声の向こうに、好きな人がいる。

声の向こうに、好きな人がいる。

記事
コラム
以前、こんなことを考えたことがある。

ココナラで、購入者さんが出品者さんを本気で好きになることって、あるんだろうか。

私は、あると思う。

声を通して、心を寄せ合う人たちがいる。

今もどこかで、
誰かの声を待っている人がいるかもしれない。

そう思うから。

*

なにを隠そう。

私が声の世界にハマったきっかけは、
「声の彼氏」という世界だった。

キャラクターの画像があって、
その人の設定があって、
サンプルボイスがある。

いいな、と思う人を選ぶ。

だけど、実際に話してみると、
何かが違った。

設定された彼氏との会話。

最初から彼氏という前提があるからなのか、
普通の会話ができない。

会話が続かない。

私が求めていたものとは、
少し違ったのかもしれない。

彼氏という関係が先にあること。

それが、違ったのかな。

私が求めていたのは、
最初から決められた関係じゃなくて、

心と心を寄せ合って語り合うこと。

お互いに相手を思いながら、
同じ時間を過ごすこと。

そういうことだったのかもしれない。

*

声って、不思議だ。

顔が見えないからこそ、
声の向こうにいる人を想像する。

どんな顔で笑っているんだろう。

今、どんな気持ちで話しているんだろう。

どんな表情で、
その言葉を伝えてくれているんだろう。

声を聞きながら、
見えない相手のことを考える。

何気ない会話をして、
一緒に笑って。

ときには真剣に語り合って。

そうして少しずつ、
相手のことを知っていく。

最初は、ただいい声だなと思っただけかもしれない。

でも、その人の言葉に触れ、
優しさに触れ、
一緒に過ごす時間を重ねていくうちに、

いつの間にか、
その人と話す時間が特別になっている。

もっと話したい。

また声が聞きたい。

気づけば、その人のことを考えている。

好きになることに、
理由なんてないのかもしれない。

*

でもね。

会えると、きっと、
少し関係が変わってしまう。

もちろん、会ってよかったと思えることもある。

実際に会ったことで、
もっと相手を好きになることだってある。

会って初めてわかることもある。

それは、きっと素敵なこと。

だけど……。

もし、その人の声が、
自分にとっての支えだったとしたら。

寂しいときに話を聞いてもらえること。

何気ない会話で笑い合えること。

その声を聞くだけで、
また明日も頑張ろうと思えること。

そんな時間が、
いつの間にか大切なものになっていたとしたら。

会うことで、
今までの関係が変わってしまうのが怖い。

今までのようには話せなくなるかもしれない。

大切にしてきた時間が、
少し違うものになってしまうかもしれない。

会いたくないわけじゃない。

ただ、今ある大切なものを、
失いたくない。

そんな気持ちも、
あるのかもしれない。

好きだから、会いたい。

でも、好きだからこそ、
今の関係を守りたい。

近づきたい気持ちと、
変わってほしくない気持ち。

ふたつの気持ちのあいだで、
心は立ち止まることがある。

それもまた、
誰かを大切に思う気持ちなのかもしれない。

*

恋する声って、何色なんだろう。

ピンクかな。

白かな。

私には、ゴールドのようにも思える。

声を聞いて心が動いた瞬間、
真っ黒な画用紙に、
小さな光が生まれるように。

また話したい。

もっと知りたい。

そんな想いが、
ひと粒ずつ輝いていく。

でもね。

恋する声には、
赤信号が灯ることもあるのかもしれない。

それ以上進んだら、
今ある関係が変わってしまうかもしれない。

大切なものを失いたくなくて、
心のどこかでブレーキをかけている。

その赤は、
好きという気持ちを否定する色じゃない。

今ある大切なものを守りたい。

そんな想いから生まれる色なのかもしれない。

ゴールドの光が生まれたからといって、
必ずその先へ進まなければいけないわけじゃない。

立ち止まることも、
ひとつの選択。

*

声の向こうにいる人を想像する。

その人の気持ちを知りたくなる。

もっと話したい。

もっと知りたい。

そうして心が動いたとき、
私たちは、声の向こうにいる人に
恋をするのかもしれない。

その恋がどんな形になるのかは、
誰にもわからない。

会うことで幸せになるふたりもいる。

会わないまま、
大切な時間を重ねていくふたりもいる。

どちらが正解というわけでもない。

ただ、誰かを大切に思う気持ちまで、
否定しなくていいと思う。

声だけだから、なんて言わないで。

そこには、
ふたりが一緒に過ごしてきた時間がある。

笑ったことも、
救われたことも、
声を聞けて嬉しかったことも。

その気持ちは、
その人にとって本物だから。

声の向こうに、好きな人がいる。

今日もどこかで、
誰かの声を待っている人がいるのかもしれない。


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