求人サイト「Lumio(ルミオ)」で応募があり、一気に希望が見えた俺だったが、採用の道は甘くなかった。
面接当日の朝。
少しでも会社の印象を良くしようと、朝早くから事務所の掃除をして、年季の入った応接用のパイプ椅子を念入りに拭き上げて応募者を迎えた。
しかし、面接が始まって10分も経たないうちに、お互いの間に妙な空気が流れていることに気づいた。
応募者の方は綺麗なオフィス環境をイメージしていたらしく、油と機械の匂いが漂ううちのプレハブ事務所に入った瞬間、あきらかに引いている様子だったのだ。
うちが求めているのは、パソコン入力だけでなく、現場の職人に「社長、この書類どこにありますか?」と聞かれたときに明るく対応できるような、少し泥臭い事務スタッフだった。
結局、条件や環境のミスマッチということで、辞退される形で不採用となった。
「せっかくルミオの求人で応募があったのに、うちみたいな小さな町工場じゃ誰も定着しないのかな……」
その日の夜、完全に気力を失って帰宅すると、高校生の娘に「パパ顔色わるっ!またホームセンターで欲しい工具が売り切れてたの?」とからかわれた。
「バカ言え、仕事のことだ」と強がってみせたものの、心の中は「また振り出しに戻った」という疲労感でいっぱいだった。
だが、ここで止まるわけにはいかない。
求人サイト「Lumio(ルミオ)」の担当者からのアドバイスを参考に、「最新のオフィスではありませんが、残業はほぼ無くアットホームな職場です」と、自社のありのままの姿を伝える表現に求人票を修正してみることにした。
等身大の自社にマッチする1人と出会うための、泥臭い試行錯誤が始まった。