製造業の現場では、今でも「紙の図面に手書きで計算」という作業が意外と残っています。今回は、実際に自分が関わった原価計算業務を自動化して、作業時間を半分以下に減らせた話を書いてみます。
【もともとの作業はこんな感じでした】
この作業、毎朝欠かさずやっていました。前日までに工程が完了した図面がその都度たまっていくので、朝は他の仕事に手をつける前に、まずこの図面の処理から1日が始まります。休みの日を除けば、ほぼ毎日必ず発生する作業でした。
図面1枚ごとに、機械の稼働時間と材料費を手計算し、電卓片手に金額を図面へ手書きで記入していきます。仮に前日分が10枚あれば、10枚すべてに同じ作業を繰り返すことになります。
さらに、10枚書き終えたところで終わりではありません。今度はその1日分をまとめて、機械稼働時間をベースに利益時間を再計算し、1日の合計を出してからExcelへ転記する、という二段構えの作業になっていました。ここまで終えて、ようやくその日の本来の業務に取りかかれる、という状態です。
つまり、
・図面1枚ごとに手計算・手書き
・1日分をまとめて再計算
・その結果をExcelへ転記
という、同じような計算を形を変えて2回行っている状態です。当然、転記ミスや計算ミスも起きやすく、担当者にしかやり方がわからない「属人化」も進みやすい状態でした。
【自動化でやったこと】
まず、コストの計算式をアプリ化しました。機械の稼働時間と材料の情報を入力するだけで、原価計算を自動で行う仕組みです。これで「電卓で計算して手書き」という工程がなくなりました。
計算が終わったら、ボタンひとつで結果をExcelに履歴として保存できるようにしています。ここまでで、図面1枚あたりの作業はかなりシンプルになりました。
続いて、保存されたExcelから集計用のExcelへの転記も自動化しました。ここはPower Automateを使い、保存が完了したタイミングで自動的に集計用のExcelへ転記される仕組みにしています。
【あえて手作業のまま残した部分】
ここまで自動化すると、最後の集計まで全自動にしたくなるところですが、1日分の合計を出す最終工程だけは、あえて手作業(SUM関数での計算)を残しています。
理由は、全部を自動化してしまうと、入力ミスやデータのダブりがあってもそのまま素通りしてしまうためです。最後に人の目でひと呼吸置くことで、その場でおかしな数字に気づいて修正できるようにしています。自動化は「手間を減らすこと」が目的であって、「人の確認を完全になくすこと」が目的ではない、というのが今回意識した部分です。
【結果】
この一連の見直しで、作業時間はもともとの半分以下になりました。朝一番に本来の業務を止めて向き合っていた作業が短時間で片付くようになったので、単純な時間短縮以上に、1日の始まり方そのものが変わった感覚があります。手計算・手書きが減ったことで、計算ミスや転記ミスの発生自体も減っています。
【同じような作業に心当たりのある方へ】
紙の図面への手書き計算、1日分の再計算、Excelへの転記といった作業は、業種を問わず「昔からのやり方」として残っていることが多いように思います。もし同じような二度手間を感じている作業があれば、その一部だけでも自動化できないか、一度整理してみる価値はあると思います。
Excel・VBAでの計算ツール作成や、Power Automateを使った転記の自動化など、実務で使ってきた経験をもとにお手伝いできますので、お気軽にご相談ください。