年のあいだに出会った各業種の「匠」たちです。
土木だけでなく、建築、電気、水道など、それぞれの道で経験を重ねてきた方々とのつながりがあります。その方々の頭の中には、教科書には書かれていない経験と実績が蓄えられています。自分の専門外の工種でも、こうした匠たちに意見を聞きながら仕上げる。匠図書という名前には、そういう書類を届けたいという思いを込めています。

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