「チーターは時速100km近く出るから最強」。動物の比較動画はたいてい最高速度だけで順位を決めます。でも、5kmやマラソンになったら? 全力で走り続けられる動物はいません。
そこで、10種の動物が「その距離をいちばん速く走り切るペース配分」で競走したらどうなるかを計算して、アニメーションで見せる道具を作りました。ブラウザで動く、自分用のシミュレーターです。
100mと5kmで、順位がまるで違う
結果(計算の中央値)はこうなりました。
・100m:チーター5.2秒、ダチョウ6.7秒、オオカミ7.0秒
・5km:カモ5.3分、ダチョウ5.9分、馬10.3分……チーターは27.7分で人間(32.6分)とほぼ同じ
チーターが1位なのは400mまで。30秒・1kmになるとダチョウが逆転します。チーターの全力は約500mが限界で、そのあとは長く休む必要があるためです。
難しかったのが「最適」の落とし穴
いちばん面白かったのは、計算が「最も効率がいい」と出した走り方が、ことごとく変だったことです。
・馬が「全力疾走と休憩を1日中くり返す」のが最適になった
・人間が5kmで「全力→小走り→全力」を数秒おきに切り替えた
どれも式の上では正しく、前提のほうが現実とずれていました。たとえば、使った研究の式では「距離あたりの消費エネルギーは速いほど少ない」ことになり、全力疾走が一番お得になってしまいます。そこで「全力で使った分は、あとで余分に返す(息が上がる)」という仮定を足しました。小走りの最中でも瞬発力が回復する設定も、休憩中だけ回復するように直しています。
「オオカミと人間がほぼ同じなのはおかしくない?」という違和感も、調べると原因がありました。オオカミの持久力を「ふだんの移動速度」から推定していたのです。ふだんの速さは省エネの速さで、能力の上限ではありません。犬の有酸素能力が人の2〜3倍という研究に置き換えると、5kmでオオカミ18分・人間33分と差が出ました。
数字には「どこまで確か」を付ける
動物の持久力は、ほとんど測られていません。そこで、データがない値は法則で推定し、「その法則で既知の動物を1つずつ当てたら何%ずれるか」を画面に出しています。結果の幅(80%)が重なる組み合わせは「接戦」と表示し、順位を言い切りません。ざっくりの精度は、短距離で±10〜20%、1日単位では±50%〜2倍と見ています。
なお、計算もアニメーションも、Claude Codeに作ってもらいました。
AIに計算させたら「なぜそうなる?」を聞く
このツールは非公開ですが、学んだことはAIで試算やシミュレーションをするときにそのまま使えます。結果が「最適」と出ても、まず「現実にそんな動き方をする?」と自分の感覚で疑う。おかしければ「なぜそうなる?」とAIに聞く。今回は、指摘した違和感のほとんどが、計算ではなく前提の誤りから来ていました。数字が細かく出るほど、正しそうに見えてしまうのが落とし穴です。
こうした「条件を変えて試せる計算ツール」を、用途に合わせて作ることもできます。