「自分で選ぶ」ってどういうことなんだろう。
私は昔から、自分で物事を選んできたように思います。
でも、今振り返ると、必ずしも「自分がどうしたいか」を基準に選んでいた訳ではありませんでした。
私が考えていたのは、
「どうすればこの状況が良くなるんだろう」
ということでした。
自分が何をしたいのかよりも、周りの状況を見て、どうすれば少しでも良い方向に持っていけるのか考える。
それが、私にとっては当たり前になっていたのだと思います。
でも、それだけ考えて選んでも状況が良くなるとは限りませんでした。
むしろ、選んだ方向に進んだことで状況が悪くなったり、途中で方向転換したことで、さらに悪くなったりすることもありました。
「じゃあ、どうしたらいいんだろう」
そう思っても、何を基準に選べばいいのか分からない。
そんな時期を経て、家族のことが大嫌いになったこともありました。
距離を置いた時期もあります。
だからといって、「自分の人生を自分で選べるようになった」わけではありませんでした。
むしろ、そこからもたくさん迷いました。
ただ、少しずつ、
「状況を良くするためにはどうするか」だけではなく、「私は本当はどうしたいんだろう」と考えることを意識するようになったのだと思います。
そして私はその後、若者の相談員として働くようになりました。
不思議なことに、相談員として若者と関わる中で、私はいつも「その子自身が考えて、自分で選ぶこと」を大切にしていました。
相談を受けた時、もちろん「こうした方がいいんじゃない?」と思うことはありました。
でも、それをそのまま「答え」として渡すことには、ずっと違和感がありました。
その子がまだ未熟でも。
私から見ると遠回りに思える選択肢でも。
しっぱいするかもしれないと思っても。
自分で考えて、自分で選んだ経験そのものが、その人にとって大切なんじゃないか。
そんな風に考えて、できるだけ本人の言葉で聞きながら、一緒に考えることを大切にしていました。
でも、当時の私は、なぜそれを大切にしているのかうまく説明することができませんでした。
ただ、なんとなく。
「それが、この人にとって大事なんだろうな」
思っていたんです。
今になって自分のこれまでを振り返ると、その「なんとなく」の中には、私自身が経験してきたことや、そこで感じてきたことがたくさん詰まっていたのだと思います。
私自身が「私はどうしたい?」よりも「どうすれば状況が良くなる?」を考えて生きてきたからこそ、誰かの人生に簡単に「こうした方がいい」答えを置くことを避けたかったのかもしれません。
その人が、自分自身の答えを見つけていく時間を大切にしたかった。
当時は言葉に出来なかったけれど、あの頃の「なんとなく」は間違っていなかった。
今は、そう心から思っています。