「研究計画書を書き上げたけれど、これで通るのか分からない」
「面接で何を突っ込まれるのか、見当がつかない」
働きながらMBAや社会人大学院を目指していると、書いた計画書を見てもらえる人が身近にいないことが多いと思います。
私も会社員として働きながらビジネススクールに通い、修士論文を書いています。自分の計画を見直す中で、仮説で使った言葉と、実際に調べるものがずれていることに気づきました。
文章そのものは読みやすくても、計画の中に「ずれ」があると、面接では最初にそこを聞かれやすくなります。この記事では、研究計画書によく出る3つのずれと、出願前に自分で見つけるための問いをまとめました。
※例として出す計画書は、説明のために作った架空のものです。
ずれ1 問いと、題名・仮説がずれている
よくあるのが、1つの計画書に問いが2つ入っている形です。
たとえば、こんな書き方です。
「本研究では、中途採用者が定着する要因は何か、また、どのような施策が定着に効果的かを明らかにする。」
一見まとまっていますが、「定着の要因を探す」問いと、「施策の効果を確かめる」問いは、必要な調査の組み立てが違います。さらに、題名は「受け入れ部署の支援に着目して」、仮説は「支援が厚いほど定着する」の1本だけ、となっていると、題名・問い・仮説の範囲がそろいません。
読み手は「結局、何が分かれば成功なのか」が分からなくなります。
自分で確かめる問い
・この研究が終わったとき、何が分かっていれば成功ですか? 1文で言えますか?
・題名・問い・仮説は、同じ範囲の話になっていますか?
ずれ2 仮説の言葉と、測るものの言葉がずれている
2つ目は、気づきにくいけれど、面接で突かれやすいずれです。
先ほどの例で、仮説は「支援が厚いほど、定着する」でした。ところが方法を読むと、「在籍している人に、職務満足度を聞く」と書いてあります。
「定着する(辞めずに残る)」と「満足している」は、同じものではありません。さらに、在籍している人だけに聞くと、支援が薄くて辞めた人はデータに入りません。これでは、分析の結果が出ても、仮説に答えたことになりません。
このずれは、書いた本人ほど気づきにくいものです。頭の中では「満足している人は残るだろう」とつながっているからです。私自身も、自分の計画を見直していて、同じ形のずれを見つけました。
自分で確かめる問い
・仮説の中の大事な言葉(例:「定着」「効果」「成果」)は、何を記録すれば確かめられますか?
・その記録は、方法の章に書いてありますか?
・調べる相手から、抜け落ちている人(辞めた人、途中でやめた案件など)はいませんか?
ずれ3 数字どうしがずれている
3つ目は、単純ですが、読み手が最初に気づくずれです。
「20名を採用したが、そのうち9名、約3割が退職した。」
9÷20は45%なので、「約3割」ではありません。ほかにも、背景では「退職者9名」なのに、方法では「退職者10名にインタビュー」となっている、部門ごとの人数に分母が書かれていない、といった形でよく見かけます。
数字の食い違いは、内容の良し悪しより先に、計画書全体の信頼を下げてしまいます。そして、面接で聞かれると答えに詰まりやすい箇所でもあります。
自分で確かめる問い
・割合を書いたところは、何人のうちの何人から計算しましたか? 電卓で確かめましたか?
・同じ人数や金額が、計画書の中で2回以上出てきていませんか? そろっていますか?
3つのずれを、出願前に見つけるために
3つのずれに共通しているのは、「書いた本人には、つながって見えている」ことです。自分の頭の中では説明がついているので、読み返しても気づきにくいのです。
見つけるコツは、計画書を「文章」としてではなく、「問い → 仮説 → 何を記録するか → 誰に聞くか」という線として、1本ずつたどってみることです。線が途中で切れているところ、言葉が入れ替わっているところが、面接で聞かれやすい場所です。
この記事の問いを使って、ぜひ一度、自分の計画書を点検してみてください。
私はココナラで、MBA・社会人大学院の研究計画書を書面で添削しています。この記事で書いたような点検の手順で、直したほうがよい点を優先順に「問題 → なぜ問題か → 直す方向」でお返しし、面接で聞かれそうな質問もお付けします。書き直した文章はお渡ししていません。ご自身の言葉で直した計画書のほうが、面接でも説明しやすくなるからです。